■アンケートの途中経過
やっと春らしくなってきました。遅い春の到来に、いつになったら花開くのかとわが身を思う本多泰輔です。
先週号で読者アンケートを行いました。
集計途中ですが、出版の目的は「世の中のために自分の知識、経験を役立てたい」という泣かせる答えが多いですね。
出版の目的をコンサルタントとしての自己プロデュースとして考えている方は、全体としては少ないようです。これは、編集部に原稿または企画を持って来られる方たちの傾向とぴったり一致しますね。
どうしてこんな志の高い立派な人たちの本が出ないのでしょうか。編集部の心が邪なんですね。きっと。
出版テーマはまちまちですが、最近の流行を感じるとともに、20年前にも見たテーマを発見し、ある種の感慨にひたりました。
今週も引き続きアンケート募集しておりますので、ご協力よろしくお願いいたします。未来指向のテーマが来ないかと期待しております。
さて、今週は発行者、コンサルジェント樋笠社長自らが出張る「トップ」インタビュー。その2回目です。
■出版したら、提案書がいらなくなった
おはようございます。発行者の樋笠です。
先月の金森重樹氏に続き、インタビューの第2回目です。今回は、大手ハウスメーカーの営業マンから船井総研を経て独立・起業した、高橋剛さんにお話を伺いました。
昨年11月に出版された3作目の著書、【売れるツボ 売れないドツボ〜営業マンの勘違い50の法則(徳間書店)】が大好評です!
インタビュー場所は、当社近く日本橋の喫茶店にて。忙しい合間を縫ってお時間をいただきました。
樋笠:こんにちは、高橋さん。よろしくお願い致します。まず、3作目は日経新聞の書評にも取り上げられて、かなり書店でもよく見かけますが、反響はいかがですか?
高橋:「正直、効果絶大です。独立当初はあまり出版しようとは思っていなかったんですが、営業するにつれ、やはり自分をブランド化して売り込む必要性を痛感してきました。本もそのひとつです。
よくコンサルタントは営業向けに「提案書」をつくるじゃないですか。以前は気合いれて、A4でシコシコよなべして、10枚くらいのものを作っていたんですが、やっぱり時間が経つと捨てられるでしょ。ところが、本は捨てない。その方のお名前を書いてサインすれば、まず捨てられない。
著書を渡すと、もう説明不要ですし、あんまり提案書を書く必要もなくなりました。本を出したら、お客さんはもちろん、お世話になっているエージェントの方々にも送っておけば、本がひとりで営業してくれる。それはもう雲泥の差です」
樋笠:じゃ印税のほうもかなり・・・?
高橋:「よく周りからそう言われるんですが、印税は確かにもらえますが、例えば1500円の10%、150円で8000冊売れると120万円じゃないですか。ビジネスだけ考えたら、正直、目先の研修なんかの仕事を受けたほうが時間の効率はよっぽどいいですよ。
しかし副産物といいますか、研修ツールとしても売れますし、なにより営業がラクになりますし、印税の何倍もの効果があると思います。昔からのお客さんの見る目も変わってきますし。
よく冗談で「高橋さん、もう有名になったし、うちなんかのコンサルやってくれないんじゃないの?」って言われますが、お客さんにとっても、一緒に喜んでもらっている実感があって、素直にありがたいです」
■出版デビューは、紹介がきっかけに
樋笠:うらやましいですね。高橋さんはたしかデビュー作「はじめての起業成功ガイド」(日本実業出版)は共著でしたね。自力で出版デビューされた第2作目は、どういう経緯で実現したんですか?
「最後に勝つ営業交渉術(PHP研究所)」という、ちょうど1年前だったと思いますが。
高橋:「お世話になっている先生が出版されたのを聞いて、その編集担当者を紹介してもらったんです。これは偶然でたまたま私が書きたいテーマをちょうど探していたようで、はまったといいますか、即決でしたね」
樋笠:運やツキも実力のうちですよ。しかし、けっこう文体というかトーンが違っていますね。
高橋:「第2作目はまさにテキストとして書いたので、あんまり色気というか、自分らしさは少なくなっています。この2作目をきっかけに、3作目で勝負!と思い、それこそ電話しまくりで。
いくつか自費出版で、という条件提示もあったのですがすべてお断りして、いくつか候補があった中から、最初に話が進んだ徳間書店さんにお世話になることにしました。
編集の方にもいろいろとアドバイスを頂き、自分でも納得できる出来栄えになりました」
■自分が絶対的に自信あるテーマを選ぶこと
樋笠:でも高橋さん、いつも相当、忙しいでしょ?よく著書を書く時間がありましたね。
高橋:「キツかったです、正直。とくに2作目はキツかった。自分の身を削ってネタをだしているようなもので、追い詰められました。
よく作家さんが自殺したくなるって話があるじゃないですか。気持ちがわかるような気がします。共著ではなく、初めての自分だけで書くので気合も入り、それだけ気疲れもしました・・(笑)
3作目は、確かに時間の捻出は大変でしたが、ずっとラクになりました。自分の奥底にある、本心から書きたいことを書けば、それは自分にとっても絶対に自信のあることで揺るがない。
100人相手でも1000人相手でも説得できる、という自信がないと。やっぱり世の中に出回るものですから手を抜けないですし、ちゃんとしたものを書きたいといつも心掛けています」
樋笠:そうですか、けっこうすさまじいですね・・・(汗)。ところで、次回作の構想は?
高橋:「次は、起業系の本を、物語調にできたらと思っています。例えば、童話風に、囲いの中で草を食べていきている羊が、囲いの外にでたらいけないよ!狼に食われるよ!って羊飼いに言われて暮らしている。でも、あるきっかけで囲いの外に出たら、狼なんかいない。
それどころか、囲いの外には、もっと美味しいものや、楽しい世界が広がっていた・・・・!みたいな。
私はサラリーマンでいることを否定しませんが、いまの日本を見ると、決して組織にいる人間が活性化しているとは思っていません。
自分で生きていく力をつけるために、何をすべきか?というメッセージを問いかけたいんです。独立も、そのひとつの道と思います。
私はコンサルタントをやっていますが、自分のミッションを考えたとき、ちょっと大袈裟ですが“日本を救いたい”と思うんです。
起業する気概のある人材こそが、日本を変えるのではないか、と感じています」
■ビジネス本、3冊出したら、一人前?
樋笠:さすが高橋さん、いつも会話に冗談が多いと思ってましたが、根は意外とまじめなんですね。最後に、これから出版を希望しているコンサルタントにアドバイスを。
高橋:「まず、自分が絶対的に自信のあるテーマを選ぶこと。それから、ツラいことは覚悟しておくこと。なるべく最初は、よく分かっている人のアドバイスを受けることをお勧めします。
とくに一冊目は、つまんない自分の自慢話なんて書かず、実体験にもとづいた、リアルなものがいいんじゃないでしょうか。
誰もが納得できる、自分にとって本物のテーマを選ぶべきでしょう。
販売面では、自ら最大限の努力をすること。印税なんてアテにしない。自分でできることはいろいろしましたよ。最近は著書を研修のテキストで使うことをクライアントからも要望さ
れるので、多くのクライアントに購入をしていただいています。
また様々なところでご紹介していただいたり・・・という地道な努力が今回のようなランキングに結びついたのかなぁと思っています。(→注:新宿紀伊国屋書店で6位)。
やはりコンサルタントですから自分のことも「売れる」ような方策を考えられないとダメですからね・・・。
先日、ある経営者の方から『何冊本を出しましたか?』と聞かれたんです。共著も含めて3冊です、と答えたら、信用されました。
やっぱり1冊ではダメで、出版業界できちんと評価されて、何冊も書いてないとダメなんだなぁと気づかされました。今年は2冊出版が目標です」
樋笠:ありがとうございました!ぜひ完成したらサイン入りでください。私が高橋さんに代わって営業しますので。。。
■まとめ
お話に出てたので、ついでに申し上げますと、PHPは持ち込み企画・原稿を受けない出版社です。したがって編集者は、既知の著者に人を紹介してもらうか、自分で本の海に乗り出し、めぼしい人を捜すしかありません。
規模の大きい版元は大抵そうです。
高橋さんは力があることは間違いないでしょうが、一作目がPHPであったということはラッキーでしたね。よき人脈も実力でしょう。
さて、前号で「次週は編集者の生態とその落とし方」と誤った予告をしてしまい失礼いたしました。
次回が間違いなく「編集者の生態とその落とし方」です。
その次は、「著者にとって最も相応しい出版社の選び方」です。選ぶより選ばれるほうが大切だ?いえいえ、選ばれたからといってすぐ飛びつくのは利口ではありません。
再来週のこのメルマガを読んでから、じっくり検討いたしましょう。
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◆◇今週のおすすめビジネス書◇◆
『売れるツボ 売れないドツボ〜営業マンの勘違い50の法則 』
著者:高橋 剛 出版社:徳間書店 価格:¥1,575円(税込)
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はまるのは“ツボ”か“ドツボ”か?
紙一重の差が営業マンの運命を決める!!
新人が読んでも管理職が読んでも納得の営業バイブル(本書帯より)
《著者プロフィール》
高橋 剛(たかはし たけし)
有限会社タカハシパートナーズコンサルティング 代表取締役
1966年生まれ。中央大学経済学部卒。大手住宅メーカーで10年間注文住宅の営業職に従事、数々の表彰を獲得。その後、不動産デベロッパーにて事業計画の立案やマンション販売等を経験。それらで得た営業スキルや独自の営業戦略・戦術を活かし株式会社船井総合研究所に入社。コンサルティング活動、研修活動を行う。その後、2001年1月、コンピテンシーや行動心理学もベースにした経営コンサルティング会社有限会社タカハシパートナーズコンサルティングを設立し、代表取締役に就任。主にヒューマンスキルの向上を主とした経営コンサルティング活動や研修、講演活動を精力的に行っている。また営業職の業績アップの手法には独自の手法を展開している。そしてコンサルティングでは「常在戦場」を是とし、研修・講演では「ライブ感覚」を大切にしている。
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