あけましておめでとうございます。
本多泰輔です。
今年、解散総選挙があるかどうかは不明ですが、ビジネス書のテーマは豊富な年だと思います。
例えば4月施行の労働契約法、改正パート労働法、特にパート労働法は全体の賃金上昇圧力に直結しますので、企業は職務内容の見直し等なんらかの対応が迫られるでしょう。
無視する、という対応も考えられますが、恐らく「食品偽装」のように、何件かは内部告発によって当局に挙げられることになると思います。
団塊の世代の大量退職「07年問題」による影響が表面化し始めるのは今年から。新卒の大量採用とともに、コンピテンシーの再構築も企業にとっての課題でしょう。
ビジネス書にとってテーマは尽きません。それが売れるかどうかは別として。
といいつつ、新年開始早々の今号がラス前で恐縮です。
世間の多くは今日から仕事始めだと思います。9日間の休みも終わってみれば早いもの、3年間の連載も振り返ってみれば短いものでした。
そんな話は来週号でやるとして、今号は「出版に成功した」コンサルタントへ樋笠社長がインタビューします。
■苦労して書き上げた著作が・・・塩漬けに?
樋笠:西村さん、新年早々、出版おめでとうございます。本日発売ですね!まずは今の感想から聞かせてください。
【営業マンに言わせてはならない7つの言い訳】
西村:やっと出て良かった・・・ホッとしたというのが正直な気持ちですね。なにしろ完成して1年半くらい塩漬けになっていましたから。こうして形になって、とても嬉しい気持ちです。
樋笠:塩漬け・・・というあたりの経緯を聞かせて戴けますか?
西村:ある出版社からホームページを見て問い合わせが入ったのがそもそもの始まりで。本を出しませんかという話だったので、3本ほど企画を書いて、1本に執筆のGoサインがでました。
入稿まではきわめて順調に進んでいたんです。ところが校正の段階で「内容が硬い」と言われて、挙句の果てに編集者が急にその出版社を退職して、半年くらいそのまま放置されていたんです。しびれを切らせて問いただすと「中止になった訳ではない」と。
別の編集者がついたのですが、その編集者があんまりひどくて。『コミュニケーション能力に問題あるんじゃない?』と正直に指摘すると、へそを曲げてその出版社を辞めたんです。お前は子供か!と思いましたけどね・・・。
樋笠:編集者を二人辞めさせたとは。なかなか聞かない話ですよね。
西村:いやいや、私はきちんと接していましたよ(笑)。
樋笠:それから・・・その棚上げになったままの著作が、ようやく今回無事に出版されたということですね。
■編集者が変われば、すべてが変わる
西村:はい。コンサルジェントさん経由でこの8月にアプローチしてもらったところで2社面談しました。同時期に、偶然ですが別の1社からも話がありました。
結局、3社とお話させてもらったのですが、阪急コミュニケーションズの編集者さんが一番企画を気にいって下さって。とんとん拍子に、あれよあれよという間に本になったという感じでした。ホント、早かったですよ。
樋笠:決まるときにはそんなものですね。
西村:良い編集者と出会うかどうか。本当に編集者しだいだな、と思い知らされました。
今回は最初からスケジュールをきちんと引いて、出版時期を決めて、短期決戦で臨みました。非常に優秀な編集者だったので校正のやりとりやコミュニケーションも問題なし。同じ業界でもこんなに違うの?っていう感じでした。
気がついたら装丁のデザインもばっちり決まっていました。今回は安心して任せられるプロだったので心強かったです。
樋笠:この本はどんな人をターゲットに書かれたんですか?
西村:中小〜中堅企業の法人向け営業に携わっている人を意識しています。営業本の多くがMBA理論だったり、エモーショナルだったり、小売サービス系だったり。法人向けのBtoB営業現場にぴったり参考になる本がなかったので、自分で書こうと思いました。
これをきっかけに、営業マン向けのコンサルティングや研修の依頼が増えるのを、ちょっと期待しています。
樋笠:そうですね。私も大いに期待しています。最後に、これから出版を目指すメルマガ読者の方に、何かアドバイスをお願いできますか?
■流通に影響力のある出版社を選ぶこと
西村:コンサルタントにとって、出版は自らの存在感を出していくための“基本中の基本”だと思います。
大手のコンサル会社なら営業部隊がいますが、個人に近い規模でやっていれば、なかなかそういう訳にはいきません。ホームページは有効なツールですが、限界もあります。広く世の中に出していくには書籍出版という形が最も手堅いと思います。
それから一冊の本に考えをまとめ上げていく作業は、出来るようでなかなか容易ではありません。自身のスキルアップにも繋がるはずです。
樋笠:出版社の選び方についても、何かあれば是非。
西村:版元や編集者それぞれに考え方、事情があります。自分の企画に自信があるのであれば、数多くの編集者に見てもらったほうがいいと思いますよ。絶対に。
ひとりふたりの編集者にキツイこと言われたくらいで諦める必要はない、ぜひどんどんトライして戴きたいです。
それから出版社は選ぶべき。どこでもいいから出したいではダメです。私ならやはり流通に影響力のある出版社で出すべきだと思います。
今回は販売面にも力を入れていただいて、初版部数も正直予想以上でした。本当にありがたいことです。
樋笠:西村さん、色々とアドバイスをありがとうございました。ぜひヒットされることを願っています!
■まとめ
阪急通信社はいい会社ですよ。
旧社名である「ブリタニカ」といったほうがわかりやすいかもしれません。日本版「News Week」の発行もしていますし、知る人ぞ知る「ザ・宝塚」関連雑誌、書籍の版元でもあります。
ヴァージン・グループのリチャード・ブランソンの自伝2冊もこちらが版元でした。通信社というと広告代理店みたいですが歴とした出版社です。
個人的には担当編集者が二人も辞めた出版社名が知りたいところですね。読者のためにもこういうところは公にしたほうがいいと思います。ひょっとすると有名な出版社かもしれませんし。
ではまた来週。
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◆◇今週のおすすめビジネス書◇◆
【営業マンに言わせてはならない7つの言い訳】
著者:西村健一 阪急コミュニケーションズ 1,575円(税込)
営業マンが陥りやすい「営業活動についての勘違い」や「間違った先入観」に関して、どのような業種の営業マンでも一度は口にしたことがある7つの「言い訳」や「思い込み発言」で整理、その言い訳や思い込みを解消し、「正しい営業の考え方」を伝授。現場ですぐに使えるワークシート付。「カリスマ営業マン」のノウハウや、大企業のマーケティング先導の営業手法ではない、フツーの営業マンを率いる営業部長、必読。
《著者プロフィール》
西村 健一氏
有限会社
エヌ・コンサルタンツ 代表取締役
経営コンサルタント。中小企業診断士。1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。大手証券会社における個人営業・法人営業・企画業務・株式公開業務、システム開発ベンチャー企業でのマーケティングマネージャーなどを経験後、コンサルタントに転身。中小企業から日本を代表する大企業まで企業規模にかかわらず、幅広くマーケティング戦略の指導・支援、新規事業進出戦略の立案・支援な
どを行っている。
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