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第055号 『出版に成功したコンサルタントに聞く
  〜金のたまごを生むがちょう、の村松達夫氏インタビュー〜』

おはようございます。
本多泰輔です。

CS朝日ニュースター毎週土曜日放送の「パックインニュース」を見ています。コメンテーターの一人、田岡俊次さんとは少しだけご縁があるのですが毎回大胆な発言をされるので大変興味深い。

正しいかどうかというより、現象の見方としてはっきりとした切り口を示してくれます。本当のことは当事者に聞くしかないので、第三者が真相に近づくためには現象を見る作法を学ぶことが大事です。

虚実の入り混じった情報のスクランブルの中で真実を検証しようと思えば、情報解析の方程式と定理が必要なわけで、この定理を持ったジャーナリストはとても少ないと思います。

MCが愛川欣也なので番組全体としては硬派な印象はありませんが、地上波報道番組を含めても出色だと思います。

惜しむらくは見ている人が少ない。
例えていえば谷間に咲く山百合の花。

このメルマガと似ているなあと思いつつ今週もお送りします。今週の樋笠インタビューはユウメディアから本を出した村松さんを取材します。

では本編です。


■出版は、あまり興味がなかった


樋笠:村松さん、お忙しい中ありがとうございます。本日はよろしくお願いします。今回、第1作目の著書を出版されましたが、まずは最初のきっかけから教えていただけますか?


【あなたの会社にお金があふれる 金のたまごを生むがちょうの増やし方】


村松:私は純粋にコンサルティング業が好きで、クライアントに向き合うのが仕事だと思っています。ですので、本の執筆や、講演活動などは、正直あまり興味がなかったんですよ。

とはいえ、コンサルティングって外からわかりにくいようで「何をやっているの?」と言われるのが一番ツラくて。そういう意味では、対外的に自己表現していく必要も感じていました。

具体的なきっかけは、2004年の9月に開催した、自社セミナーです。日頃から、経営者の方から「売上アップのアイディアが出ずに悩んでいる」といった話を聞くのですが、私にとっては、えーっ、ウソだろう!?って感じなんですよ。

つまり、売上を上げるアイデアなんてたくさんあって、それを形にできていない、つまり実行できていないはずと思って『アイデア活性化セミナー』というものを企画・開催しました。

このセミナーでは、参加型で、私が方法論を教えながらわいわいと盛り上がりながらイヤというほどアイデアを出してみよう、という趣旨なんです。すると・・・出るわ出るわ。少ない人でも10コ以上は売上アップのためのアイデアが出てくるんですね。あとは、それを確実に実行に移していくだけなんです。

やる勇気がないとか、周りの目が気になるとか、そんな恐れを払拭して実行していくことが大事だと気づいていただきました。


樋笠:なるほど。そのセミナー、非常に好評だったんですね。それでそのノウハウを本にしようと。


村松:このセミナーが、私の転機になったと思っています。それまでは出版なんて考えていなかったんですが、受講者の社長からも「これは分かりやすい方法だし、もっと多くの人に伝えたほうがいい」と言われまして。

私も、1冊書くのはなかなか大変そうだと思っていたんですが、けっこう周りの人間も書いていましたし、思い切ってトライしてみようと思いました。


■セミナー参加が縁で


樋笠:それで出版社へのアプローチは、どのように?


村松:当時、勉強のためにいろんなセミナーに参加していまして、そこでたまたまユウメディアという出版社の社長と名刺交換しました。

そして同じくセミナーに参加されていた中井隆栄さんが、ちょうどユウメディアさんから『1日を48時間にして夢をかなえる』という本を出版されていて。
   
その本を見て、内容も面白いし、デザインもかっこ良かったので、ユウメディアさんに企画書を見てもらうことになったんです。


樋笠:なるほど、それでユウメディアさんに決まったんですね。


村松:中井氏とも仲良くなって、当社のセミナービデオを買っていただいており、これは面白いと推薦もしてもらっていたので。比較的、スムーズに話が運びました。

ただ、出版社のアプローチは、それだけじゃなかったんです。やっぱり出版するって、そう簡単じゃないと思っていましたので、友人を通じて紹介された出版エージェントにも併行して依頼をしていたんです。
   
実はユウメディアさんからOKのお返事をいただいた後に、2、3社から返事をもらったんですが(笑)。最初に決まったユウメディアさんにお願いすることにしました。


樋笠:えっ、もったいない、というか決まる時は決まるもんですね。それもご縁でしょうね。


■本と一緒に、カードも同時制作!?


樋笠:執筆のほうは、順調に進みましたか?


村松:昨年の5月に打ち合わせを終えて、6月に書き始めて、8月には完成しました。実質2ヶ月くらいでしょうか。すでにネタがありましたので、書くのは早かったです。25分で見開き4ページのペースで書けました。


樋笠:この本は、脚色といいますか、「金のたまごを生むがちょう」という例えが面白いですね。こういったアイデアはどこからでてきたんですか?


村松:最初の中井先生の本が「魔法のランプ」をもじっていまして、ユウメディアさんの方から、そういう面白そうな雰囲気があると良い、と言われていました。

それで童話など考えながら、アレンジしていって、金のたまごという売上を増やすアイデアと、それを生むがちょう、という設定で考えました。


樋笠:おまけに、びっくりしたんですが、これは本だけでなくトランプのようなカードを同時に制作されていますね。なんだかポケモンカードのようなノリで、けっこう遊び心があるな〜、って驚きました。


村松:SALES RISING CARD [セールス ライジング カード]、通称「たまごカード」って言うんですよ。

そもそも、この本は1回読んで終わり、じゃなくて、繰り返し何度も読んで、実際に使って欲しいという願いがありました。結局、読んでわかったような気になって、何も実行に移さなければ意味がありませんので。

それで、英単語帳のノリで、カードみたいなもの作れないでしょうかね・・・と頼んでみたら、面白い、やりましょう!という話になって。本当に作ってしまったんです(笑)。

「客単価」のカードと「販売個数」のカードと「値上げ」のカードを組み合わせて・・・という感じで、楽しみながらアイデアを浮かべてもらいたいですね。


樋笠:ユウメディアさんは、いま流行の秋葉原系のイベントなども手掛けている会社らしいですね。そのへんは、やっぱり普通の出版社じゃ、難しかったかもしれませんね。


村松:私はセミナーでも、ビジネス書でも、読んだ人が主役といいますか、主体的に取り組んで欲しいと思っています。

書いてあること自体が目新しいかというと、そうではなく、経営者自身がヒラメキを感じるというか、そういった瞬間が宿るのが私にとっての喜びなんです。ですので、本だけじゃなく、こういったカードも使って実際の経営や売上アップに役立てていただければ本望です。

本を読んでいただいた方からも「例えばインターネットのノウハウなら、それを必要としている目的の人しか読まないけど、これはジャンルを問わず誰にも読めるし使えるね」と言ってくださってうれしかったです。


■無理やり出版すべきじゃない


樋笠:では最後に。これから出版デビューを目指すコンサルタントの皆さんにアドバイスをお願いできますでしょうか?


村松:自分が有名になりたい、という動機だけでは、私は本を書くべきじゃないと考えています。こういう考え方、こういうアイデアを、もっと広く世の中の人たちに知らせたい、共有したい、と心から思える時が、出版すべき時期だと思います。

私自身、開業1年目のころは、もっと有名なら仕事が入るかも、と思ったことがありましたが、あの頃に本を出さなくて良かった・・・と、今では実感していますので。つまり、本当にノウハウの引き出しや、伝えたいことがないのに、無理に企画を考えてしぼりだして本を書くと、そのイメージばかりが先行してしまって自分自身が苦しくなると思うんです。

不等号(記号)で表しますと、

『自分自身 < 本のイメージ』

でなくて、

『自分自身 > 本のイメージ』

という状態が理想だと思います。本のノウハウは自分自身の、ほんの一部、といったイメージですね。あせらず、そういう時期や時流が来るのをじっくりと構えているのがいいんじゃないかと思いますよ。


樋笠:村松さんらしい解説ですね。良いアドバイスをありがとうございます。本日はありがとうございました!


■まとめ


再び本多です。

「がちょうの増やし方」というので、がちょう飼いかたを書いた畜産関連の本かと思いましたがそうではなかったのですね。れっきとしたビジネス書でした。失礼しました。

「お金もうけ」というダイレクトな表現がタイトルに登場するようになったのは、80年代終盤のバブル期が解禁だったと記憶しています。それ以前は露骨過ぎるタイトルとしてさすがのビジネス書でも避けていました。

バブル崩壊以降、一度禁を破ったものはもう怖くないと、特にここ5〜6年のビジネス書ではやたらとこの文句が出てきます。

傾向としてE、Fグループの本に多いですね。

こうした背景には、それなりに社会というか世相が反映されていると思います。

婉曲ではなくストレート、文学的であることよりもわかりやすさ優先。非文芸と言ったほうが正しいかもしれません。

是非もなしというところでしょうか。

ということで、来週は「読者はなぜわかりやすさを求めるか」をテーマにいたします。お楽しみに。

…………………………………………………………………………
◆◇今週のおすすめビジネス書◇◆

【あなたの会社にお金があふれる金のたまごを生むがちょうの増やし方】

著者:村松 達夫  出版社:ユウメディア  価格:1,470円

もし、あなたの会社が「売上が下がっている!」「今すぐ、アップしなければならない!」そんな状況になったら、いくつ打つ手がありますか?2つ?3つ?それとも5つ?

なんと48通りもの売上アップの方法があなたの会社には眠っているのです。その48通りの方法を童話『金のたまごを産んだガチョウ』にたとえて、 事例やイラストをふんだんにまじえ、分かりやすく解説。

8羽の「利益をもたらすがちょう」にさらに金のたまご(=利益)を生ませ、 6倍の48羽に増やすことで誰でもすぐに売上アップできる、ノウハウをぎっしり詰め込みました。

今、売上に悩んでいる経営者の方。また、これから起業を目指す方。 今後の飛躍のために必読の1冊です。

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《著者プロフィール》

村松 達夫(むらまつ たつお)
スタンド・バイ経営コンサルティング 代表

1970年生まれ。経営コンサルタント。中小企業診断士。大学卒業後、準公務員勤務後、2000年1月に独立開業し、スタンド・バイ経営コンサルティング代表就任。現在は『楽しみながら業績をアップさせる!』をモットーに、経営者の身近な相談者としてサポートを行なう。歯科業界向けのコンサルタント会社(株)ビジョナリープラネット取締役も兼務。その他、名古屋商工会議所の中小企業相談所エキスパートや学校法人あいちビジネス専門学校マーケティング論非常勤講師などの公職も兼務し、活躍中。



    《編集後記》
 
手帳本がブームになってから、付属の手帳を制作するような事例は知っていましたが、今回の村松さんのようにカードを制作するのは初めて知って驚きました。経営者に使ってもらうのはもちろんですが、子供にも見せられるのがイイですね。こういった形に残るのは本当にユニークなアイデアだと思います(発行者:樋笠)





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出版プロデューサー/本多 泰輔(ほんだ たいすけ)

プロデューサー・本多泰輔氏は、ビジネス出版社(版元)で20数年の経験をもつベテラン編集者から、出版支援プロデューサーに転身した人物です。その考え方について詳しく知りたい方は、本多氏編集のメールマガジン『コンサル出版フォーラム!本はあなたをメジャーにする』のバックナンバーをご一読下さい。








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