『売れるテーマはBOOK OFFにある・・・こともある』
明けましておめでとうございます。
年末、年始も密かに仕事をしていた本多泰輔です。
別に好んで仕事をしていたわけではなく、1月中に仕上げないといけないという、容赦ない締め切りがあったからで、いわゆる貧乏ヒマなしの譬えどおりです。ああ、遊んで暮らしたい。
さて、昨年のいまごろはまだ民主党政権だったのに、いまやすっかり自民党政権です。しかし自民党総裁はすごいもので、選挙前、まだ政権もとっていないうちからインフレターゲット政策を口にしただけで為替は円安、株価は上昇。
政権に就いてからもその勢いはとどまるところを知りません。正直、円安はどこまで進むんだ、このままだとやばいことになるんじゃないかと、余計な心配までしてしまいました。
インフレターゲット政策については、昨年11月段階では、日本経団連の会長は「そんなもんできるもんじゃありませんよ」と鼻で嗤っていましたが、選挙後はインフレターゲット政策についてはちらとも触れなくなりましたね。
ほとぼりを冷ましているのか、まあ、円安株高はありがたい傾向なんだから黙っとこうと、前言をほっかぶりしてるのか、いずれにしてもいつの間にか円ドルレートは87円台、つい3ヵ月前まで77円くらいだったんですから10円も下がっちゃった。これは凄いです。
これでも、まだリーマンショック以前の水準まではいってないのですが、正味2ヶ月で10円も動くなんて、FX投資家はどえらいことになっている人、たくさんいるでしょうね。ちなみに東洋経済新報社の人は、素直に喜んでました。
為替相場も株価も市場での売り買いで決まります。実際の相場は、売り手買い手の心理や国際情勢などのいろいろなファクターがあって、なかなか読みが難しい。
はっきり言えるのは、為替も株も物価も一度転がり始めると止まらない坂道の雪だるまみたいだということですね。
円高のときは円高にオーバーヒートしますし、円安の時は円安にオーバークールします。相場ってえのはそういうものです。
物価も市場で決まる相場のひとつです。もしインフレに進めば、物価をターゲットの範囲内に収めることは至難のワザです。
それゆえ、インフレターゲットは人の手には負えない政策として、あまり評価されなかったのですが、長期のデフレ下、非常の時には非常の措置をもって時局を収拾せむと欲し、あえて火中の栗を拾おうとするなら、さあて、どのような結末を見せてくれるのか、そこは大いに期待しております。
以上、年頭所感でした。
■何を書けばいいのか迷ったらBOOK OFFへ行こう
出版で一番重要なのは、いまさら言うまでもなくテーマです。
それは著者にとっても出版社にとっても同じこと。
しかし、何が売れるテーマなのか、つまりどんな本が当たるのかとなると、これは人知の及ぶところではありません。
本を書く人の立場から言えば、書けるテーマは限られるので、テーマ選びで悩む範囲は出版社よりは狭いですけれども、だからといって悩みなく選べるという人は少ないでしょう。
昔から、出版界には「企画につまったら古書店に行け」という言葉があります。売れるテーマというのは、だいたい何年かのサイクルで回っているので、過去に出版された本を見ていれば、テーマはそこから見つかるという寸法です。
この「テーマ・リサイクルの法則」は今日でも生きています。いったい、これまでにどれほど「仕事につかれた人」や「仕事がいやになった人」のための本が出たことか。
これらは、忘れたころになると、必ず現れるテーマのひとつです。
さて、「BOOK OFF」へ行きましたら、ご自身の書こうとしているテーマ、あるいは書けそうなテーマのコーナーへ行きます。
着いたら、棚を端から端、上から下まで見回してください。そうしますと、少なくても目指すテーマの本が3〜5冊は見つかります。そこで、一冊ずつ手にとってみます。
チェックするのは、最後のページ、奥付といわれるところです。奥付にある発行年月日を見て、それが3〜5年以上前の発行年月日となっていたら、その本は候補に入ります。
買う必要はないので(買ってもいいですが)、タイトルと出版社をメモ(店員さんに不審がられるようなら、記憶)してください。
携帯などで撮影していると、デジタル万引きと勘違いされる恐れがあるので、避けたほうがよいと思います。100円くらいなら、やっぱり買ったほうがいいですね。
ついでに刷(重版)の回数がどのくらいか確かめておいてもいいと思います。しかし、これは別に無理して憶える必要はありません。憶えておくのは、タイトルと出版社です。
■帰ったらアマゾンを開いて再チェック
候補になった本は、帰ってからアマゾンで再チェックします。ジャンル別の順位などは見なくてもいいですが、改訂版などが出ていないかは要チェックです。次いで、タイトルのキーワード部分で検索をかけます。
検索でヒットしたものの中に、新刊があるかどうか、もしあればその出版社は、とりあえず企画を提案する先の候補からは落とします。
また、検索でヒットしたもののうち、2年以内に出版された本がおびただしくあるようなら、そのテーマは今回はあきらめてください。
新刊を出したばかりの会社が、同じテーマの本を出すはずはなく、2年以内に出しているところも、リサイクルするには早すぎます。
一時的に注目され、どこの出版社からも本が出たようなテーマは、それが2年以内なら相当飽きられていますから、しばらくは冷却期間が必要です。そのため今回は手をつけないという判断となります。
つまり、企画提案できる出版社は、3年〜5年前にその本を出した出版社、またはこれまで類書を出していない出版社(ただし、出版のジャンルが離れすぎていないこと。美術専門書の出版社は、ビジネス書は出さないのが普通です)ということになります。
もし、改訂本が3年以上前に出されていれば、その出版社は有力な候補先ですね。改訂本は、同じ著者の本ですから著者を変えて改訂本を出すことはできませんが、改訂本を出すということは、そのテーマはこの出版社にとって着実に売れるテーマだということですから、同種のテーマの提案であれば新刊のテーマとして大いに乗れる話となります。
では、アマゾンで検索しても、「BOOK OFF」にあった1冊しかヒットしないという場合はどう考えればいいか。「BOOK OFF」にあった1冊は、何かの間違いだったんだねと思って下さい。
以上、まあ、こんな探し方もあるというお話でした。
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◆お知らせ◆
2年ぶりに「出版セミナー」を開催します。
今回はダブルテーマで講師もダブルキャストで行います。
第1部は「いまビジネス書の出版社が求めている著者」で、中堅ビジネス書出版社、ベストセラー『日本で一番大切にしたい会社』の記憶が新しいあさ出版の佐藤社長にお話をいただく予定です。
第2部は「自費出版の効果と限界」で、実際に自費出版の現場にいる日経BPコンサルティング・カスタム出版部の今野プロデューサーと安藤プロデューサーにリアルな情報を提供して頂く予定です。
http://www.keieido.net/publish-seminar.html
コンサル出版フォーラム主催
『ビジネス出版セミナー 2013』
日 時 2013年2月13日水曜日13:20〜16:50
会 場 ちよだプラットホームスクエア(竹橋)
千代田区神田錦町3−21
講 師 第1部「いまビジネス書の出版社が求めている著者」
佐藤 和夫氏(あさ出版代表取締役)
第2部「自費出版の効果と限界」
今野旬一郎氏・安藤かおり氏(いずれも日経BPコンサルティング・出版部プロデューサー)
参加費 10,000円(税込)※先着順に受付
第1部「いまビジネス書の出版社が求めている著者」の講師、あさ出版の佐藤社長はビジネス書の出版に40年以上携わってこられ、そして今日も第一線でご活躍中の、ビジネス書のことなら知らないことがない超ベテラン編集者です。
あさ出版の出版物には、ベストセラーとなった『日本で一番大切にした会社』のほか、いま話題となっている『新幹線 おそうじの天使たち』『夢に日付を! 夢をかなえる手帳術』など多くのヒット作があります。
また、あさ出版は優れた新人著者を次々と発掘することで業界でも定評のある、著者開拓型の出版社です。新人著者とは、過去に出版の実績のない人のことを言います。
では、実際にどのようにして著者を探し出してるのか、どのような規準で著者を選んでいるのか、編集現場のリアルなお話を期待したいと思います。
さらに、持ち込み原稿や持ち込み企画の運命や出版社へのアプローチはどんな形がベストなのかなどなど、細かい情報もさることながら、40数年にわたりビジネス書業界の中心にいた佐藤社長には、これから著者と出版者の関係についても多くのサジェッションをいただけることと思います。
第2部の「自費出版の効果と限界」は、なぜ出版セミナーで自費出版なのか、お金を払ってまで聞く話か、と訝しく思われるかもしれません。
しかし、現実に企業家やコンサルタント、士業の人たちで自費出版をしている人は多く、また、自費出版のお誘いを受けて迷っているという人のお話もよくうかがいます。
自費出版といえど、いまや書店に流通するのが当たり前で、外形的には通常の出版と区別がつきません。自費出版からベストセラーになるというのも一つや二つではなく、自費出版はすでに無視できない出版の形態となっています。
それなら、自費出版のメリット、デメリットについて、しっかりした情報をしっかりした人に提供してもらうことは重要であろうと、信頼できる日経BPコンサルティングの今野プロデューサーと安藤プロデューサーにお話いただくことといたしました。
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