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◇◆◇　経営革新！１００人のコンサルが語る事業成功の秘訣　　　◇
◆◇　　　　　　　　　　　　　　第１６号【03/04/11】　　　　　　　　　　◇◆
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《メニュー》

１．『ベンチャー志向でない創業』　　　　　　　　播野　晋介

２．おすすめビジネス書「狙ったお客様の８０％は落とせる！」

３．短編コラム「新地の元クラブホステスがこっそり教える
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 水商売マネジメント」

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《今日のテーマ》


『ベンチャー志向でない創業』


某有名私立大学を２年で中退したＫさんは、高校時代から映画や音
楽が大好きでした。

もともと頭の良かったＫさんはしゃかりきに勉強したわけでもない
のに、日本でもトップクラスの東京の私大に合格。

大学では、映画研究会に所属し、以前から好きな８ミリ映画などを
撮っていました。

そちらの方が面白くて講義に出なくなり、仕送りのお金も映画や音
楽活動に使ってしまい、結局中退することになったのです。

Ｋさんはアルバイトなどで食いつなぎながら、音楽や映像の勉強を
続け、時にはプロと一緒に作品を発表したりしていました。

そんな時仲間数人と作曲などを教える音楽教室を立ち上げる話が持
ち上がり、それにのったＫさんは、いわゆる起業（このときは法人
ではありませんが）をしたのです。

音楽教室は大成功で、Ｋさんは２０代で月収１００万円近くまで稼
ぐようになりました。しかし教えることに飽きたＫさんは簡単にそ
の仕事を後輩に譲り、自分の作品を世に出すことに専念します。

幸いＫさんはメカに強く、パソコンなどを使った映像・音楽の加工
を得意としていたため、それまでのネットワークを生かしてＣＭ音
楽などの作曲や企業の会社案内ビデオ製作などをこなすようになり
ました。

ところが、Ｋさんが個人事業であるため、大手の広告代理店などは
別の制作プロダクションを通してくれないと発注できない・・など
色々と不都合が出てきたのです。

そこでＫさんは有限会社を立ち上げ、今では若いクリエイターを数
人使って、音楽制作、映像制作、イベント企画、クリエイター育成
スクールなどの事業を行っています。

またＫさんは、今でも現役クリエイターとして有名歌手の楽曲の作
曲やＶシネマの監督などもこなしています。

Ｋさんの事業がうまくいった理由はいくつかあります。


（１）有限会社を立ち上げるとき、自分と専門分野が違う数人のク
リエイターにもいくらか出資してもらい、出資者であるクリエイタ
ーがＫさんの会社に仕事を紹介した場合、コミッションを支払うシ
ステムとしたこと。


（２）立ち上げ当初、固定給をとるのはＫさんだけとし、あとは人
脈を活かしたクリエイターのネットワークで仕事をこなした（クリ
エイターにはプロジェクトごとにやった分だけ支払い）こと。


（３）基本的に手形取引を避け、手元に残ったキャッシュを新しい
機材に投下することで請け負える仕事の幅を広げていったこと。


（４）Ｋさん本人、及び周辺のクリエイターがお互いスキルをあげ
るべく、自己研鑽にはげんだこと。


（５）受注した仕事の内容に応じたグレードの作品をこころがけた
（自分がクリエイターとして満足できるものをつくるのではなく、
その作品の用途や予算を十分考慮して仕事をした）こと。


（６）クリエイター育成スクールにおいて次世代のクリエイターを
育て、筋がよければ外注スタッフとして卒業後パートナーとするな
ど常に新しい血を入れていること。


しかし、これらのことは些細なことだとＫさんは言います。何と言
ってもＫさんは好きな仕事をしているからこそ厳しい状況も乗り越
えていけるのだと考えています。

好きでない仕事なら独立などという危ない橋を渡ることはない、と
いうことです。

Ｋさんの会社の社員は今でもほんの数人。Ｋさんに会社を特別大き
くしていこうという意向はありません。

いわゆるベンチャー志向ではないのです。

４１歳になったＫさんは、今後もその時々に自分が興味を持ったこ
とにチャレンジしていくだけだと言います。

私も各地でベンチャースクールや創業支援に関するセミナーを担当
させていただきますが、創業者がベンチャー志向でなければならな
い、というものではありません。

自分と家族が食べていければ良い、という創業（いわゆる生業）も
我が国経済を支える一つの柱であることに変わりはありません。

ご自身がやろうとする事業の質を良く考えて、闇雲に拡大志向に走
らないよう留意すべきではないでしょうか。

何よりも、それをやっていて楽しい・・・そんな創業こそが理想だ
と思うのです。

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《今日のコンサルタント》
播野　晋介（はりの　しんすけ）
中小企業診断士

１９６１年生まれ。甲南大学経営学部卒。広告代理店マーケティン
グ局等にて名古屋・東京勤務。その後、家業の酒販会社後継のため
物流・営業・企画部門を歴任。同社のＭ＆Ａを手掛けた後、経営コ
ンサルタントとして独立。得意分野：経営戦略（新規事業開発、事
業転換）プロモーション戦略、研修講師（新人研修、後継者研修等）
ファイナンシャルプランナー（ＡＦＰ）・キャリア・カウンセラー。


《私のお勧めビジネス書》

『儲けの戦略　〜新規事業の計画・評価・検証〜』
著者：大江建＋北原康冨　 出版社：東洋経済

ベンチャー、新規事業の研究者としてあまりにも有名な著者が、新
規事業を立ち上げようとする人のために書いた実践書である。「儲
け」をいかに実践するかを具体的に解説するとともに、付録として
「儲け」の設計を行うソフト（ＣＤーＲＯＭ）がついており、事業
のシミュレーションを容易に実践できるようになっている。新規事
業を担当するビジネスマン必読の書である。
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《編集後記》
今日の播野氏はかつて中小企業の経営者としての経験があり、オー
ナーの苦悩は身にしみて分かっていることからも、あえて「ベンチ
ャー志向ではない創業」という言葉は重みがあります。私自身、会
社を興したら大きくしたいと思うもの！という固定観念がありまし
たが、どうやら違うようですね。「何よりも、楽しいことを自分の
仕事にする」・・・コラムの最後はそうまとめられていました。明
日からそう思えるように、気持ちを切り替えて行きたいですネ(^-^)
（にしだ）

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☆☆今日のおすすめビジネス書☆☆

『狙ったお客様の８０％は落とせる！』
著者：矢部　廣重　出版社：マネジメント社

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《短編コラム・新地の元クラブホステスがこっそり教える
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 水商売マネジメント》


源氏名：理恵（りえ）
商学部の大学１回生の時、バブル時代の北新地にホステスデビュー。
ホステスの傍ら、当時ブームの人材派遣サークル運営、パーティー
コンパニオンの派遣など行う。卒論のテーマは、お客さんからネタ
を頂戴し、タイトルは「企業のコミュニケーション戦略」年齢不詳


〜投機と延期〜


皆様は、“投機と延期”の理論をご存知でしょうか？

意思決定のタイミングに関する理論で「投機のタイミングが実需と
比較して、早すぎると過剰な在庫を持ってしまいがちとなり、また、
実需と比較して、延期し過ぎてしまうと売り逃しなどの機会損失が
発生する」というものです。

（早い話が、オーダー・製作のタイミングを誤まると「過剰在庫」
か「売り逃し」の損をすると言う意味です。）

このマネジメントは、新地ではとても古くて新しい形で最適化され
ています。


“周年”（オープン記念日）や“おばけ”（節分）などの、需要が
予め想定できる場合に、過剰な在庫（お店の女のコ）を抱えて、固
定費が大きくなるのを制御するため、新地のお店では女のコを外注
に出します。


その発注先とは、


１．口座の女のコの仲の良い“淀屋橋系ＯＬのヘルプ”
２．フリーで何軒かのお店のアルバイトを掛け持ちしている女のコ
３．北○地新聞を発行する派遣会社・・・などです。


その後、自分のお店のお客さんがその女のコを気に入れば、実際に
そのお店で働いてみないかと言うオファーを女のコに入れます。

こうして、お客さんから見て人気があるコが、イベント直後は確保
されるわけです。

研修期間を経て、正社員採用を行うことと少し似ていませんか・・？

では。また機会が御座いましたら。　新地元クラブホステス　理恵

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