※『コンサルタント紹介業』という少し変わったビジネスの話を毎月1回 お届けしていきます |
《今回のテーマ》 『団塊の世代はコンサルタントの宝庫』
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少子高齢化という社会変化の中で、間もなく「団塊の世代の定年ラッシュ」を迎えようとしています。
私は、早期退職の方も含め、これまでの経験を生かしたコンサルタントの道を歩むことが、ひとつの選択ではないかと思っています。
すべての方がコンサルタントに適している訳ではありませんが、誤解を恐れずに言えば、この世代の方の特徴である独立心、競争心、そして長年培ってきた専門性を生かすためには、コンサルタントとして自ら旗揚げすることがベストな選択のひとつではないかと思っています。
<団塊の世代とは?>
注:堺屋太一氏の著書でも有名な言葉で、皆さんもよくご存知かと思いますが、ご参考まで。
1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)の3年間に生まれた806万人という巨大な人口の世代。世代的にも同一と考えられる後ろ側の2年間を加え、1947年(昭和22年)から1951年(昭和26年)の約1000万人を対象として考えるのが通常です。
現在の日本の人口が約1億3千万人ですから、全人口の8%弱を占める巨大な集団となります。団塊の世代を考えるときには、この急激な人口増加が起こったという事実が重要なファクターになります。
日本の企業の約84%が60歳定年制を採用しています。現在の団塊の世代の年齢が55歳から58歳、もはや定年への秒読み段階に入っているといえるでしょう。
しかも、昨今顕著である早期退職制度導入の流れから、退職年齢は低下傾向にあります。わが国の場合、従来は多くの定年退職者は関連会社などへの再就職などによって60代前半で7割以上、60代後半でも6割が就労するという世界でも突出した就業率を誇っていました。
しかし関連会社への再就職や顧問などの形での就労などは減少傾向にあり、この世界でもまれに見る状況も今後崩壊が避けられなくなりそうです。
<引用:団塊・シニアマーケットを狙え!西村健一氏>
なんと1000万人規模の世代の多くが、数年の間に職業移動するのですから、これはただごとではありません。私も、実際にこの年代の方と多くお会いしていますが、現実の60歳は定年で引退するような、枯れ果てたイメージとは正反対。むしろパワーを持て余している感じがします(けっこう声がでかい…)。
私の父親は自営業者なんですが、団塊よりずっと上の68歳、まだ現役です。多少、体力の衰えはあるものの、毎朝6時には車で出勤しています。実感としては、いまどきリタイアと呼べるのは、70歳以上ではないかな?と思います。
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■団塊の世代の、第二の人生とは? |
例えば60歳で退職したとして、仕事のキャリア以外に、どのような道があるでしょうか?
〇悠々自適に趣味に生きる
〇ボランティア・NPOなど社会的活動に参画する
最近、某銀行のテレビCMで、定年を迎えた男性が『これから毎日テニスするか!』と夫婦で笑いあうのを見ましたが、これには苦笑してしまいました。(そんなの一ヶ月で飽きるやろ!!)
著名なサイトAll about でも「定年後の楽しみ方」というカテゴリーがありますが【定年=おとなしく引退】という図式が、日々お会いする方の実像からは、どうも私にはしっくり来ないのです。
つまり、『ついこの間まで仕事に情熱を傾けていたのに、定年だからといってじじくさい(失礼!)趣味に走るのは、ちょっと早すぎるんじゃないでしょうか?』って思ってしまうのです。
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■団塊の世代は、半分仕事に、半分楽しみに生きるべき。 |
結論を言いますと、フルタイムとは言いませんが、半分くらいは引き続き、仕事に情熱をもたれては、と思います。テニスも結構、株式投資も結構、ボランティアも大いに結構、と思いますが、これまで100%近いエネルギーを注いできた「ビジネス」を捨てるのは、もったいない!と思ってしまいます。
その中で、フルタイムでの就業は、今後ますます減少する傾向にあり、残念ながら再就職できる恵まれた方は、限られているでしょう。
これまでの知識・経験を生かして、新たにスタートを切るには、案外、コンサルタントという道がピッタリではないでしょうか。
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■なぜ私はコンサルタントを勧めるのか |
第二の人生に、コンサルタントを勧める理由はいくつかあります。
1.ビジネス知識・経験・ノウハウのスムーズな移転が必要
企業活動全体を見てみると、必要な知識・ノウハウが、必要なところに移動する仕組みが、まだまだ脆弱ではないかと感じています。とくに中小・零細企業にその傾向が顕著です。例えば、生産管理の技術ひとつをとっても、また、店舗運営の実務ノウハウをとっても、経験不足で先人の知恵を借りたいという企業はたくさんあります。
しかし、大手のコンサル会社に頼んで採算が合うかというと、ちょっとハードルが高すぎるのが現実です。欲しいときに、必要な時間だけ、専門家のノウハウを提供してもらうような仕組みは、これからもっと必要とされるのではと感じます。
2.コンサルタントは起業が容易
会社をつくるのは簡単です。とくにコンサルタントという商売は大げさな設備投資も、お金もかかりません。また私の知っている方には、同じ仕事仲間の3人で、コンサルタント会社を立ち上げた方もいらっしゃいます。
※ご参考:45歳以上の方が3人以上で創業される場合は、高年齢者等共同就業機会創出助成金という魅力的な制度もあります。ご関心ある方は、お問合わせ下さい。
3.経験、知識、ノウハウが売り物になる
在庫リスクを背負って、何か商材を仕入れる必要もありません。これまで経験したことが、売り物になります。国家資格が必要な一部の仕事を除き、特別な免許や資格も必要ありません。ただし前提条件として、人様に買っていただけるノウハウでなければなりませんし、買っていただけるように表現することが重要です。
4.自分のペースで無理なく仕事を受けられる
やりたい仕事だけ受ければいいのです。とくに、年金や蓄えなどで経済的に目先の不安がなければ、さほどあくせくする必要もありません。また、どんどん仕事を拡大したい方は、さまざまなエージェント会社や代理窓口となる会社に登録して、幅を広げていくことも可能です。
5.インターネットで情報発信・PRが可能
コンサルタントとしての宣伝は、インターネットを使えば、その目的の半分以上は達成できます。もちろん、その道にはそれなりのノウハウも必要としますが、大事なのは、狭く、深い・オリジナルな情報を、継続的に発信し続けることです。
6.価格競争力がある
私は安売りはお勧めしませんが、現実的には、コンサルタントの価格は、相場価格、もしくは売り手側の希望報酬÷稼働日数で算出されるケースが多く、資金力のない中小企業にとっては、さほどおトクな感じがしないのが実情です。そこで、最小労力で、最大効果を上げられるよう、工夫をすることによって、提示価格を引き下げることが可能となります。
ポイントは、
○できること(売り物である専門性)をはっきりさせる
○できないこと(専門外)をはっきりさせる
○相手の要求(期待成果)をはっきりさせる
○余計な時間(付加価値と関係のない時間)は極力使わない
ことです。
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■ドラッカーは、テクノロジストと呼ぶ |
P・Fドラッカーの名著『ネクスト・ソサエティ』では、このような専門家を“テクノロジスト(技能技術者)”と呼んでいます。ドラッカーは同著で、知識を基盤とした経済社会において、世界的に起こる若年人口の急減という変化の中、高学歴高年者の知識労働者は、ますます必要とされるであろう、と予測しています。
コンサルタントという呼び方は、正直好きじゃないという方もいるでしょう。ほかに良い言い方がないから使っている、という方もけっこういらっしゃいます。あまり従来のコンサルタントというイメージにとらわれることなく、
『企業などを対象とした、パートタイム契約の、知識をベースとした独立事業主である専門職業人(プロフェッショナル)』
という定義で、広く捉えて良いのではと思います。あと5年もすれば、団塊の世代の方々が、バリバリのコンサルタントとして数多く活躍されているのではないでしょうか。
私にはそんな気がしてなりません。また、そうあってほしいと願っています。このコラムを読んで、「そんなにうまくいくかな?世の中、そんなに甘くないよ!」とお感じの方へ。そのご意見も正しいと思います。
しかし、数年前の創業ブームの頃も、同じような危惧が多く聞かれたのです。それを乗り越えて、成功した企業家は数多く、今では創業するという心理的ハードルも随分低くなったと感じます。
やはり何事も、やってみなければ、始まりませんね。
今回はこのへんで。また次回お会いしましょう!
《今日のつぶやき》
今回は団塊の世代に焦点を当てましたが、すでにシニアと呼ばれる方々にも、現役のコンサルタントはたくさんいらっしゃいます。とくに、第一線で活躍されている方は、世の中の新しい動きにも敏感で、ブログを始めている方も時々お見かけします。やはり『新しいモノ好き』という資質は、職業柄、大事なんだなぁ、と実感。(樋笠)
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■関連情報
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著者:荒井 裕之 出版社:ぱる出版(2005/12発行)
過去にコンサルタントに関するコラムを寄稿しています。よろしかったらこちらもご覧下さい。
「失敗しないコンサルタント利用の秘訣」@IT
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