※『コンサルタント紹介業』という少し変わったビジネスの話を毎月1回 お届けしていきます
|
《今回のテーマ》 『付き合いたくないコンサルタント』
|
おはようございます、コンサルジェント代表の樋笠です。
当社はコンサルタントの紹介業をやっていますから、基本的にコンサルタントを導入すべきとお勧めする立場です。いままで何百人というコンサルタントと実際に会って、提携して、何百件というクライアントとの商談場面に同席してきました。
その中で、私たちにお問合せいただくお客様の中には
「コンサルタントを使った経験がない」 |
「どういう基準で選んだらいいか、よく分からない」 |
「世間ではコンサルタントを使って失敗したという話もきく」 |
といった声をいただくことが時々あります。やっぱり決して安くない金額を投資する訳ですから、そういった不安があるのは当然だと思いますし、よく理解できます。
そこで今回は、ダメなコンサルタントと付き合わないために、そういった人物を見抜くヒントになるお話しようと思います。
|
■ダメなコンサルタントは自分の利益優先 |
|
私の経験上、まっさきにダメと思うコンサルタントは、自分勝手なコンサルタントです。もう少し詳しく言うと、コンサルタントとしての自分の利益(儲け)には執着するものの、クライアントの成果に関心のない(薄い)コンサルタントです。
経営コンサルティングは、クライアントの事業を外部からサポートし、成果を出して、費用対効果(つまり投資対リターン)でクライアント自身が『よかった』と評価しなければ意味がありません。
そうでなければ、お金を使って、社内のメンバーがただでさえ忙しい時間を割いて、わざわざやる意味など皆無でしょう。自社利益が優先のコンサルタントは、
・私がこれだけの日数を割く必要があるので、これだけの金額が必要です(それで御社にどの程度の利益があるかは知りません)
|
・私のもつノウハウはこれこれのシステムで、これこれの手順によって進めるので、これだけの期間と費用がかかります(それで御社側の事情がどうなのか、適合するのかは、知りません)
|
・私のやったコンサルティングは正しいし、ちゃんと訪問してやっているので、私は間違っていないです(それで御社の社員が理解できて効果が現れて評価されているのかどうかは知りません)
|
・私のコンサルティングに文句を言う前に、おたくの会社に問題があります(最初からそれをわかって引き受けたのでは??)
|
といった空気を醸し出しています。
なかには一見、優秀そうに見える人もいますが、自分中心の人間は、成果がでなかったりトラブルになったり立場が悪くなると、自己弁護、相手への攻撃に走る傾向にあり、注意が必要だと思います。
ちょっと極端に聞こえるかもしれませんし、コンサルタントの方からはそんないい加減な人がいるのか?と反論があるかもしれませんが、中にはこういった人も実際にいるのです。もちろん、私は絶対お勧めしませんが。
また他方で、決まったパッケージシステムのように、手順が設計されていて、かかる工数(原価)ベースに値づけされているサービスは、クライアントの事情を無視している場合も多いように感じます。
パッケージなりに標準化されている分、低コストになるメリットがある場合を除いて、経営コンサルティングに関しては、個別の企業事情やニーズがまちまちで、あまりパッケージが通用するとは私は
思っていません(パッケージサービス自体を否定している訳ではありませんので念のため)。
いまの日本の企業がコンサルタントに実際に要望していることを考えると、その分野で経験や見識のあるコンサルタントが、オーダーメイドで対応せざるを得ないのが現実だと痛感します。
それだからこそ、やはり専門家の人選には慎重にならざるを得ないと思います。
|
■職業病と没個性 |
|
また、コンサルタントに悪意はなくとも、知らず知らずのうちに、「手順どおりに」汎用をベースにした提案書を作って「思考停止」しているのではないか?と思われるケースにも遭遇します。
シナリオをつつがなく消化することが目的化してしまっているため、やってみた結果、毒にも薬にもならなかったという感じでしょうか。
私自身、昔に中小企業診断士の資格をとったことがあります。そういった企業診断にはセオリーやお手本のようなものがあり、そういうマニュアルのような手順に影響を受けすぎているのも考えものだな、と思います。
決して間違ってはいないものの、どの会社にも当てはまるようなことが延々と述べられていたり、ちょっと経営学を知っている人ならわかるようなことを新たに発見したかのように教えられても、その場にちょっと冷たい空気が流れるような感じがします。
そのくせ事前に調べればわかるような、そのクライアントの会社情報や、製品・サービスには関心が薄く、トンチンカンな質問をしたりして、担当者を静かに怒らせるような場面も何度か経験しました。
スタート段階でこのような感じなら、推して知るべしでしょう。
士業の悪口をいう訳ではありませんが、法律をベースにした国家資格者のなかには、法律が拠り所なので、自らの経験や考えや知恵で事態を打開しようという気概がない方もいるように感じます(もちろん、見識の素晴らしい士業の方も多くいらっしゃいますが)。
手順や型にはまるあまり、クライアントの姿を「率直に」見つめることができなくなったのでしょうか。
|
■にぶい人は社員でもコンサルタントでも食えない |
|
それから、ちょっと感覚的にしか表現しづらいのですが、勘の悪い、空気を読めない、相手の気持ちを察知できないコンサルタントは、使いづらいと思います。
ある特定分野の経験や知識だけが欲しい、という場合は使えるかもしれませんが「にぶいタイプ」の人間は、コンサルタントとしてリーダーシップを発揮したり、プロジェクトを引っ張る力はないと言っていいでしょう。
これを見分けるのは簡単で、このコンサルタントと自社の仲間として一緒に働きたいと思うか?と自問すれば明白です。
にぶいタイプの人は、どこかぎくしゃくした印象があったり、妙なところに執着心があったり、あんまりずっと一緒に働きたくないという感じがするはずです。
素晴らしい仕事をするコンサルタントは、コミュニケーションの勘所がよく、センスを感じさせ、それでも手抜きせずおごることなく、勤勉な印象を受けます。
また冒頭の話とはまったく反対で、クライアントの利益に関心が高く、自分がどれだけ貢献できるだろうか?自分のノウハウでどこまで高いパフォーマンス(費用対効果としての結果)を出せるだろうか?と真剣に向き合っていることが分かるでしょう。
よいコンサルタントとの出会いは、経営者の考え方や、事業の方向を劇的によい方向へと変えてくれるはずです。そのためには、間違った人を選んでしまう愚は避けたいですね。
では、今回はこのへんで。また来月お会いしましょう!
|
《今日のつぶやき》
いよいよゴールデンウィークですね。いい季節になってきましたし、私も自然にふれてリフレッシュして、また5月からの仕事に備えたいです。とはいっても、まだちゃんと行楽のプランが決まっていないんですが・・・いつもギリギリ直前派です(ひがさ)
|
■関連情報
コンサルジェントが書籍で紹介されました!
『起業家を続々と輩出するリクルート式仕事術』
著者:荒井 裕之 出版社:ぱる出版(2005/12発行)
過去にコンサルタントに関するコラムを寄稿しています。よろしかったらこちらもご覧下さい。
「失敗しないコンサルタント利用の秘訣」@IT
情報マネジメント
「コンサルタント業を目指すには」All
about Japan フリーランス
|
■バックナンバー 一覧に戻る |