※『コンサルタント紹介業』という少し変わったビジネスの話を毎月1回 お届けしていきます
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《今回のテーマ》 『万能なコンサルタントはいない』
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コンサルジェント代表の樋笠です。みなさんの2005年は、いかがでしたか?
今年1年間を振り返ってみると、いろんなご依頼を頂きました。当社は紹介エージェントですから、例えば人事専門、営業専門、といった専業コンサルティング会社とは違います。
また、大企業しかやらない、中小零細企業専門、といった区別もしていません。ですので、誰もが知っている有名な上場メーカーさんからの専門的なテーマのご依頼もあれば、ホストクラブさんの人事制度のように、普通のコンサルティング会社には、まず来ない(たぶん?)ようなご相談も入ってきます。
テーマも、設計コストダウンのような技術系のテーマから、飲食店の売上改善、ISOの認証取得、ソフトウェア会社の営業マン教育、そして工務店経営者向けの講演会など、本当にさまざまです。
もちろん、ぴったりとマッチする場合もあれば、残念ながら当社では探しきれないテーマもあります。せっかくご相談頂いても、お断りせざるを得ないときは、まだまだエージェント会社として力不足だなぁと実感します。
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■何でもできる、は、何も出来ない? |
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ご依頼で、ひとつ共通しているのは『困っているので、すぐに○○という分野で経験のあるピッタリの人材を紹介して欲しい』という点でしょうか。
そのご要望に対して、最短距離で、最高の仕事ぶりを発揮できそうな専門家をご紹介するのが、私たちの日々の仕事です。依頼する側は、決して「万能なコンサルタント」は求めていません。
目が充血したら眼科、胃が痛いなら内科、骨折したら外科・・・ではありませんが、ご要望がきわめて具体的、かつピンポイントです。当社のパートナーには優秀な方が多くいらっしゃいますが、みなさん、それぞれが得意分野があります。
いくら生産プロセスの改善に秀でているプロでも、成果主義人事制度の構築や、電子商取引サイトのマーケティング構築はできません。
そんな当たり前のことなんですが、「経営コンサルティング会社」という漠然とした名称で、あたかも何でもできます、と喧伝すべきじゃないなぁ、と常々思うのです。
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■コンサル会社の事情 |
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私自身、過去に3年間コンサルティング会社に勤めていた経験があります。その会社はいわゆる中小企業向けの総合ファームで、経営診断、営業指導から、事業計画まで、何でも請け負っていました。
どのコンサルティング会社にも、だいたい得意の指導パターンが決まっており、言い方は悪いですが、クライアントをその型にはめてしまうような傾向があります。
そうでなくても、問題解決のソリューションといった方法論に、独自のやり方や特徴があります。特定の業界に特化してチームをつくり、その指導経験を、ヨコ展開(流用?)している会社もあります。
ただクライアント側からすると、そんな提供する側の事情はどうでもよくて、自社が欲する「成果」に、費用も時間もいちばん効率よく到達できる方法が知りたいと思うのです。
ですから、何ヶ月もかけて、経営診断と称して会社の隅々まで調べられて、決算書や関係書類を分析されて、現場にいる人間なら誰でもわかっていることを分厚い報告書にされても、全然うれしくないのです。うれしいのはコンサルティング会社のオーナーです。
依頼する側は、できるだけ早く、できるだけ効率よく、目に見える成果を出して欲しいのですから。
そんな切実な依頼企業の心情も、入社した当時は、正直よく分かっていませんでした。
30歳そこそこで経験のない私が、コンサルタントとしてできることは、ごく限られていました。
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■コンサルタント時代の苦い経験 |
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勉強して資格をとったとはいえ、そんなものは、へのつっぱりにもなりません。名刺に書いてある位です。
当時の私は、経営者として厳しい局面に立たされた経験もありませんし、必死になって事前に準備をしても、ない知恵を絞って考え抜いても、とうてい歯が立たないような場面に数多く遭遇しました。
そもそも、自分自身がまったく経験・知見のない業界も、会社が契約したからには、遂行しなければなりません。サラリーマンとしては当然の使命です。
出版・広告の世界しか知らなかった私にとっては、初めて行く地方にある、土木会社のクライアントへ足を運ぶのは、正直苦痛でした。私に力がなかったからです。
また、クライアントの課題を解決し成果をだすことよりも、会社の決められたやり方を指導して、クレームのでないようにメニューを消化していく自分にも、疑問を感じていました。営利を追求する会社としては、固定費のかかる社員を稼動させて、売上を確保していくのは当然のことです。
それでも、たかだか10数人のコンサルタントで、いろんな企業の、さまざまな課題に対処していくのはちょっと無理があるなぁ・・・と実感しました。
私はコンサルタントです、と気張ってみたところで、一人の力では、たかが知れているのです。こんな苦い経験が、いまの仕事に繋がっています。
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■やっぱり、餅は餅屋! |
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コンサルティングは、スペシャリストでなければならない、つまり、依頼主が期待する成果を保証できる専門家でなければならないと思います。
しかし、万能である必要はありません。個性があり、多様性があり、いろんな持ち味があってこそ、面白いと思いませんか?
私は5年前に、コンサルタント稼業から足を洗って、紹介業に徹することにしました。自分の力のなさを痛感して、力のある人と一緒に仕事をすべきだと思いました。徹底的に、さまざまな専門家と手を組んで、一番得意なところで勝負していただこうと思ったからです。
コンサルタントが一人もいない当社に対して、第三者には簡単に打ち明けられない事業の悩みや課題をご相談いただける。これも、多くの専門家とのオープン・ネットワークを認めていただいている証拠だと、とてもありがたく感じました。
また一方で、私たちは的確な専門家のマッチングができるエージェントとして、その専門性をもっと高めていかなければ・・・と気持ちを新たにしています。
来年は、また新たな、素晴らしいスペシャリストとの出会いがありますように。。。
そして、依頼をいただくお客様に、期待以上の成果を残せますように、と願ってやみません。
2006年も、皆様方のビジネスに、益々の成長、成功がもたらされることを、祈念しています。
それでは、今回はこのへんで。また来年も引き続きご愛読のほど、よろしくお願いします!
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■関連情報
コンサルジェントが書籍で紹介されました!
『起業家を続々と輩出するリクルート式仕事術』
著者:荒井 裕之 出版社:ぱる出版(2005/12発行)
過去にコンサルタントに関するコラムを寄稿しています。よろしかったらこちらもご覧下さい。
「失敗しないコンサルタント利用の秘訣」@IT
情報マネジメント
「コンサルタント業を目指すには」All
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