おはようございます。
久々の連載ですでに息があがりかけてしまっている本多です。
それにしても寒いですね。10月のころには、もう10月だというのにまだ暑いと言っていたのに。夏が終ったらいきなり冬、北国の秋は短いと言いますが、日本中が北国化したみたいです。
夏には日本中が熱帯化したと言ってました。いったいどっちなんでしょう。いずれにしても季節のメリハリは効いてます。
さて、前回は、編集者はどうやって著者を探しているのかでした。出版実績のある人ほど編集者の目にとまりやすいということを述べましたが、では著作のない新人の著者はどうすればよいか。
だれかに紹介してもらうか、自ら出版社の門を叩くか、今回はそのお話です。
■出版への近道は本当にあるのか
出版社に近い知人・友人がいて、その人物を介して出版社の人に会うというのは、何のつてもなく出版社に企画や原稿を持ち込むよりは、はるかに有利であることは間違いありません。
紹介者がいるわけですから、自身は身一つでふらりと行ってもいいんですが、たいていの人はプロフィルや活動実績などの自身のインフォメーション、寄稿した雑誌、あるいはそのコピー、ブログのコピー(部分的な)など原稿見本のようなものを持参しますね。
まあ、その場で話が発展すればいいですが、なんとなく自己紹介と雑談だけで終ってしまうことも珍しくありません。そのときはそれでよしとしましょう。
出版社の数は100や200ではありませんが、ビジネス書をやっている会社、実用書をやっている会社、旅行だけの会社と、出版社といっても一律ではありませんので、目指すジャンルに適した出版社となるとそう数は多くありません。
その中で面識のある編集者というのはさらに僅少な存在ですので、紹介を受けた後は用のあるなしに関わらずコミュニケーションをとり続けたほうがよいのはもちろんです。
ただし、どんな編集者でもその周りには著者および著者予備軍が群がっています。そこをお忘れなく。
どういうことかと言うと、つまり暑中見舞いや年賀状を送るていどでは埋没してしまうということです。出版成功率1%を1.2%に上げるには、積極的な働きかけが必要なのです。
■持込みから出版までの流れ
持ち込まれた原稿を読むのも大変な作業です。という話は、過去さんざんこのメルマガでもやりました。
原稿を読むのは編集者の仕事といっても、仕事はそれだけではありませんからそう何本も読めません。差し当たり発行スケジュールの決まっているものを優先せざるを得ない。それとて1本や2本ではないので、持ち込み原稿まで手を伸ばすのは至難のわざです。
そこで本メルマガではずっと、持ち込むなら原稿より企画書と言ってきました。持ち込み企画書のうち、編集者の目にとまった「これは!」という企画は次のような流れで出版に至ります。
企画の持ち込み → 編集者から連絡 → 打ち合わせ → 企画書補足・再提出 → 編集会議 → GO!
ただし、編集者の目にとまる「これは!」という持ち込み企画は極めて少ない。こちらも確率1%の世界です。
編集者の目にいったんはとまるが、「これは!」に至らない企画は「面白いのだが・・・」どまりの企画です。「面白いのだが・・・」企画は、「これは!」よりも多く1割というところでしょうか。
しかし、「面白いのだが・・・」から出版に結びつく確率は、限りなくゼロに近いのが現実です。
なぜなら持ち込み企画はその後も次々と来ますし、片づけなければいけない仕事もありますから、編集者は「面白いのだが・・・」に留まっていることもできず流されてしまいます。企画の深堀りを期待しても、それは難しい注文なのです。
露骨な言い方をすれば「面白いのだが・・・」とそのときは関心を抱いても、1週間もすれば完全に忘れてしまいます。
したがって「面白いのだが・・・」企画のままでは、編集者から連絡は来ない。編集者とコンタクトが取れれば企画を捕捉・発展させることも可能なのですが、このままでは「面白いのだが・・・」企画が日の目を見ることはできません。
「面白いのだが・・・」どまりの企画をプッシュアップする方法は何かないのでしょうか。
■だめ元でやってみれば浮かぶ瀬も
何もしなければ時間とともに消滅してしまう「面白いのだが・・・」企画を「これは!」企画に押し上げる決定打というものは残念ながらありません。
それでもだめ元覚悟で試みてみるなら次の3つでしょう。
1.企画を送った直後に出版社に電話する
2.見本原稿(前書きと1章分ていど)を同封する
3.著者側で購入する部数を企画書に明記する
この3つは以前にも本メルマガで紹介したネタで進歩がありませんが、やはりこの3つに落ち着きます。
1の「企画を送った直後に出版社に電話する」は手間もお金もかからない最もリーズナブルな方法です。首尾よく編集者とコンタクトが取れれば、直接会って次の段階へと発展する期待が持てます。
ただし、出版社によってはこの種の問い合わせを原則受け付けない会社もありますので、そういう相手にはこの方法は通用しません。
2の「見本原稿(前書きと1章分ていど)を同封する」は、原稿をつくる手間がかかってる分、徒労に終るとショックですが、結局、本にできるかどうかの最終判断は原稿次第ですので編集者にとっては見本原稿のクオリティは大きな参考となるのは間違いありません。
「面白いのだが・・・」企画で、見本原稿が添付されているのであれば、必ず目を通します。
もし原稿がよければ「面白いのだが・・・」企画は出版の現実性を帯びることとなるでしょう。必ず編集者から連絡が来ます。
ただし、見本原稿があればすべからく有利というわけではありません。まず企画が面白いことが第一で、そこで関心をひけなければ見本原稿はまず読まれることはないと思ってください。
3の「著者側で購入する部数を企画書に明記する」は手間はかかりませんが、お金がかかります。定期的に年間何回かセミナーがあって、そこで年間何部程度は売れるという見込み数字(実績値があればなおグッド)、あるいは顧問先の企業が何部買ってくれるとか他人の財布をあてにできればいいですが、自身のPR活動に自腹で何部購入するとかいう場合は経済的負担を伴います。
いずれにしても、あらかじめ企画書に著者サイドの実売見込みを明記するわけです。
■やるなら心の保険をかけつつ1〜3の合わせワザで
明記する数字は、一年間だけの数字ではなく、たとえば5年間で、2500部は固いという書き方でもOKです。
いまやどこの出版社にとっても買い取りは魅力的な申し出ですが、極めて稀にこういう数字を嫌う編集者もいますから、著者買いの部数の多さが常に企画のプッシュアップにつながるとは言い切れません。とはいえ、99%の出版社に対しては有効です。
ではどのくらいの部数を購入すればいいのか。企画の側面支援となる購入部数は一概には言えないところがありますが500部以下だとほぼプッシュアップには効果を発揮しないと見ていいでしょう。
1〜3、いずれも何もしないよりはましです。もちろん1〜3、全部やってみるのもいいでしょう。ただし、繰り返しになりますがすべては企画自体にパワーがあっての話、そもそも企画に魅力が乏しければすべてが徒労に終ることになってしまいます。
そのへんの覚悟は大事です。
企画書プラス1〜3の合わせワザを試みて、結局、徒労に終ってしまうと、まあ人にもよりますがそのダメージはなかなか深いものがあります。
なんだか無力感に襲われ、もう出版なんかしなくたっていいやというデスパレートな気持ちになることもあります。ですから、やる時はだめ元覚悟で。これは意外に大事な心の保険です。
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◆お知らせ◆
2年ぶりに「出版セミナー」を開催します。
今回はダブルテーマで講師もダブルキャストで行います。
第1部は「いまビジネス書の出版社が求めている著者」で、中堅ビジネス書出版社、ベストセラー『日本で一番大切にしたい会社』の記憶が新しいあさ出版の佐藤社長にお話をいただく予定です。
第2部は「自費出版の効果と限界」で、実際に自費出版の現場にいる日経BPコンサルティング・カスタム出版部の今野プロデューサーと安藤プロデューサーにリアルな情報を提供して頂く予定です。
http://www.keieido.net/publish-seminar.html
コンサル出版フォーラム主催
『ビジネス出版セミナー 2013』
日 時 2013年2月13日水曜日13:20〜16:50
会 場 ちよだプラットホームスクエア(竹橋)
千代田区神田錦町3−21
講 師 第1部「いまビジネス書の出版社が求めている著者」
佐藤 和夫氏(あさ出版代表取締役)
第2部「自費出版の効果と限界」
今野旬一郎氏・安藤かおり氏(いずれも日経BPコンサルティング・出版部プロデューサー)
参加費 10,000円(税込)※先着順に受付
第1部「いまビジネス書の出版社が求めている著者」の講師、あさ出版の佐藤社長はビジネス書の出版に40年以上携わってこられ、そして今日も第一線でご活躍中の、ビジネス書のことなら知らないことがない超ベテラン編集者です。
あさ出版の出版物には、ベストセラーとなった『日本で一番大切にした会社』のほか、いま話題となっている『新幹線 おそうじの天使たち』『夢に日付を! 夢をかなえる手帳術』など多くのヒット作があります。
また、あさ出版は優れた新人著者を次々と発掘することで業界でも定評のある、著者開拓型の出版社です。新人著者とは、過去に出版の実績のない人のことを言います。
では、実際にどのようにして著者を探し出してるのか、どのような規準で著者を選んでいるのか、編集現場のリアルなお話を期待したいと思います。
さらに、持ち込み原稿や持ち込み企画の運命や出版社へのアプローチはどんな形がベストなのかなどなど、細かい情報もさることながら、40数年にわたりビジネス書業界の中心にいた佐藤社長には、これから著者と出版者の関係についても多くのサジェッションをいただけることと思います。
第2部の「自費出版の効果と限界」は、なぜ出版セミナーで自費出版なのか、お金を払ってまで聞く話か、と訝しく思われるかもしれません。
しかし、現実に企業家やコンサルタント、士業の人たちで自費出版をしている人は多く、また、自費出版のお誘いを受けて迷っているという人のお話もよくうかがいます。
自費出版といえど、いまや書店に流通するのが当たり前で、外形的には通常の出版と区別がつきません。自費出版からベストセラーになるというのも一つや二つではなく、自費出版はすでに無視できない出版の形態となっています。
それなら、自費出版のメリット、デメリットについて、しっかりした情報をしっかりした人に提供してもらうことは重要であろうと、信頼できる日経BPコンサルティングの今野プロデューサーと安藤プロデューサーにお話いただくことといたしました。
通常の商業出版であれ、自費出版であれ、いかなる形の出版であろうと著者にとって最適であれば、それが最善の出版であるということは間違いありません。このセミナーでは、その点を追究してみたいと考えています。(本多)
●お申し込みはこちらまで
⇒http://www.keieido.net/publish-seminar.html
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