おはようございます。
いままでいろんな人に「効果抜群」と称される、合法、非合法のサプリメントをもらいましたが、何を飲んでも効果が発現しなかった本多泰輔です。
風邪薬はちゃんと効くんですけどね。
最近、酸素水が各飲料メーカーから発売されました。あれも6年前にもらったことあるんですよね。当時は日本食研だけが販売権があって、他社では飲料としては売れず用途開発中で「金魚が長生きする」といわれ何リットルか分けてもらいました。当時は飽和酸素水っていってました。
あれでダイエットができるとは思えないのですがね。
さらに余談ですが、最近わけわかんないタイトルの本を多く見かけます。多く見るということは売れている証拠。ちょっと不思議な現象です。
『千円札は拾うな』『なぜ社長のベンツは4ドアなのか』他にもありますが、タイトルでは何の本かわからないのに、あえて意味不明のタイトルをつけるのは、やはり『さお竹屋はなぜ潰れないのか』に影響されているのでしょう。
エスプリというほど上等ではないし、私には「しゃらくさい」タイトルにしか見えないのですが、若い読者のかたがたはこうした奇を衒ったタイトルに惹かれるのでしょうか。
それともタイトルがよければもっともっと売れたはずの本なのでしょうか。
さて、先日、ここ数年成長著しいビジネス書出版社の社長に会いました。今回はそのお話をします。
■求めている企画
社名をいえばどこの書店にも本が置いてある出版社ですからすぐわかりますが、思わぬご迷惑をかけてもまずいので、仮にA社といたします。
冒頭こんなことを言ってました。
「いまは、プロが素人のブログに負けている時代。なかにはプロよりも上手な原稿を書く素人もいるし、貴重なビジネス経験を書いているサラリーマンもいます」
著者としてプロ・専門家の優位性は後退し、いまやズブの素人と同じ目線で見られているということでしょうか。これはまた悲惨な話です。ただ、こうしたプロの衰退傾向は間違いなく出版界の一部にあります。
とはいえ、逆説的には過去に出版実績のない新人さんでも大いにチャンスがあるととらえることもできますから、まんざら悲惨の極みというわけでもありません。
では、みんなでブログにせっせと書き込み、とにかく出版社の目にとまるまで顔見世を続けるしかないのでしょうか。否、それではこのメルマガの面目が廃れます。本メルマガは常にさらに半歩踏み込みます(ときどき踏み外します)。
話はもう少し続きます。
「本には大きなマーケット、つまりベストセラーをねらうものと、コア読者をねらったものがある。コア読者をねらってはずさないのがビジネス書編集者の腕であり、また出版社のレベルです」
出版社としては出す本すべてベストセラーになれば最高です。人気ブログを探し回るのは、大きなマーケットで売れる本を求めているからです。10万部、50万部をねらえばこそ、うんざりするほどウェッブ上に氾濫するブログをチェックしているのです。
ま、ねらっても大抵は外れますが。
一方、ベストセラーにはならずともコアな読者のいる本も出版社にとっては必須アイテムです。プロ・専門家の優位性が発揮されるのは、むしろこちらのジャンルですね。
出版社はたくさん売れるほうがいいですから、素人のブログに目が行っていますが、餓死寸前まで大物をねらい続ける出版社もまたありません。
ベストセラーねらいでは素人のブログに負けても、手堅いテーマでコア読者を獲得するところにプロ・専門家の真骨頂があり、そこに優位性が光るわけです。
つまり、「プロ・専門家に求めるのは素人ブログのようなテーマの本ではない」とA出版の社長はおっしゃっていたのでしょう。
■流行のテーマは
「注目のテーマというのは、多くの場合、世間に知れわたった段階で著者から提案される。情報としての鮮度が落ちたものをそのまま提示されても出版社としては受け取りかねる。」
素材は生のままでは困る。料理、あるいは加工をしてくれということですね。例えば、07年問題はテーマとしてどうなのかと伺いました。
「07年問題はすでに目前だが、ここまでのところあまり目立った動きの本はありません。団塊の世代のマーケティングをテーマにした本は、三菱総研や矢野経済研究所などからたくさんの本が出ているものの、一般読者に広がるまでには至っていない」
つまりシンクタンクどまりで、書店市場で売れるテーマではないという見解でした。
A社にあっては、07年問題という大きなくくりでは、もう売れる本の企画とは見られておりません。提案する際には、もっとシャープな切り口の企画が求められます。
「20年若く見られる話しかた」とか「歩くほどに関節痛が治る歩き方」とか「本当に大切な人にだけ財産を残す法」とか(どれも大してよくありませんが)、まあ、なんらかの斬新な切り口を示した企画にしてほしいということでした。
話題性のあるテーマ、流行のテーマに関する企画を提案しようというときにはこのことを思い出してください。
しかし、それとは別に出版社編集部も常に新しい話題に敏感についていってるわけでもないので、業界の変化や市場の変化について、それぞれの専門分野で最先端情報を適宜供給してくれるプロのかたは、それはそれで大変ありがたい存在です。そうした情報交換によるお付き合いから、新しい企画が生まれることもあります。
基本的には出版社は著者からの情報提供を歓迎しています。
ので、まずはご連絡をいただきたいとA社社長も言っていました。
■出版社訪問の心得
さて、機熟し、入魂の企画を出版社に持ち込むとき、さて、どんな手続きをとったらいいのでしょうか。これは直接語ってもらいましょう。
「まず最初に電話、あるいはメールで『こういう企画があるのだが・・・』とご連絡をいただいたほうがよい。直接持参されるか、企画書・資料のみを送るかは、編集者との電話での話しで決めていただきたい。送付だと不安に思うかたもいるかもしれないが、編集者も事前にわかっておれば送られてきたものにきちんと目を通します。
突然来社されるのは、やはり具合が悪いと言わざるを得ません。
また、書類を送ってから2週間くらいは検討時間と見て欲しい。
よい企画であれば2週間以内には著者へ連絡します。
編集者の注意を喚起するには、送付資料を送るときに送り状をつけ、そこに『2週間程度で結果についてのご連絡をいただきたい』と記しておくとよいと思います。それでも連絡がないようであれば、著者から編集部へ連絡を入れてみてください。
また、送り状に『編集者の評価、意見を聴きたい』と記しておくと、以後の参考になるアドバイスが得られるかもしれません」なお、企画を提案する際に必要なのは以下の点だそうです。
「企画書」
テーマ、目次の明記は云うまでもなく、なぜこの企画が売れるのか、その根拠を示して欲すこと。根拠は漠然としたものでなく、データや経験に基づいたものが望ましいのも、また云うまでもありません。一般に溢れている新聞記事などでなく独自の情報で述べられると説得力があって有効です。
「著者略歴」も必要。
「サンプル原稿」
最も肝となる部分の原稿。分量としてはA4用紙、10枚程度(本としては20ページくらいに相当)。図解であればサンプル図も必要。
■まとめ
A社でも会社の成長につれて、編集プロダクションからの企画売り込みも増えているそうです。ある程度規模が大きくなると、発行点数の多さから編集プロダクション、あるいは外部の編集者を使わずに出版業務をこなすことは困難ですから、大手出版社はいくつかの編集プロダクションとの付き合いが必ずあります。
編集プロダクションは出版社に企画を売り込み、編集作業を請け負ってなんぼの仕事ですから、売り込むためには企画書や原稿のブラッシュアップもします。編集プロダクションとよい協力関係が築ければお互いのメリットがあるでしょう。
最近は企画を公募し、集まった企画を出版社に送るサービスをやっている編プロもあります。こういうのもひとつの手段ですが、A社社長の言うには「編プロの公募に企画を送るなら、ついでに出版社にも送っておいたほうがいいよ」ともおっしゃってました。
コア読者ねらいの本がベストセラーになることもめずらしくはありません。最初は手堅くとも夢は無限に広げてもいいのです。
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