おはようございます。
本多泰輔です。
毎週の登場で失礼いたします。
急に発行頻度が上がったときは、必ずなにか魂胆があるもので、今回も内輪の事情がありまして先週に続く発行となりました。
いったいいかなる事情かは、大方のご想像通りかと思いますが、最後まで読むとわかります。そういうわけで今週も最後までお読みくださいませ。
メジャーリーガーの年俸トップはニューヨークヤンキースA・ロッドらしいです。その額日本円に直すと30億円也。アメリカ国民は3億人ちょっとですから、一人10円ずつA・ロッドに渡せばそのくらいになりますが、A・ロッド一人じゃゲームはできないので、平均年俸3億円のメジャーリーガー32チーム(でしたっけ)にアメリカ人一人300円くらいずつ渡してA・ロッドの年俸30億円が成り立っているわけですね。
日本人もそのうちの10円くらいは払っているのかもしれません。
メジャーリーガーを見ていていつも不思議なのは、世界を転戦しているわけでもないのに、なんであんな高額の年俸を支払って球団経営ができるのか。
メジャーリーガーの稼ぎは概ね合衆国GDPの1万分の1として、米国民3億1千万人の1万分の1は3万1千人、おお!3万1千人で稼ぐ額をたった32チームで稼いでいるのか。そりゃ年俸も高いはずだ。って、本当にそういう計算でいいのか。
■電子書籍にトライしてわかったこと、その2
ま、数字はいろいろダマしてくれますけど、こういう計算で年俸が決まるなら、中国やインドでプロ野球をやれば年俸100億円の選手が出てくることになりますね。
さて本題です。
電子書籍の話題ばかりで恐縮ですが、ささやかなトライをしているものとして、体験的にわかった(と思う)ことをレポートするのも役目ですので、今回もわが経験知をご紹介いたします。今回注目したのは電子書店。
電子書店というのは電子書籍を売ってるところというイメージですが、それはリアルの書店をそのままネット上に置いたイメージです。
しかし、電子書籍は電子書店に行かなくても買える。出版社から直接買えるし、場合によっては著者から直接買うこともできます。わざわざ書店に行く必要がない。
では、電子書店とはなにをするところか。
読者がより適切な本を選ぶためのコンシェルジェ的な存在か。そう考えたこともありました。書評サイトが電子書店をやってるような、いわば「本の目利きがいる書店」。
しかしそれで本が売れるのか。やや疑問はあります。
自分で電子書籍をやってみてわかったのは、電子書籍の動きは直販の本の売れ行きと酷似しているのということ。直販の本とは、会社法例集とか採用マニュアルとかいう分厚くて高額の本です。
書店にないわけではないですがほとんど扱われていない、もっぱらカタログのダイレクトメールや業界誌の広告で発行者が直接売っていくタイプの本のことです。
もともとネットはダイレクトマーケティングと相性のいいメディアですから、当然といえるのですが、問題はどこにどういう人がいるかという読者データベースをどれだけもっているかが電子書店の生命線となります。
■それは初期の書店の姿
電子書籍が直販の本の売れ行きに酷似しているということは、つまり書店に置いただけでは動かないということです。
現在、電子書籍の主流は過去に一定の実績を持つ本ばかりですが、おそらくそういう名著でもリアル書店での販売数を超えることはできていないのではないかと思います。
リアル書店は立地によってばらつきはあるものの、書店自体に集客力があります。大型スーパー、百貨店内にある書店の多くが最上階にあるのは、そこまでお客を引っ張り上げることができるのが書店だからで、店舗のオーナーのほうでは一番上までお客を引っ張り上げてから順に下の階の店舗にお客を下ろしたいという目論見があるためにそういう配置をしています。
書店の持つ集客力を考慮して、家賃を割安に設定するケースもあると聞きました。
しかし電子書店にリアルのような集客をあてにすることはできません。書店だから、とネット上で立ち寄ってくれる人は、いまところ多くない。ほとんどの人はまず欲しい本があって、それを探しにアマゾンを覗くのではないでしょうか。
お客のほうから足を運んでくれないとなると、書店がお客のほうへ行くしかありません。こんどお客様好みのこんな本が出ました。この本はお客様に役立つのではないでしょうか。
そういう御用聞き的な案内を適切な相手にタイミングよくリリースすることが、電子書店の仕事の核心になろうと思います。
遡ってみれば、戦前から昭和30年代の全国の書店はそういう販売スタイルでした。とくに戦前は、出版社も書店も事前の見本でもってお客から予約をもらうというスタイルで、カタログで注文をとる直販本の販売とよく似た形式です。
だいたい読者の数も少なかったですし、雑誌もひとつの書店の商圏の中にいる購読者は店主ひとりで十分把握できる程度の数でした。ですから書店の生命線は、商圏の中にいる読者をどれだけグリップしているかにかかっていたわけです。
学校の近くに書店があったのも、教師や教授が主要のお得意さまだったからで、外商が売上の多くを担っていた時代、そういう読書人をどれだけおさえるかが販売戦略のポイントでした。
■コンサルタントにとってはチャンスか
ネットの場合商圏は無限ですから、電子書店の成否はいつにかかってどれだけお客様のデータをつかんでいるかにかかっているといえます。
読者のデータ量となると、それはアマゾンかということになりそうですが、わたしはアマゾンよりもっぱらDMで高額本を売っているアーバン・プロデュースとか日本法例、ぎょうせいといった会社のほうが、当面の電子書店に向いているのではないかと見ています。
テーマの間口は狭いですが、顧客データがありますし、高い本ほど割引効果は大きい、また直販ゆえの流通コストがなくなるわけですから利益の幅も広がります。
デジタル効果は彼らのほうが高い。
各社実際のところどうなのかは、ぜひ聞いてみたいところです。
マニュアル類というのは、昭和40年代から50年代なかばくらいまでは、非常によく売れました。マニュアル販売だけで成り立っていた会社もありましたし、なかには自社ビルまで建てたところもあります。
マニュアルは単価が高いのがその特徴で、制作コストは普通の本と変わりません。直販ですから流通コストはかかりますが、純然たる変動費ですから通信教育のようにそれが大きな負担となるということもない。
まあ、あんまり部数は出ないという憾みはありますが、経済的にはパフォーマンスのよい出版物といえます。
コンサルタントで、本は書けなくてもマニュアルが書けないという人はいません。間違いなくみなさん書けるでしょう。
単行本だと千部売れたくらいじゃどうしようもないですが、3万円のマニュアルは千部でも十分採算が合う、というか十分儲かります。
10万円のマニュアルなら100部でもいい。
マニュアルを電子書籍化すれば、流通コストはもちろんのこと印刷製本コストも要らないのですから、定価が1万円でも3万円でも丸儲けです。
こりゃおいしいですね。再び「コンサルタントはマニュアルで稼ぐ」時代がやってくるのでしょうか。
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