セミナーが近くなるとメルマガの頻度が上がることに、なにやら訝しさを感じておられるかたも多いかと存じます。
ま、しかし、世の中すべからくそういうもので、動機があって行動があり、行動があって結果がある。そして動機は概して不純な場合のほうが多い。
そういうわけで本多泰輔です。
白髪が目立ち始め、寄る年波にいささか戦慄を覚え始めております今日この頃です。やれやれ、どんな愚か者でも歳だけは平等にとるのだなあ。
小室哲哉が著書『罪と音楽』(幻冬舎)を出版しましたね。
いやー、やるもんだと思いました。さすが幻冬舎、こういうところは抜け目ありませんな。なにしろまだ執行猶予中の人ですからね。それ相応の決断はしたんでしょう。
本が出たタイミングからすると、公判の最中から準備していたというわけではないと思います。
たぶん判決が出て一段落し、復帰のプランニングを練る中で用意され、そこに幻冬舎がのった、そういう流れだったんじゃないかと想像してます。
ああいう本は2ヶ月もあればできますからね。
本は執行猶予中であろうが収監中であろうが出すことに制限はありません。裁判の最中でも出せます。裁判所の心証は悪くなるでしょうが。
なにかしら批判はあるにせよ、そういう不利を覚悟すればできないことはないのが出版です。その本自体が犯罪でない限り出版は可能なのです。
出版に著者の資格が問われるとすれば、それはその本を書くにふさわしいかどうかくらいですが、明らかにテーマにふさわしくない人の本もありますから、結局、著者は無資格でOKということです。
大学教授とおんなじですね。
以前、本を書いているのは大学の教授のような人ばかりだから、大学教授じゃないと本は出せないのかと訊かれたことがありましたけど、その大学教授は無資格なんですから、当然著者は無資格で何の問題もありません。
そういえばコンサルタントも無資格でした。
■政界変われど企画は変わらず
新総理の外交デビューが終了し、「野党」自民党の総裁も決まり、なにがどうなるかわかりませんが、とにかく国政は新しい形でスタートしようとしています。
去年の今頃は、まだFXだの、外貨投資だの、マネーゲーム関連の新刊本が出ておりました。リーマンショックが突然だったですから、途中までつくっていた本は出すしかなかったのですね。
その後は一斉に撤退し「逆張り」をねらった株の本や円高基調でのFXなど、すこしひねりを効かせたものがぽつぽつ出ていたものの、読者もつかなかったせいか潮は現在まで退いたままです。
このところ株式市場はすこし持ち直してきていますから、投資関連が機軸の会社は現在仕込み中でしょう。しかし大半の版元は株や為替のテーマは、まだまだ慎重、様子見という状況です。
このような横並びの姿勢、一斉出撃、一斉後退は、よくマスコミ批判で言われることです。どこの新聞も書いてあることが同じ、NHKも民放も変わりがない。それはビジネス書出版界でも似たような傾向なのです。
雑誌でも、企画がなくなると「あの人はいま」みたいな特集を組みますが、ビジネス書の出版社でも企画が詰まると、新しいほうへ行くよりも過去に戻ります。むかし流行った企画をリバイバルさせますね。企画の使い回しです。
そして、雑誌の「あの人はいま」特集が案外底堅くうけるように、むかしの流行り企画にも読者がつきます。なぜ?かはともかく、つきます。
むかしの流行りとはつまりなんだというと、「話し方」と「頭のよい」ですかね。それぞれピークは6年位前になりますが、3〜4年前くらいまではブームでした。
「脳」ブームは、「頭のよい」からさらに進行して、ダイレクトに器官としての「脳」へ行ったわけで、脳ブームは2年くらい前がピークだったと思います。キーワードはそのひとつ前まで戻っているわけですね。
茂木さんは脳ブームで大きく跳ねて、さらに「頭のよい」でさらに伸ばしたことになります。
またかよ、って気がしますが、またです。
■めぐる、めぐるよ、テーマはめぐる
なぜ3〜4年前かというと、それ以前だと出版社も忘れてしまっているからでしょう。まだ売れた記憶が残っているテーマに手を伸ばす。
しかし、それでも売れるってことは、たぶん読者のほうも同じような感覚かもしれません。それなら、また、でもいいか。
実際はもちろんそれだけじゃなく、就活が氷河期に逆戻りしたことなども背景にあるという気がしますし、いくつかの要因が影響しているのだろうと思います。
では、どんな要因があるのか。それがわかれば、わたしだってもっと法外な値段で出版社にネタを売って、身代を築いております。
いずれにしても、今日は斬新な企画よりも過去のヒットテーマの掘り起こし、横並びの安全運転が全体の傾向です。出版社らしい野心的な行動とは到底言えませんが、いまは心も身体も弱っていますからね。出版界は。周囲と異なるテーマで勝負するという気力も体力もありません。
そこへ斬新なテーマを持ち込んでも、受けつけるだけの体力のある会社は少数です。病人に「極上ステーキだよ。旨いよ」と言っても食べられないでしょ。全体にはそういう状況です。
そういえば、「品格」が流行ったのも3〜4年前でした。では、「品格」というテーマはどうなんだということになりますが、う〜んどうなんでしょう。なにしろ中味のなかった本ですからね。
やはり「衣食足りて礼節を知る」ですから、この世情では品格どころじゃないのかも。
「会計」はどうなんだ、と言われると、そりゃ3〜4年前のテーマではなく、去年のリーマンショック前までずっと続いていたテーマですからね。
つまり、株や為替の本と同時進行だったわけで、そのせいか「負のイメージ」までいっしょについてますから、すこし不利なんじゃないでしょうか。
株や為替が戻れば、いっしょに戻るだろうと思っていますけど。
いずれにしても、3〜4年前の本ならブックオフにたくさん並んでいますので、そのへんを参考にしてはいかがでしょうか。
ひょっとすると同じ棚の前に並んでいるのは、どこかの版元の編集かもしれません。ちなみに過去のベストセラーは、値段も安いですからお得です。
さて、どんなわけだか、そんなわけで、以下は開催迫るセミナーのお知らせです。
よろしくお願いしまーす。
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◎ビジネス出版社『中経出版』の元・編集長のセミナー開催決定!
(10/16金曜 15:00〜17:45 東京)
http://www.keieido.net/publish-seminar.html
ビジネス書の有力出版社である『中経出版』にて今年3月まで現役の編集長を務めていた奥平恵氏による、初めてのセミナーです!
(注:今回が最初で最後になるかも?しれません。)
奥平氏は、中経出版をはじめ出版業界で30年以上のキャリアをもつベテラン編集者で、現在も中経出版のアドバイザーとして外部から企画を提供したり、他の出版社へも企画提供や執筆・編集業務を行っている第一線のプロフェッショナル。
そんな奥平氏の経験から、これからビジネス関係の出版を目指す方、2冊目・3冊目を目指す方へ、出版社側の本音をお話します!
さらに後半のパートでは、本メルマガ編集長としてビジネス出版社OBならではの内部情報や毒舌を披露してきた本多泰輔が、何としてでも本を出したいという方のために、より今日的かつ実践的なレクチャーをさせて戴きます。
これからビジネス書を出したい、2冊目・3冊目を狙いたい、という方には、きっとご参考になる、ここでしか聞けない豪華2本立ての内容だと思います。
※あまり大きな声では言えませんが・・・出版業界のインサイダーとして豊富な人脈・コネクションをもつ講師のお二人と名刺交換して、企画を見てもらうことが一番の出版への近道かもしれません!
先着順で締め切りますので、ご興味ある方は、ぜひお早めにお申し込みください。
<予定内容>
●第1部:ビジネス出版社の元編集長が語る、出版社側の考え方
1.著者が知らない出版社のインサイダー事情
・ビジネス出版社の編集者はどんな仕事をしているのか
2.ビジネス出版社が企画を決定するプロセスとは?
・編集会議の内幕と本を出す決裁権限
3.持ち込まれる企画書・原稿は実際にどうなっているのか?
・実際に送られてくる企画書、原稿のゆくえ
4.編集者の目に留まる企画書のポイント
・こんな企画書が注目される、こんな企画書はダメ
5.確実に本を出したい方への実践的なアドバイス
・忙しくて書く時間がない人でも本は出せる
●第2部:本が売れない時代に出版するためのポイントとは?
1.出版の効果
・なぜ、2冊目、3冊目の著書があったほうがよいのか
2.出版社を攻略する方法
・刊行スケジュールのエアポケット
・企画の穴と狙い目の出版傾向
3.なぜあの人は次から次へと本が出せるのか
・目標は年間3冊
4.著書づくりのファクトリーをつくろう
・企画書も原稿も書かない作家たち
※当日の講演内容は一部変更になる可能性もございます。
◆開催日時
10月16日(金)大安 15:00〜17:45(開場14:30)
◆場所
ちよだプラットフォームスクエア 5階会議室にて
◆対象
ビジネス書の分野での著者デビュー、出版を目指していらっしゃる方。(とくにコンサルタントや研修講師の方、歓迎します)
◆定員
15名を予定 ※先着順に受付
◆会費
15,000円
◆お申し込みフォーム
http://www.keieido.net/publish-seminar.html
<受講者特典!>
出版企画書をご準備できる方には、本多氏より、内容に対してコメント・アドバイスをさせていただきます。また有望な企画につきましては、ご希望に応じて出版実現に向けた支援(プロデュース)をさせていただきます。
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