おはようございます。
本多泰輔です。
どうやら日本全国秋ですね。
通常であれば、すでに晩秋。
なのに、いまだ恐る恐る秋であることを確かめるような07年の10月下旬です。
8月末に刈り取られた早稲の田では、切り株から再び緑の葉が伸びて、いまや小さいながら立派に実まで結んでおります。二毛作ですね。
地球温暖化は、南関東でも二毛作を可能にするかもしれません。
食糧自給率は上がりますねえ。海面の水位も上がるでしょうけど。
ここのところ食品会社の不祥事は、だいたい四半期に一回くらい起きます。今度は、老舗伊勢の「赤福」でした。
大手じゃありませんが、全国ブランド、日本人なら一度くらいは食べたことがあるんじゃないでしょうか。
本多も何度か、おみやげにもらったことがあります。
だいたいおみやげって、もらってもすぐには食べませんよね。
しばらくして、思い出したときに食べても、「赤福」の餅は柔らかいままなので、ちょっと不思議な気がしておりました。
ま、しかし、本当に1日、2日でアウトになるようじゃあ、みやげものとしては扱いにくいでしょう。
「赤福」はJAS(食品表示)法による悲劇のようにも見えます。
30年前から偽装していた、とかテレビではヒステリックに伝えていますが、30年前に現在のような期限表示義務はありません。本件で責められるべきは平成15年7月以降の製品です。
それにしても、農水省が手柄のように言ってますが、一体どのような経緯で「赤福」のJAS法違反が発覚したのでしょうか。
保健所は長年定期的に立入り検査し、JAS法違反の事実はつかんでいたが、表示義務違反であるという認識はなかったようです。
担当者が食品表示に明るい人に変わって、農水に連絡したのでしょうか。もしそうなら役人にしては、極めて珍しい行動であるといえます。
やっぱりタレこみじゃないかと思うんですけどね。
ま、農水に聞きゃわかるんでしょうが。
さて、話は変わって本論です。今回は「世界のトヨタ」ご出身のかたのデビュー作。
■コンサルタント開業と同時に出版デビュー!
樋笠:青木さん、この度は独立開業と第一作目の著書の発売、おめでとうございます!スタートからいきなり著書出版とは、さすがですね。用意周到といいますか・・・。
【元トヨタ基幹職が書いた 全図解トヨタ生産工場のしくみ】
青木:ちょうど1年半くらい前でしょうか。樋笠さんのところへ独立のご相談にうかがって「絶対本を書いたほうがいい」とアドバイスいただきまして。
それで調べてみるとちょうど日本実業出版さんが企画募集していたのを見て応募したんです。
樋笠:即実行とは!行動力の差ですね。応募されたのは1社だけ?
青木:そうですね。すぐ「会いたい」という返事をいただいて。直接訪問して、色々と内容をお話したところ企画会議を通ってOKの返事をいただきました。
そこからは編集部長さんから色んな質問をいただきながら、例えば「電子かんばんって何?」というように。いわゆるトヨタ生産方式の基本中の基本から、絵を描いて、ひとつづつ説明していったのが始まりでした。
そこで、なるほど。世間の人は難しい話じゃなくて、基本的な仕組みを知りたいんだなって初めて気づきました。
結局、本が仕上がってみると、最初に考えた企画はすべてボツになってしまっていて、編集部長とのやりとりを絵で説明して、それに解説の文章をつけていった感じです。
出版社さんにとっても、こんな進め方は異例だったようで、本当に二人三脚で一緒に作り上げたという実感があります。
■トヨタの本当の強さの秘密は・・・「石垣」にあり!
樋笠:それにしても、けっこうなボリュームの本ですが。これだけトヨタの内部にいた人間が具体的に詳しく書いたのは初めてなんじゃないですか?
青木:いわゆるトヨタ本と呼ばれる本はたくさんありますが、城で喩えますと目に見える「天守閣」の部分を書いた本という感じで。私のような内部で経理・財務・本社工場・生産管理をすべて経験した人間が書いた「石垣づくり」の本は、初めてではないかと思います。
ただし、もちろんこれが全てということでなく、私にとってはごく基本的なことを分かりやすく図解して、まとめた本なのですが。
実際、私の会社で提供している研修プログラムは、もっとさらに膨大なボリュームになりますので(笑)。
樋笠:本が発売されて3ヶ月ほど経ちましたが、反響は?
青木:本もけっこう売れているようですし、読者の方からもよくメールを戴きますね。
仕事の依頼も入ってきますし、内容についての質問なども戴きます。さすがに世界企業のトヨタだけあって、その影響力も大きいですから。色々な反応がありますね。
私の親友に独立の相談をした時「やめとけ。そんなに甘くない」とすごく反対されたんですが、実際に本を見て、これは凄くいいと言ってくれたのが嬉しかったです。
■本を書けたからこそ、独立に成功できた
樋笠:このメルマガの読者の方でも、まだ勤務中で、将来独立を考えている人もいると思いますが。何かアドバイスを戴けますでしょうか?
青木:私もサラリーマンの時代から、どうやって自分で食っていく力をつけるのかを意識していました。
やはり定年もありますし、死ぬまで仕事していたかったので自分で会社を作って、その道が開けたと思います。
アドバイスできるとすれば、まず早めに準備すること。60歳になってからでなく、50歳、40歳と早くから意識しておくことが大事だと思いますね。
樋笠:出版についてはいかがでしょうか?
青木:コンサルタントで独立しようと決心してからも、本当に不安で不安で仕方ありませんでした。
本が出せたことによって、自分のもっているものを上手く人に伝えることができたと思います。どんなにいいモノを持っている人でも、伝わらなければ、始まりませんし。
やっぱり会う人会う人に、いちからパワーポイントで説明する訳にいきませんし限界があります。こうやって本という形にまとめて書いて表現できたメリットは計り知れないと思いますね。
自分がもっているものは同じでも、信用力も全然違ってきます。もし本が出せてなかったら独立も失敗したんじゃないか、と思うほどです。
樋笠:青木さん、大変参考になるお話をありがとうございました!
■まとめ
再び本多です。
スーパー大企業のご出身者は、タイトルに企業名を冠することができればデビューしやすいですよね。
「トヨタの・・・」を冒頭に付ければ、その後ろに何が来てもすごいことに見えます。
事実、『トヨタの口ぐせ』(OJTソリューションズ著 中経出版)という一見何のことかなという本も、なかなかに健闘しております。
世界のトヨタなら、たとえ「トヨタの口笛」でも手に取りたくなる気がします。
企業名で読者を惹きつけられるのは、どのあたりまででしょうか。
「キャノンの・・・」はOKですね。
「アサヒビールの・・・」、うーん、ま何とか。
「日銀の・・・」はちょっと、同様に「みずほ銀行の・・・」も手が伸びそうにないですね。企業名にも旬があります。
しかし、読者はひきつけられなくても、編集者は十分に落とせますので、大企業ご出身のかたは、とりあえず企業名を冠したテーマをぶつけてみたらよいと思います。
ではまた来週。
………………………………………………………………………………
◆◇今週のおすすめビジネス書◇◆
【元トヨタ基幹職が書いた 全図解トヨタ生産工場のしくみ】
著者:青木 幹晴 出版社:日本実業出版社 価格:¥2,100
「トヨタ生産方式を導入したい」と考えている企業に、その真髄を一気に公開した本。これまでどんな本でも触れられてこなかった「生産能率」「原価管理」「要員調整」などの真髄をベースに、わかりやすい絵解きと具体的なデータでトヨタ式の「石垣」から「天守閣」づくりまでを理解できるようになります。
《著者プロフィール》
青木 幹晴(あおき みきはる)
豊田生産コンサルティング株式会社 代表取締役
1955年、愛知県豊橋市生まれ。1978年早稲田大学商学部卒業後、トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社。本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。2004年、トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級)。その後、オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションのシステム推進本部副本部長に就任し、消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。2007年、豊田生産コンサルティング株式会社設立。同社、代表取締役に就任。
《経営堂・詳細プロフィールはこちら》
|