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第017号 『出版に成功したコンサルタントに聞く
     〜ランチェスター戦略、の福永雅文氏インタビュー〜』

■史輝出版って…


お上もやるね、と思う今日この頃。
本多泰輔です。

バイブル商法で史輝出版に立ち入り調査が入ったのが先月始め。

先週テレビ朝日の「報道ステーション」で史輝出版の社長が“お金儲けセミナー”らしいところで講演している姿が長々報じられました。だれかがタレ込んだんでしょうね。セミナーの受講生でしょうかね。

「セミナー受けたってちっとも金が儲かんねえ。ええい、腹いせにこのテープをTV局に送っちゃえ!」

って。毎日パチンコばかりやっていてはお金は儲かりませんよね。

私が思うに、このビデオテープの存在をテレビ朝日にリークしたのは当局でしょう。

史輝は2002年に脱税で一度挙げられています。行政機関は縦割りですが、捜査当局というのは、検察でも厚労でも税務署でも意外に横につながっています。

当然、以前から薬事法違反のバイブル商法として目をつけられていた同社のことですから、相応の情報資料は税務当局から厚労のほうへも流れていたはずです。

あるいは厚労筋からの依頼で査察が入ったのかもしれません。

追徴金9千万円という小さな事案ながら、当局からは「厚労省もにらんでるぞ。すこし慎めよ」というクンロクが入れられたことでしょう。

しかし、その後も慎むどころかあいかわらずバイブル本出すわ、お金をもらって本を出す自分のやりかたを自慢する著書は出すわ(しかも自分のところから出さず、わざわざPHPから出すところがあざといというか、賢いというか、正直というか)、セミナーはやるわで一向に反省の色がない。

それで「この野郎お上をナメやがって。ちょっとシメたれ」と厚労省が立ち入り調査、それだけでは飽きたらずマスコミにもリークなさったんでしょう。お上を侮ると怖いですね。

売れない本を出す得体の知れない出版社と怪しいクスリの販売会社、たまに毎日新聞に広告が出てる、というくらいの認識しか持ってなかったのですが、けっこう商売は上手で年商は20億くらいとのこと。

20億といったら金額だけ見ればビジネス書の中堅版元に匹敵します。ところが、書店じゃほとんど見かけない。・・・こんなことを書いたのも、最近こうした出版社の蠢動をあちこちで聞くからです。

まあ、既存の版元だってやってることですから、眼の仇にすることはないと思っていたのですが、なかにはド厚かましいのもあって、真贋の鑑定というほどでもないけど、怪しいところにひっかからないための情報を流すこともこのメルマガの仕事かなあ、と思いを巡らせていたところだったからであります。

さて、それは次回以降のこととして、今回は「トップインタビュー」第4回、めでたく初めての著書をメジャーな版元から出版された、福永雅文さんに、コンサルジェント樋笠社長が擦り寄るように迫ります・・・。


■なんと先週、出版デビュー!


おはようございます、コンサルジェント樋笠です。

今週の貴重な体験者インタビューは、なんと先週末に『ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』で出版デビューを果たしたばかりの福永雅文さんです。

折りしも、ちょうど当社のコンサルティング案件も決まったところで、私にとっても、嬉しいことの連続です。

インタビューは東京・日本橋の喫茶ルノアールにて。閉店間際に、二人でバドワイザーを飲みながら、機嫌よくインタビューさせていただきました。


■6年前のコンサルタント開業時に、出版を決意


樋笠:福永さん、よろしくお願いします。まず第1作目の出版、おめでとうございます!いつ頃から出版を考えてたんですか?


福永:漠然と、学生時代の頃からいつかは出版、という思いはありました。マーケティング志望で、最初は広告代理店に入社したんですが、いつかはマーケティングをテーマに、という思いは持っていました。

でもリアルに書きたいと思ったのは6年前、ちょうどコンサルタントとして独立した頃ですね。

やっぱりコンサルタントとして仕事をしていくには、実践と実績が必要じゃないですか。そのためにはお客さんが必要で、さらにそのためには見込みのお客さんが必要ですよね。

すると出版というメディアを使って、いわゆるマーケティングでいうプル型(引っ張る)という形で世の中にPRすることが絶対必要だと思っていました。また自分自身、押しが強いタイプじゃありませんので、性に合っていますしね。


樋笠:でも6年間かかったわけですね。すぐにでも出版したかったんじゃないですか。正直、焦りなんかの気持ちはなかったですか?


福永:いえ、全然、焦りはなかったです。出版するには、出版したいと思うだけでは絶対実現できません。まず、書けるだけの状況と準備が揃うのが先決です。

ですからじっくり取り組んでいこうと。書けるだけの状況というのは、まず第一に、理論の体系を固めること。

次に、それを証明するだけの体験や事例を集めること。そして、これが大事なんですが、出版社の方に「福永に書かせたい!」と思っていただくこと。

出版って、あくまで出版社さんのビジネスでしょ?出版社が興業主で、著者は役者、という関係でしょうか。ですから興業として成り立たないビジネスは有り得ませんし。


樋笠:なるほど。シビアですが的を射たご意見と思います。それじゃ、出版社さんに、福永はビジネスになる!って思わせたテクニックを聞きたいですねぇ。


■きっかけは・・・スター誕生!?


福永:メルマガを発行しているのですが、その内容と文章のマナー&トーン、それから部数(2万9千部)、そして遅れず休まず発行し続けていることの実績が認められたのだと思います。

(筆者注:メルマガについてのコメントはこちら

直接のきっかけは、日本実業出版さんが企画された「メルマガ著者発掘プロジェクト」への応募です。これが第1回目だったんですが、運良く一等賞をいただきまして、無事、デビューが決まりました。


樋笠:それはすごい!スター誕生というか、ホリプロのタレントスカウトキャラバン、みたいですね。期待の大型新人!?


福永:そんな大層なものじゃないですが・・・。でも日本実業出版社さんにとっても相当気合いの入った企画だったようで、発行部数にしても、書店での扱いにしても、新人としては破格の待遇をしていただきました。

丸善さんではB全版のでかいポスターを貼っていただいたり、八重洲ブックセンターさんでは特設ワゴンに平積みしていただいたり、アマゾンのお勧めに取り上げていただいたり・・本当に、すごく、感謝しています。


樋笠:やっぱりすごいじゃないですか。本を見ましたけど、これまた装丁がド派手で、目立ちますね。


福永:これも日本実業出版さんにしては、異例なんです。いわゆる実力はあるが地味というイメージの出版社さんなので。ベストセラーよりも、実用書中心で、ロングセラーで手堅くビジネスをされているタイプですんで。

フォレスト出版さんの影響ではないですけど、プロジェクト第1号ということで、かなり挑発的なデザインになっています。気に入っていますよ。


■プロジェクトで一等賞の秘訣は?


樋笠:ちょっと話が戻りますけど。どうやって第1号に選ばれたんでしょうね。運も実力のうち、ともいいますが、やっぱり運だけじゃ、こう上手くいかないでしょう?

福永:自分で振り返ってみますと、まず、ランチェスター戦略というテーマがロングセラーブランドなので、ビジネス書の目玉商品になりやすかったと思います。

ただ、単純にランチェスター戦略の焼きなおしではダメで、そこに自分の個性といいますか、オリジナリティを込めるように工夫しました。

私はめっぽう歴史が大好きで、いわゆる兵法経営というか、孫子や戦争に学ぶことは、ずっと人一倍、研究してきました。

ビジネスを戦争に例えるのって、リスクがあるんですけど、私の場合は、万人に好かれなくてもいい!、少数でも確実にファンがいてくれたら、という思いで執筆しました。もちろん自分のライフワークという信念もありますし。

それからデビューの実現には、やっぱりメルマガで2万人以上の読者を集めた実績があるでしょうね。

例えば、マーケティングを専門にしていて、自分で集客できないコンサルタントってプロじゃないと思いませんか?


樋笠:思います。


福永:コンサルタントはバッターボックスに立たないと、仕事にならない。そこが出発点と思います。そしてお客さんのためにヒットを打ち、ホームランを打つ。

でも現実には、厳しいようですが、バッターボックスにすら立てないコンサルタントも多いんじゃないでしょうか。


樋笠:そう、確かにそうですね。やはり出版社さんにも、こいつは豪快な一発を打てそうだ・・・!ってワクワクするような期待がないと、難しいんでしょうね。


■デビュー作で失敗したら、二度と出せない覚悟


福永:そう思います。私にとっても真剣勝負でした。出すこと自体が目的じゃありませんので。

出版して、ちゃんと売れて、顧客が見つかって、さらにヒットを打ち続けて実績を積む、というサイクルが出来なければ意味がないと思っていますし。それこそ、詰め将棋のような感覚です。

出版業界では、デビュー作の初版でかなりの在庫を残すと、二度と次はない、と聞きます(筆者注:本多さん、ホントなんでしょうか? 本多:それがホントなら養老猛も大前研一も出版界にはいませんよ。A社で大コケB社で大ヒット!というのはよくあることです。ま、しかし覚悟やよしですね)。

いい本と、売れる本は違う、って思いますが、ことビジネス書に限っては、売れる本を書く必然性というか宿命があると思います。

それに、本は公になる訳ですから、いろんな批判に耐えられるだけの準備や心構えも必要だと感じています。それだけ自分に自信のあることをキッチリ伝えなければと思います。


樋笠:やはり生半可な気持ちでは、ダメなんですね。発売直前の心境は、どんな感じでしたか。


福永:うーん、見本誌を見たときにも感慨というか、感動がありましたね。丹精こめた、わが子を見るような・・・。でも、まだ本屋さんに並んでいるところを見ていませんので。(筆者注:インタビューは発売前でした)。


樋笠:それじゃ、今週末は、書店めぐりですね。


福永:はい、もちろん。子供の運動会を見に行く気分です。ちょっと大げさですけど、大前研一とか、ピータードラッカーの著書と、一緒の棚に並ぶんですから。きっと、達成感があると思います。楽しみです!!


■書きたいと思うだけでは、一生書けない


樋笠:では最後に。これから出版デビューを目指すコンサルタントのみなさんへアドバイスをお願いします。


福永:うーん。じゃ本音をズバリ言いますね。自分の体験では、本を書くのは命がけでした。

“死して虎は皮を残す”ではないですが、物書きである以上、自分の書いたものが、のちのち人さまの人生を変える可能性だってある訳ですよね。

自分の欲得だけで書いていても、文章に人間がでるといいますか、そんなのスグに見抜かれてしまうんですね。

ですから、自分の全人格、全能力の集大成と思って、デビュー作から真剣に取り組まれたほうが良いと思います。

それから、いくら書きたい、書きたいと思っていても、学生時代の私みたいにそれだけじゃ絶対にムリです。まずは、書かせてもらえる状況をつくることから始めてみられては、とアドバイスさせて下さい。


樋笠:思いのこもったアドバイス、ありがとうございました。良いお話が聞けたと思います。


福永:こちらこそ、ありがとうございます。

ところで、このメルマガって読んでますけど、スッゴクいいですね。無料で出していいの?って思って読んでいます。有料コンテンツにまとめて売り出したらどうですか?


樋笠:お褒めいただき感激です。はい、私がビジネス下手なもんで、まだまだ事業の形になっていませんが・・・。


■まとめ


再び本多です。「棚の日実」もいよいよ方針転換ですか。

お話に出たとおり日本実業出版は、手堅いテーマを揃えて常備棚でロング商品を売る版元だったんです。ある時代、日実のスタイルは他のビジネス書版元の模範でした。

しかし、最近は版元で棚をつくる書店がなくなりましたから、面陳で勝負する初速重視型にシフトを替えつつあるのですね。隔日の感あり。古豪復活、がんばってほしいです。

それで「メルマガ著者発掘プロジェクト」なんてやってたんですね。日実も著者がいないんですね。

それにしても「メルマガ読者2万9千人」は、著者を選ぶ際に大きな決め手になったのでしょう。基礎票2万9千はどこの版元にとっても心強いですから。

やはり日ごろからネットワークを広げる努力が大切です。

蛇足ですがインタビュー中、最初の本でコケたら次はないとありましたが、日実はそういう点では著者を大事するほうの編集部ですから、ちゃんと次のチャンスは用意してくれますよ。

いや、それよりこの『ランチェスター戦略<弱者逆転>の法則』が大ヒットすること祈念いたします。

さて、冒頭ごあいさつが長かったせいでまた分量が増えてしまいました。今週はこのへんで。

次週は「怪しい版元の見分けかた」をやろうか、どうしようか、いま悩んでます。なにしろ怪しいといえばみんなどこか怪しいですから・・・。

…………………………………………………………………………
◆◇今週のおすすめビジネス書◇◆

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新刊【ランチェスター戦略『弱者逆転』の法則】5/16〜29に買うと!?

弱者逆転の法則を知り、それを実戦すれば小であっても大に勝つことができます。ビジネス戦略のバイブルが56の事例と54の図解でわかりやすく甦りました。ランチェスター戦略コンサルタント福永雅文のメジャーデビュー作です。早期購読者様にはメルマガバックナンバーなど著者からプレゼントが!日本実業出版社刊。1470円。


《著者プロフィール》

福永 雅文氏(ランチェスター戦略コンサルタント
戦国マーケティング株式会社 代表取締役
NPOランチェスター協会 理事

1963年広島県生まれ。86年、関西大学社会学部卒業。広告代理店、コンサルティング会社にて戦略とマーケティングを実戦。99年、コンサルタントとして起業。現在、小が大に勝つ「弱者逆転」を使命に我が国の経営戦略のバイブルといわれるランチェスター戦略の教育指導活動を行う。コンサルティング業務の傍ら、年間40回程度のセミナー・講演・研修講師を務める。04年1月、メールマガジン「ランチェスター戦略『弱者逆転』の法則」創刊。読者数約2万9千人。著書「ランチェスター戦略『弱者逆転』の法則」日本実業出版より5/20発売しました!


【参考コラム】
『あのメルマガ発行者に聞く!福永雅文』(経営革新!2005/5/17)



    《編集後記》
 
いや、今週も文章長かったですね。いつもすみません。福永さん、きっと週末は、ワクワクしながら書店を廻ったんじゃないでしょうか。30ヶ所以上は。ホント、うらやましいですね。

今後はランチェスター戦略をテーマに、少なくともあと3冊は出したいそうで、すでに構想もあるそうですから、さすが!です。

皆さんも今すぐチャンスがなくても、これから5、6年後に向けて準備されてはいかがでしょうか。えっ、そんな悠長なことは言ってられない、スグ出したい!ですって?

それじゃ出版プロデューサーの本多さんに、ぜひご相談して下さい。このメルマガ編集長は世を忍ぶ仮の姿です。良心的にビジネスをやっていますので。怪しいといえば、少し怪しいですが・・・(樋笠)


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出版プロデューサー/本多 泰輔(ほんだ たいすけ)

プロデューサー・本多泰輔氏は、ビジネス出版社(版元)で20数年の経験をもつベテラン編集者から、出版支援プロデューサーに転身した人物です。その考え方について詳しく知りたい方は、本多氏編集のメールマガジン『コンサル出版フォーラム!本はあなたをメジャーにする』のバックナンバーをご一読下さい。








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