■著者が事件を起こしたら
ここのところ事件の主役は、みなさん本を出しておられましたが、なかでも極めつけのかたがついに司直の手にかかりましたね。
おはようございます。
本多泰輔です。
ライブドアの堀江貴文氏の本は、一昨年の夏、近鉄バッファローズ買収騒動以降なだれを打つように出てきました。それ以前に出した本もありましたが、目立ち始めたのはすべてプロ野球参入問題があってからです。
最盛期、堀江氏が毎月一冊ずつ出版していたのは、本人にとってはIR、というか株価を上げるための活動ですから積極的なのも当然です(もちろん出版自体は違法でも何でもありません)。
出版社にとっては、時の人に書いてもらえるならベストセラーも期待できるとせっせと口説いたのだろうと思います。
でも、実際に売れたのは『100億稼ぐメール術・・・』くらいじゃないでしょうか。とはいえ、ライブドアの株価の何%かには貢献したでしょう。
著者が何をやろうと出版社が傷つくことはほとんどありません。今回の一件がどのような結末になろうと、ほとぼりが冷めれば視点を変えたホリエ本はまた出せるのですから。著者が事件を起こしても出版社は痛みません。
それにしても市場の中での狼藉は、司直が出るまでもなく市場がきちんと監視し是正してほしいと思いますね。私は。
さて、樋笠インタビューです。
■サラリーマンの副業からスタート
樋笠:おはようございます。本日はメルマガ誌上で「インタビューさせてください」との呼びかけに応募していただいた、ノンフィクション・ビジネスライターの成田青央さんにお話を伺います。コンサルタントではないんですが、皆さんの参考になれば、と思います。
さて、成田さんは、いまライターが本業ですね。最新刊も含めて13冊を書いていらっしゃいますが、この世界に入ったきっかけを教えて戴けますか?
成田:4年前に友人の紹介で、ある求人誌の記事をたまたま書いたのがきっかけです。当時は札幌でサラリーマンをしながら企画を作ったんですが、意外と編集長に気に入られて。それで連載ものを書くようになったんです。
その頃は書くことを仕事にしようなんて全く考えていませんでした。習ったこともありませんし、自信もなかったです。
樋笠:まずは雑誌のライターの副業、だったんですね。出版デビューの第1作目というのは、その頃だったんですか?
成田:株の個人投資をやっていて200万円を元手に月50万円位の収入がありました。その成功体験を企画書にして出版社に送ったら、OKをもらって。本を書いたら、1万部以上売れて印税が100万円位になりました。
ちょうどその頃に、会社の私がいた部署がリストラになってしまいました・・・。私もクビです。月に15万円あれば十分生活できましたし、お金に困っている訳じゃなかったので、無理してすぐに就職することもないかな、と思って。
樋笠:そうでしたか。偶然のきっかけとはいえ、最初の本が1万部売れたとはスゴイですね・・・。
成田:その頃は札幌で活動していたんですが、月に何度か東京へ行ってアポイントをとって出版社に売り込んでいました。そうするうちに、本格的に活動するなら東京に引っ越ししよう、と自宅兼事務所というかたちでスタートしたんです。
■ビジネス指南本からノンフィクションルポまで
樋笠:これまで書かれた本を見ますと、株式投資やインターネットなどビジネス関係から、詐欺師や風俗嬢やペット虐待のノンフィクションまで、本当に幅広いテーマで書かれていますね。
成田:専門分野がひとつ、というタイプではないんです。自分の興味や好奇心のわくテーマで書きたいと思っています。あえて言えば、ノンフィクションものと、初心者向けのビジネス指南というあたりがメインテーマですね。
例えばノンフィクションものでは、ペット虐待の実態を書くために、実際に団体へ潜入取材をして、時間をかけて取材しています。これは自分が書きたいからやっている訳ですから、お金のためと考えると、全然割に合わないですね。
それでも、少数の読者でも直接反響の声をいただくと、本当にうれしいですし、書いてよかったと思えます。
【ペット虐待列島 動物たちの異議申し立て】
またビジネス関係のテーマでは、その専門分野のアドバイザーを自費で雇って、いろんな質問をしたり、書き上がったもののチェックをお願いしています。幅広いテーマを扱っていますので、自分にとっては必要なことなんです。
樋笠:そうなんですか。プロを自腹で雇うなんて、驚きです。さすが職業作家だなぁ、って思いますよ。
成田:最初、出版社側は「本当に書けるの?」っていう話になりますよね。私にはそんな職歴がある訳じゃないですから。ですのでアドバイザーを雇っていることをきちんとプレゼンして納得してもらうように心がけています。
■プロ作家の目標は、最低30冊以上
樋笠:プロのライターとして独立されてからは、ずっとそれだけで仕事をしていってらっしゃるんですか?
成田:2003年まではどんどん書いて出版していたんですが、2004年はほぼ活動休止というか、全然企画が通らなかったんです。すべて自分の書きたいことを売り込んでいますので、そんな年もあるかな、と。
並行して編集プロダクションをやっていまして、10社位から仕事を受けていました。仕事にもお金にも困ることはないんですが、とにかく時間に追われて忙しいのがネックで
したね。それで去年からはプロダクションの仕事はセーブしながら、再び執筆活動に時間を割くようにしています。
樋笠:今年の活動予定はいかがですか。
成田:ちょうど年末に「儲かる!インターネットビジネスの秘密」という本を発売しました。これは年末商戦に合わせてという要望で、2〜3週間くらいで完成させました。
【儲かる!インターネットビジネスの秘密】
あとは2月に決算書関係の本、これは株式投資家と就職活動の企業選びの両方を狙ったものです。
それから5月には転職に関するエッセイを予定しています。最近はフリーターやニートに対する風当たりが強いですが、自分の体験談も含めて、読んだら気が楽になる、勇気づけられるような本になればと思っています。
この本は、数多くの転職を経験されている志茂田景樹先生に連絡をとって、推薦コメントを頂きました。
樋笠:なるほど。直接、推薦コメントをお願いするとは、さすが成田さんらしいですね。
成田:快くOKを頂いて本当にありがたかったです。今後はだいたい年間4冊のペースで書ければな、と思っています。ある方から「30冊出してプロ作家」と言われたことがあるんですが、まだその半分ですし、まずは30冊を第一目標にしていきます。
■お金よりも、自分の書きたいテーマを
樋笠:それでは最後に、これから出版デビューを目指すみなさんへアドバイスをお願いできますでしょうか。
成田:私もライターの友人から「どうやったら本を出せるか」と、よく相談されることが多いんですよ。まず思うのは「営業やプレゼンが苦手な人、やろうとしない人が多い」ということですね。何の人脈もコネもなく、札幌からでてきた私が13冊出している訳ですから、決して不可能なことじゃないと思います。
実は雑誌なんかはけっこう仕事がたくさんあって、ライターで食べていくことは難しくないんですが、本を1冊出すというステップがわからない人が多いみたいですね。それで私の方でも、企画書づくりを手伝ってあげたり一緒に売り込みを手伝ってあげたりもしています。
それから、あまりお金目的で書くべきじゃないと思います。ベストセラーとか、何万部売るとかばかり考えていると、自分が何を書きたいのか分からなくなると思うんです。
確かに販売するための努力は必要ですし、私も自分で書店まわりもやっています。ビジネスとしては当然と思います。ただ本を出してお金を稼ぐというよりも、自分が書きたいというテーマを大切にして、売れたらラッキーくらいに思ったほうがいいですね。
樋笠:成田さん、いろいろと参考になるお話をありがとうございました!今後もときどきAmazonでお名前をチェックしてみたいと思っています。
■まとめ
今回はインタビュアーが誌上で取材先を募った結果という、ある意味究極のインタビューでした。普通の媒体では絶対にありえないことが、平然とまかり通る「タブーも粉飾もない」本メルマガの面目躍如です。
今後もこのトップインタビューは迷走を続けるでしょう。なにが出てくるか予測がつきません。みなさん楽しみにしてください。私も楽しみです。
ではまた来週。
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