おはようございます。
本多泰輔です。
航空会社は、このところの円高で各社とも少しずつ持ち直して来たようですが、その中で已然大量のリストラを行わなければならないJALは、一社だけだけ取り残されています。
JALのマークは20年位前に、当時の鶴のマークから現在のマークに変わったわけですが、いまになってJALのマークを見るとAの部分に入っている右斜め上から左下に弧を描いている赤いラインが、バッサリけさがけに斬り下されているように見えます。
Aの部分とは、JALのAでありJASのAでもあるわけです。問題の核心を突いたデザインですね。JALはリストラの前にとりあえずマークを変えたほうがいいんじゃないでしょうか。
さて、今回の樋笠トップによる著者インタビューは、今週第二作が出る福永雅文さんです。
■手堅く3万部のロングセラー。その続編とは・・・
樋笠:福永さん、この度は第二作目の出版おめでとうございます!いよいよ今週の3/23に発売だそうですね。
【ランチェスター戦略 一点突破の法則】
前回出版された時にインタビューをさせて戴きましたが、あれから第二作目に至ったきっかけを教えて下さい。
福永:2005年の5月20日に第一作目が発売されて、すぐに重版がかかったのです。それから第3刷までも早くて。やはり初動が良かったというのが、第二作目につながった一番の理由です。日本実業出版社さんからは、すぐに「次作を当社で出しませんか」というオファーを戴きました。
樋笠:さすが、やはり実績がでると違いますね。発売2年足らずの間に、第8刷・累計3万部を突破したといいますから、さすがです。それで、スムーズに話が進んでいったのですね。
福永:私は物書きが専門ではありませんので、その時はまた機会があればというくらいに軽く考えていました。それで具体的に構想を考え始めたのが、ちょうど2005年の1月頃だったと思います。
実は、おかげさまで第一作目の反響が大きく、仕事が増えていたんですね。どうも本業が忙しくなると、ついつい、執筆はあと回しになりがちで。どういう企画にしたらいいだろうと思い悩みながら、なかなか筆が進まなかったです。
それから、メルマガ読者や講演を聴きにきた方々と会話をしていますと、
「ランチェスター戦略はよく分かるのだが、小さな会社にとってはマーケットシェアひとつ調べるにもハードルが高く、なかなか自分で実践するのが難しい」
というご意見をときどき耳にするようになったんですね。これで吹っ切れました。よし!中小・零細企業のみなさんに役立つようなランチェスター戦略の実践的な体系をまとめてみよう、と決心しました。
その体系がまとまったのが10月頃。それから正月休みの間までの期間で、ほぼ全体を一気に書き上げていきました。
樋笠:なるほど。企画が決まるまで、けっこう色々と思い悩んだのですね。それで編集サイドの意見はどうでした?
■あえて悩みやネガティブな面をさらけだす
福永:ひとつだけ要望をいただきました。それは、ランチェスター戦略を実践していった時の失敗談といいますか、うまくいかなかった事例といいますか。あえて悩んだことや、ネガティブなことも書いて欲しいと言われました。
確かにランチェスター戦略はいいですよ、とほめるのは簡単ですが、やはり実践していく上での悩みや不安材料なども、正直に書いていったほうが、読者の役に立つと思ったのです。この本のカバーにこういう一文があります。
“弱者は万人受けを狙うな!けれど一点集中で陥る売上減の罠…。自らも悩み迷った証がここにある。ナゾは解けた!”
まさにこのコピーが、私が実践で悩んできたことを表現しています。おそらく編集サイドからの要請がなければ、こういう本にはならなかったのではないでしょうか。
樋笠:確かにランチェスターの弱者の戦略では、重点化で絞り込むことが語られていますね。
福永:それが中途半端だと、かえって捨てた分の商品の売上が減るだけで、なかなか効果が出にくいんです。またそれ以前に、絞りこんだり捨てたりする確証がもてずに導入できない。つまり、戦略レベルだけでは勝てないんです。
それには戦術レベルで、圧倒的な集客力(空中戦)と営業力(接近戦)が伴っていなければダメだということです。とくに集客力では、ランチェスター戦略ができた当時には、“インターネットがない世界”でしたから、時代に合わせて解釈して進化させていく必要があるんですね。
その当時では「強者の戦略」として考えられていた遠隔戦による集客力は、実はインターネットを使えば弱者にでも取り入れられることを言いたかったのです。
また弱者というのは、もちろん中小・零細企業だけでなく、大企業であっても二番手・三番手に甘んじている事業部の戦略にも十分使うことができます。
樋笠:今回、第二作目ということで、最初とは違っていることも多いと思いますが、率直にどういう風に前回との違いを感じますか?
■実績を出したら、出版社の期待値も大きくなった
福永:第一作目のときは、すでに書きたいことがあったので原稿自体は早く出来ました。しかし書きあがったあとに編集からの原稿量の調整がたくさん入ったので、こちらが大変でした。
第二作目は、逆に、企画・構成を考える段階でけっこう時間がかかりましたね。そのあとは、原稿量のコントロールもだいたい掴めていましたし、書きあがってからの修正も少なく、スムーズに進行できました。やはり慣れですね。
ビジネス的なことをいえば、率直にいって出版社の私の本への期待値が変わったように思います。第一作目が3万部突破したので、第二作目は初版の発行部数も増え、宣伝も前よりも積極的にしてくださるようです。
期待値が大きいということは出版社の投資が大きいということですから、身の引き締まる思いです。期待に応えられるように私自身も積極的に販促活動を行わなければなりません。
樋笠:結果的に、よい出版社さんと巡りあえたんですね。
福永:そう思います。もっと大きな出版社さんもありますが、日本実業出版社さんは、大手ほどの瞬発力はないかもしれませんが、ジワジワと持続力があると思います。
このランチェスターというテーマも、じっくり売っていきたいテーマだったですし、相性が良かったですね。派手なベストセラー狙いでなく、実務的なテーマでじっくり取り組んでいきたい方にはお勧めしたい出版社さんです。
樋笠:それでは最後に。これから出版を目指す方へ、第二作目の出版に成功したコンサルタントとしてアドバイスをお願いできますでしょうか。
■出版は空中戦の強力な武器になる
福永:コンサルタントのみなさんは、やはり私と同じく本業に活かしていく目的で出版されるのだと思います。私は販売・マーケティング系のコンサルタントですが「ランチェスター戦略」の専門家になることで一点突破しようと思いました。
今回の本に書きましたが、弱者が一点突破するには差別化・集中化するという戦略に加えて、集客力(空中戦)と営業力(接近戦)という戦術が欠かせません。
出版はコンサルタントにとって非常に強力な空中戦の武器です。ぜひみなさんも、自分の戦略やシナリオを実現される手段として、出版を検討されてはいかがでしょうか。
樋笠:福永さん、色々と参考になる話をありがとうございました!
【バックナンバー】福永雅文氏インタビュー(第17号)2005/5/23
■あとがき
再び本多です。
2年で3万部ならロングセラーというより、「ヒット」といっていいでしょうね。
ロングセラーというのは年間5千部〜1万部くらいを5年、10年と続けるものをいいますから。今後、5年くらい年間1万部ほど売れ続けていけば、優良な「ロングセラー」になりますから、がんばってください。
私の知る限りでは20年間で70刷りという本もあります。
スーパーロングセラーですね。
あと、日本実業出版社はビジネス書版元の中では立派な大手です。日本実業を超える大手となると総合出版社、つまり講談社や集英社、あるいは日経ということになります。
3万部の販売力は、昔日の業界トップ日実の底力が今も健在という証左でしょう。3月の声を聞いてから、春が遠くなったような気がしますが、いつか花咲くときは来ます。
そのときが来るまで「青年よ身体を鍛えておこう!」
では、また来週。
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◆◇今週のおすすめビジネス書◇◆
【ランチェスター戦略 一点突破の法則】
ロングセラー『ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』(2005年5月発行、現在7刷)の実践版。本書は小さな会社が「強者」に勝つための戦略・戦術の解説に特化。とくに「集客」「営業」を徹底解説した応用版!事例・図解ともに豊富。独自の事業戦略ワークシートを9つ掲載!(日本実業出版社)
◎福永さんより無料プレゼント!
「ランチェスター法則、弱者の基本戦略、弱者の5大戦法、弱者のナンバーワンづくり」について簡潔にかつ事例を交えて解説したPDF小冊子です。A4サイズ13ページのお手軽な量です。→コチラ
《著者プロフィール》
福永 雅文(ランチェスター戦略コンサルタント)
戦国マーケティング株式会社 代表取締役
NPOランチェスター協会 理事
1963年広島県生まれ。86年、関西大学社会学部卒業。広告代理店、コンサルティング会社にて戦略とマーケティングを実戦。99年、コンサルタントとして起業。現在、小が大に勝つ「弱者逆転」を使命に我が国の経営戦略のバイブルといわれるランチェスター戦略の教育指導活動を行う。コンサルティング業務の傍ら、年間40回程度のセミナー・講演・研修講師を務める。04年1月、メールマガジン「ランチェスター戦略『弱者逆転』の法則」創刊。発行部数3万5千部。著書「ランチェスター戦略『弱者逆転』の法則」日本実業出版社は3万部を突破!
【参考コラム】
『あのメルマガ発行者に聞く!福永雅文』
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