おはようございます。
新内閣、次はどの大臣から火の手が上がるのだろう、そもそも秋の国会までもつのだろうか、と本当はみんな内心そう思っているに違いないと疑っている本多泰輔です。
また防衛ネタですけど、先週、海上自衛隊最大の護衛艦(ま、要するに軍艦です)「ひゅうが」が完成したというニュースが報じられました。「ひゅうが」はヘリコプター搭載艦です。
でかいといわれる割には、同時発着は4機ということです。全長200メートル近くあっても、そんもんしか行けないのでしょうか。艦載は11機まで可能だそうです。
この「ひゅうが」、見た目はまるっきり空母です。多分、「お許し」が出れば戦闘機や偵察機が、発着できる本物の空母に改造しやすいようにと造ったのでしょうね。
で、一体何に使うのでしょう。
一応、対潜能力の向上のためといわれていますが・・・。
海上自衛隊の装備に、空母はありません。本土防衛には、陸上に航空基地があれば十分ですから、もともと装備する必要がないという見解です。
同様に航空自衛隊にも爆撃機(戦闘機が爆弾抱えていくのはありますが、いわゆる戦略爆撃機)がありませんし、空中給油機もありません。
もちろん長距離弾道ミサイルもありません。
他国を攻撃しないのですから。
1〜2機発着できるヘリコプター搭載艦は、前からありました。イージス艦にも、海上偵察に飛ばすためのヘリは積まれています。
「ひゅうが」は海上偵察のために11機も次々と飛ばすのでしょうか。
防衛ネタが続きますけど、米国議会はステルス機F22を日本に売らないと決議しました。自衛隊には情報漏えいの懸念があるというのが、ひとつの理由ですが、本当は将来のアジアNo1のビジネスパートナー中国におもねったというのが真相でしょう。
米国議会は民主党優位ですから。
さらに中国が空母艦隊(米第七艦隊のような)をつくりたいと言ったら、米海軍の司令官まで「お手伝いしましょう」と手を差し伸べる発言をしています。
F22は、ホワイトハウスとメーカーのダグラス社は売る気のようですが、日本はいまや中国と天びんにかけられ、最近では(昔からかな)米国はむしろ中国のほうに傾きかけている状態です。
民主党の反対で自衛隊がインド洋の海上給油から撤退したら、米国との関係が悪くなるのでは、と心配するかたがたは、F22くらいで渋る米国を何と思っているのでしょうか。
■コンサルタントが本を出す意義
いまさらながら、本を出すのは簡単だが、売るのは難しいと思う今日この頃ですが、どう見ても売れそうにない本が書店に並んでいるのも、また動かざる事実。
あの間違いなく売れそうにないテーマの本を片付けるだけで、出版界は2割くらい収益率が上がるんじゃないでしょうか。
でもそれができない構造的な問題があるわけです。
長い前置きの後にまた前置きをつけてしまいました。いよいよ本題です。
本メルマガのテーマである「コンサルタントの出版」について、もう一度考えてみたいと思います。
そもそも経済的に見て出版が損か得か、という視点で評価した場合、多くの出版経験者は損だと答えます。
労力に見合うだけの印税収入がない、というのがその理由ですが、本が売れなきゃ印税も入ってきませんので、要するにほとんどの場合、書いた本が売れなかったということです。
売れる本より売れない本のほうが圧倒的に多いのは、前世紀から続く揺るぎない事実ですから、「経済的に損」をしたとおっしゃる人のほうが多いのは頷ける話です。
そりゃ売れない本を書いたあなたが悪いのよ、って話ですが、本は売れなくても、それ以上にPR効果が働いて本業で大きく儲けた、という自慢話はたまーに聞きます。
実際、わたしが手がけたものでも、そういう人が半分くらいはいたと思います。
本は売れなかったけど、本業で儲けたケースで一番大きかったのは、コンサルタントではなかったですが、3億円の効果があったという人がいました。
本も売れた、本業のオファーも増えた、という人でも3億円以上稼ぐのは稀ですから、不思議に思いました。
その他に、本を出したことで社会的な評価が上がった、というのもありますが、やはり広く評価を得るためには、そこそこ販売実績も必要ですので、本を出しただけで上がる社会的な評価というのは局地戦ですね。
でも、本も売れなきゃ本業のPRにもならず結局何の役にも立たなかったというケース、本は売れたけど本業にはさっぱり貢献しなかったケース、そういう人もかなりな数いるわけです。局地戦での効果はあったかもしれませんが。
ですから、やはりコンサルタントの出版は<本を出せばいい>、あるいは<本が出ればいい>というわけではないのだと思います。
出版を志す以上、注意すべき点がいくつかあります。
印税収入をねらうなら、編集者よりも世の中のテーマに敏感でなければならないし、本業へのリターンだけをねらうにしても、テーマを間違ってはいけない。
食品衛生コンサルタントの本が『食中毒からの生還』なら、かろうじてセーフかもしれませんが、『私はこうして1億円を当てた 宝くじ必勝法』では本業へのリターンは望めません(本は売れるかもしれませんが)。
この辺が著者と出版社の葛藤です。
■釣り針は魚がいるところに投げる
著書が売れるか売れないかは別として、市場、つまり書店に並ばないことには本は売れません。
「当社は主にネット書店とコンビニで販売しています」、という出版社はビジネス書には(多分文芸書にも、きっと実用書にも)存在しないと思います。
本の市場はほぼ99%書店なので、書店に流通しない本は売れません。
ネットおよびコンビニ関係者におもねっていえば、出版界はまだネット、コンビニで販売を伸ばすノウハウを構築していないのです。
ネットやコンビニを回遊している人々の生態がわからないのですね。なにしろ売れないデータはあっても、売れた実績がないのですから。
書店に配本された本は、いかに売れなかったとはいえ、100%返品ということもありませんので、一冊の本には普通千人以上の読者はいるわけです。
だれも読まない本では、さすがに何のPR効果もありませんので、期待のしようがありませんが、千数百人でも読者がいれば、本業には何らかのリターンがあるやもしれません。
千数百人の読者ならネット書店でいいじゃないかという気もしますが、市場の99%を占めるリアル書店市場で千数百しか売れないものが、1%のネット市場でどれだけ売れるでしょうか。
では、千数百人の読者をつかむためには、書店市場にどれだけ撒けばよいのでしょうか。
過去には返品率97%という脅威のワーストセラーがありましたが、普通初版止まりで、売れかったなあといったら返品率50%、惨憺たる結果というと〜70%。
もはや編集担当は笑ってごまかすしかない、周囲もあきれて批判もしないといったら70%以上ですから、3割近くは買われるか、輸送途中で紛失するか、万引きされるかするわけです。
したがって、初版5千部刷って配本すれば<着実に>千数百人の読者をゲットすることは可能なわけです。そこまでひどい本じゃないと、強く確信するにしても3千部は必要です。
よって出版社が3千部以下の数字で初版部数を出してきたら、危険ですね。もっとも初版部数が3千部以下だったら、その出版社には売る気がないということですから、二重の意味でまずい事態です。
しかし、著者は千数百人でも本業のオファーでリカバリー可能ですが、出版社は70%も返品があっては大損です。
■まとめ
本を出す時には、<多く売る>か<長く売る>かの選択も考慮したほうがよいと思います。
もちろん多く売れれば、自然と長く売ることになりますから、売れたらすべてOKなわけです。
しかし、今日、本を長く売ろうという出版社は少ないですから、毎月20点以上新刊を出す会社であれば、毎週千冊以上売れるような足の速いものは残しますが、週に200冊未満の本は早々に市場から撤退させてしまいます。
新刊時に週に200冊程度ということは、2年間で刷部数1万5千部くらいのペースですから「腐らないテーマ」であれば、会社によっては残せる本です。
出版社にとっては、10冊に1冊、5万部を超える本があればOKですが、著者は1冊にすべてを賭けて本を出すわけですから、その本が書店に残らなければいかなるチャンスもありません。
そのため必ずしも<多く売る>大手出版社から本を出すことが有利とは限らないのです。本によっては<長く売る>中小出版社のほうが向いている場合もあります。
ま、そんなわけで、いずれにしても<出せればいい、出してもらえればいい>というのは、コンサルタントにとっては、あまり効率のよい出版ではないというのが結論であろうと思います。
出版に成功するというのは、<本が出た>だけでなく、本が出た結果どうなったまでを視野に入れて評価する必要があるんじゃないでしょうか。
そうするとますますハードルが高くなりそうですが。
ではまた来週。
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