※『コンサルタント紹介業』という少し変わったビジネスの話を毎月1回 お届けしていきます |
《今回のテーマ》 『コンサルタントの費用対効果を考える』
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コンサルジェント代表の樋笠です。
コンサルタントを雇ってみようか?と考える企業が真っ先に考えるのが「費用対効果」。
当社に寄せられるお問合せでも、圧倒的に、この部分に対する関心が高いと実感します。
例えば、予算のない小規模企業ならそれなりの範囲で。しっかり予算を取っている大企業でも、それに見合う中身としての成果を求めていらっしゃいます。
それでは、この「費用」に対する「効果」って、計測できるの?しっかり金額として換算できるの?
今回はそんなテーマで考えてみたいと思います。
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■費用対効果=その1.人件費換算 |
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最も分かりやすい例が「同じ業務を社内の人間で行った場合、どの位のコストになるか」という考え方です。
よくある例として、人材派遣の費用や、プログラマーの開発費用は、人月換算で一人当たりいくら、とある程度相場が決まっています。
しかしコンサルタントの場合、フルタイムで常駐する場合はまれで、普通は月に何日か訪問して、プロジェクトの支援や、事業計画の作成や、経営者の相談・アドバイスに従事することがほとんどです。
すると、なかなか人材派遣やプログラマの費用のように、明確に算定が難しいですね。
また、社内の人間ではできない、特殊な、専門特化した仕事なので、コンサルタントに依頼するというケースも多いでしょう。
そうすると、月額いくらという金額と同時に、1日当たりの費用という尺度で見ていく必要があります。
当社の実際の紹介例を見ますと、最も安い場合で月額5万円程度、ある程度日数や作業工数をかけるもので月額50万円程度、という幅がボリュームゾーンになっています。
それでは5万円が絶対的に安くて、50万円が絶対的に高いか、というとそうではなく、社内での人件費に換算すると5万円でも高い場合もあれば、50万円でも安いというケースもよくあります。
(アドバイス)
依頼する業務の予算イメージ(=価値)を考えてみましょう。
社内での人件費に換算して、同額以上なら「高い」、同額から1/2なら「普通」、1/3以下なら「買い!」ではないでしょうか。
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■費用対効果=その2.期待利益 |
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より成果や本質を求めるなら、コンサルタントによってもたらされるであろう「期待利益」を基準に考えるのもひとつの考え方です。
ただし、その利益や売上をもたらすのは100%コンサルタントでなく、通常は社内活動との共同作業になります。
ですので、その「期待利益」の何パーセントがコンサルタントの役割だろうか、と判断して、基準にしてみる必要があります。
例えば、年間3億円の売上を見込む新サービスのプロジェクトで、期待利益が30%の9000万円、プロジェクトの中心で推進するコンサルタントの貢献度を1/4とすると、貢献利益が2250万円。
その1/3を原価と考えれば、750万円。もう少しシビアに達成率を80%と見込めば、600万円。これがコンサルタントへの予算となります。
(アドバイス)
実際の事業の数字にあてはめてコンサルタントの予算を考えてみましょう。
算出した数字とかけ離れていれば、一考の余地があるのでは?
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■無費用対効果=その3.教育投資効果 |
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コンサルタントによって、社内のメンバーに対する教育効果が発揮されるケースはよくあります。
「社内のモチベーションが上がった」
「社員の提案能力が向上した」
といった副産物がもたらされることもあります。
また、どちらかと言えば、成果と同様に、教育効果をそもそもの目的として始まるコンサルティングも少なくありません。
例えば、営業マネージャーがうまく機能していない組織で、月に1回、営業コンサルタントが訪問して指導し、進捗チェックするだけでも、若手メンバーに対してOJTを補完するような高い教育効果を発揮する例もあります。
このような場合は、社員一人当たりの教育コストと捉えてみて、平均人件費500万円の5%を教育投資と仮定して25万円。メンバー12名と換算して、300万円。
期待利益も考慮しその1/2を投資額と捉えて150万円。1回当たり15万円の営業プロジェクトミーティングを10回実施できる計算になります。
(アドバイス)
教育研修の実施と併せて、コンサルティングによる教育投資効果を換算してみましょう。
すぐに業績数字に表れない効果も、大きいかもしれません。
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■費用対効果=その4.イノベーション効果 |
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コンサルティングを受けることによって、思わぬアイデアが出たり、気づきが生まれたり、画期的な発想がもたらされることがあります。
こういったイノベーションを受けるケースは、すぐに実行できるという意味からも比較的規模の小さい中小・ベンチャー企業の経営者が多いと思います。
この効果を数値化することは難しく、極端にいえば、1500円の本からでも1500万円に相当するアイデアを思いつくこともあるでしょう。
この場合は、ちょっと乱暴な言い方ですが、実際に会ってアドバイスを受けたときの「直感」で判断するのもひとつの方法です。
例えば、あるコンサルタントに新規事業のアドバイスを受けるために面談してみる。コンサルタントとの会話の中で、ヒントになること、実際にできそうなアイデアをもらう。なるほど!
では、そのアイデアを実行した場合、自社にもたらすイノベーション価値はいくらだろうか?
うーん、シビアに見て300万円。
そのアイデア料として1/3の100万円。
このアドバイスを6ヶ月間、継続してフォローしてもらうつもりで、1/6の月額16万円。
(アドバイス)
コンサルタントがもたらしてくれそうなイノベーションの価値を査定してみましょう。
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以上、ちょっといろんな角度から考えてみました。
やや例えに、無理があったかもしれませんね(笑)。
物事にはいろんな考え方ができる、という意味で読んでいただければ幸いです。
とかく提供側のコンサルタントも、自社の事情で「日数積み上げ型」の見積りになりがちですので、お客様の立場でのいろんな角度から、自社のコンサルティングの「費用対効果」をいちど考えてみてはいかがでしょうか?
それでは、このへんで。
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著者:荒井 裕之 出版社:ぱる出版(2005/12発行)
過去にコンサルタントに関するコラムを寄稿しています。よろしかったらこちらもご覧下さい。
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