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第060号 『春到来!さあ企画書をつくろう』

おはようございます。
本多泰輔です。

祝WBC優勝!

結局、野球は市場原理や時価総額では決まらない、つまり年俸ではなく実力なのだということが世界中に証明されましたね。

それにしても日本プロ野球が優勝してよかったよかった。
あんなに負けたのに。

話は変わってもうすっかり春です。

この冬はいつにもまして寒かったという印象ですが、明けない夜はなし、花粉症の悪化と共に本格的な春の到来です。

今年はなんとなくマスコミ情報で景気も回復といわれていますので、身も心も春、今年の花見は全国的に力が入りそうです。

さて、春といえば新年度、新年度に向けて出版各社も気分一新、企画リニューアルに関心が高まっている時期です。

そこで、もう何度もここで扱ったテーマですが、ま、何といっても出版のために企画書は基本中の基本、このメルマガのレイゾンデートルもこの一点に尽きるわけですので一応新年度を目前にし、もう一度おさらいしておくのも悪くないでしょう。

何度目かの企画書の書き方です。


■基本構成


すでによくご存知のとおり企画書の基本構造材は次の通り。

1.テーマ(仮タイトル)
2.コンテンツ(仮目次またはプロット)
3.著者略歴
4.企画趣旨(企画のねらい、または序文)
5.本文ページサンプル(数ページ)


女性の場合、自信があれば別途写真をつけてもいいですが、まあ、つけてもつけなくてもあまり大きな影響はありません。

もし、内容の表現方法に特徴があるならページサンプルは重要ですが、そうでなければ5は別になくてもどうということはありません。むしろ格別特徴ないならサンプルページはつけないほうがよいとさえ言えます。

1と2で十分理解できるほどにわかりやすい企画であれば、4もなくていいのですが面倒でなければ一応付けておいたほうが無難です。いずれにしても極めて当然ながら1,2,3は企画書必須項目です。

この他、つけ加えて有効なものといえば、発売後の販売戦略への協力提案、つまり著者自身でできる販促協力の提案くらいでしょうか。

初めてこのメルマガを見るかた(もういないでしょうが)は「原稿はなくていいのか?」と訝しんでいるかもしれませんが、最初は企画書だけで十分です。

表紙のデザインを考えたり、タイトルに凝って何種類もつくってみたりと、あれこれ工夫された企画書を持ち込まれる著者もいますが、熱意が伝わるという以上の意味は特段ありません。

一般論としては、新人著者がつくったタイトルや表紙デザインが採用されることは普通ありません。

でも、熱意が伝わるということは大事です。しょせん人と人の関係ですから。
それにしても厚くなり過ぎないように。


■テーマ・仮タイトル


企画書の構造材の中で最も重要な要素です。
テーマ・仮タイトルは企画そのもの。

ここでは言及しませんが、テーマの表現方法のコツは内容がイメージできる短いフレーズであることが理想です。

テーマ、または仮タイトルをつけない企画書は、企画書として不備であり著しく不利です。何の企画なのか最後まで読まなければわからない企画書というのは、その段階で最後まで丁寧に読まれることはありません。

必ず冒頭につけましょう。

編集の仕事は企画書審査ではありませんので、わかりにくいものは最初に排除されてしまいます。

つけたテーマ・仮タイトルに相応のインパクトがあればなお結構ですが、思いつかなければ説明的な長いものになっても構いません。

いま単なる「コーチング」とつけたのでは、類書が多い中、企画として魅力がありません。

→「セールスマネジャーのための同行セールスで部下を育てるコーチング技術」

とか、ねらいを明確にする必要があります。だらだらっとしてますが、しっかりと意図が通じるほうが大切です。

持ち込む出版社によっては、奇を衒う穿ったテーマをつけるより、わかりやすいオーソドックスなテーマを好むところもあります。

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』以来、一見なんじゃこりゃというタイトルが増えていますが、企画書ではあえて冒険する必要はありません。

「新会社法の実務入門」とか「売上を上げるブログの使い方」とか、そのまんまひねりもなんにもないやつで十分です。

どうしてもセンスを光らせたい人は思いっきりやってもらっていいのですが、『国家の品格』をパクって「会社の品格」とか、『下流社会』を「下流会社」とするようなミエミエのテーマは、避けたほうがよいですね。

そういうパクリの好きな版元には受けるかもしれませんが、相手を選んで送らないと陽の目を見ることはありません。

どこがパクリに寛容かは、本誌バックナンバーをご覧ください。


■仮目次


仮目次・プロットについても過去にずいぶん詳しく書いてますので、簡単に触れることにします。

テーマが面白いとなったら、編集部でも少し真剣にプロットに注目するようになります。翻せばテーマがつまらなければプロットが精査されることもありません。

ですからプロットで肝心なことは、ひとつはテーマに応じた項目であること。羊頭(テーマ)狗肉(プロット)にならないように。

当たり前ですけど。

つまり、仮目次・プロットはあまり書きすぎないことですね。仮なんですから仔細な記述が求められているわけではありません。

30項目も40項目も書き込んで、テーマからそれてしまうくらいなら、10項目か20項目くらいに留めておくことを奨めます。

またプロットだから短い文句で書かなければと思いがちですが、別に極端でなければ長くなっても構いません。

その理由は、本のタイトルも目次も本来編集の仕事だからです。

企画書でどんなにひねろうと、あるいはどんなにひねりがなくても、本を発行する段階では何の影響もありません。著者の勝負は企画書です。

企画書は企画を通すための手段ですから、企画の趣旨・ねらいをよくわかってもらえる方法を選べばよいわけです。

企画書の命は斬新なテーマとわかりやすさです。


■略歴


企画書に掲げたテーマを書くに相応しい経歴があるかどうか、経歴の注目点はここにつきます。

株の本の企画を出した人が、一度も株をやったことがない、ということはないでしょう。会計の本を書く人が、会計士であるかどうかはともかくも、企業会計に携わったことがないなどということもありません。

提案している企画テーマに関係する実務について、強くアピールすることが略歴を有効に生かす方法ですから、関係のない部分は書かなくてもいいくらいです。

あんまり書かないと却って怪しまれますけど、あくまで略歴ですから肝心なことを強調するよう心がけましょう。


■序文


企画趣旨とか、企画のねらいを別途記してもかまわないのですが、文章力を軽くアピールするなら序文を書いて、企画書に付けておいてもいいでしょう。

普通序文というのは本を書くに至った経緯とか、そのねらいが書かれていますから一石二鳥です。ただ、「本書発行にはだれだれさんに尽力いただいた」というような文言はまだ早いです。

趣旨やねらいはテーマとプロットで表現されることが理想的ですと前段で申し上げていますので、趣旨説明の文は要らないんじゃないかと言われそうです。

でも、首尾よく明快なテーマやプロットがつけられるとは限りませんので、よほど自信があるかた以外は、やはりつけておいたほうが無難なんじゃないでしょうか。


■サンプルページ


サンプルページもよほど文章に自信があるか、あるいは図表・図解など表現に特徴あるのでなければ、あえて添付する必要はありません。

単なる文章だけであれば、むしろないほうがいいような場合も多いので、添付しようか外そうか迷ったときには外してください。


■まとめ


なにはともあれ、企画書をつくっただけでは一歩も前に進みませんので、出来た企画書は早速出版社へ提案してみましょう。始めから上手く行くことは少ないですが、トライを続けることが大切なことです。

WBCのように予選で3つ敗けていても、6戦全勝の韓国に勝つこともあるし、5勝のキューバを降し優勝することもあるのですから、最後まであきらめずに希望を持っていきましょう。

なにしろ春なんですから。
ではまた来週。




    《編集後記》
 

このメルマガも約1年間連載してきました。読者の皆さんは、コンサルタントで出版デビューを目指している方、と勝手に思っているんですが、実際に「企画書」を書かれたでしょうか?そして出版社に「トライ」してみたでしょうか?ぜひみなさんの体験談を(成功談・失敗談含め)お聞きしたいと思っております。

勇気をだしてご一報いただけますと嬉しいです。成功された方はデビュー作のPRにもなりますし、過去に失敗された方は、チャレンジの途中段階として参考になるお話を伺えればと思います(匿名もOK)。皆さんからの体験談、お待ちしています!(発行者:樋笠)

 


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出版プロデューサー/本多 泰輔(ほんだ たいすけ)

プロデューサー・本多泰輔氏は、ビジネス出版社(版元)で20数年の経験をもつベテラン編集者から、出版支援プロデューサーに転身した人物です。その考え方について詳しく知りたい方は、本多氏編集のメールマガジン『コンサル出版フォーラム!本はあなたをメジャーにする』のバックナンバーをご一読下さい。








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