皆さんは“お化け”ってご存知ですか?
なんだか、おどろおどろしい名前ですが、めちゃくちゃ楽しい事なんですヨ!
“お化け”という語源やはじまりには諸説ありますが、私はこう理解しています。
昔は、神参り(旧暦の初詣)をする際に、仮装をして出かけました。女性の髷(まげ)は年齢や既婚などによって変わりますが、その時ばかりは、若い娘が「丸まげ」というオトナの髪型にしたり、子持ちの主婦が「桃割れ」という少女のそれにしたり。男性は女装したり、楽しんだそうです。
いつもとは違う人物に「化ける」という事から『節分のおばけ』 と言うようになって、現代に伝わったのではないでしょうか。
お祭り事や楽しい事が大好きの私にとっては1年の中で2月3日、4日の2日間は一番楽しみにしていた日でもあります。
何に化けるのかって?
それは本当に様々です。
和物では歌舞伎物が多いですが、洋物ならシンデレラやタップダンス、フラメンコ、チャップリン、ベルバラetc…。
普段はもちろんお着物を着ている舞妓さんが、ドレスをひらひらして、宝塚並みのお化粧をしてお座敷を回るのですから、お客さまは楽しくてしょうがないと思いませんか?
カセットデッキ片手に、1日で40〜50件周り、芸を披露していきます。
見ているだけでももちろん楽しいですが、こんな楽しい事に参加しない手はありません!
もちろん1人では出来ませんので、同期の子や先輩と組んで1ヶ月程前から、自分達で構成を考え、お稽古し、音楽を探したり衣装を借りにいったり、皆でワイワイそりゃもう面白いですよ。
そして行くお座敷の先々でご祝儀も頂けるので、一番の稼ぎ時でもあります。その代わり、人数が多いとその全員の分をペイするまでは頑張らないと!
そうなんです。貸衣装やかつら、プロのお化粧をたのんだりすると結構な金額になりますし、総体的に和物は華やかで存在感もありますが、出費がかさみますからね。
私の人生の一番最初に“お化け”に扮したものは、ビジュアル的に綺麗じゃないのであまり他の人がやらないものでした。
ですのでバレてしまう危険性があり、あまり詳しくはお伝え出来ませんが、なんと!私は、顔をドーランで真緑に塗りました。要するに妖怪でーす。しかも架空の生き物…。(ヒントは今年の干支に因んだものですよ)
周りの皆には「舞妓さんが、そこまでしなくても〜」といわれましたが、いつもの白塗りが緑になるだけだから…と、やるならとことんしないと気がすまない質なので…。
そして口(口ばし?)をつけ、おまけにメガネまで掛けたの、ひと目みて私だとわかる人は殆どいませんでしたね。
ふっふっふ。まさに、してやったり!
だいたい、綺麗系(しっとり)とコミカル系(お笑い)のどちらかに分かれるのですが、結果的には面白さナンバーワンで大成功でした!
そのお笑い精神(?)をかってくれたお客さまが、「とことんやる所が気に入った!わっはっは〜」と、それからずっとご贔屓にしてくれたりで、楽しい思い出がいっぱいですね。
しかも、その格好のまま、お茶屋さんのお母さんの入院のお見舞いに行ったんですけど、出会う患者さんみんなに「今日、何処かで余興でもあるんですか?」と、目をキラキラさせながら言われてしまったり。
そんな事で、患者さんに元気をあげられるなら、許可さえ下りれば披露してあげたら良かったかな?と今となっては思いますね。
そしてこの“お化け”にはもう一つ、重要な要素が隠されています。
日本には古来から厄年ってありますよね。その年は、赤ちゃんを授かると厄払いが出来ると言いますが、それ以外には、七色の物を身につけたり、お払いに行ったり。
そして、なんと“お化け”で変装する事によって厄払いが出来るという事もあるそうです。
まあ、こんな“お化け”なら厄も怖くて逃げ出しますよね。
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