中国ビジネス 進出ガイダンス |
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前回は中国で経営をする目的を考えてみましたが、その目的とあわせた
「進出場所の検討」
をする上で考えるべき点を考え方を記してみましょう。
まず、系列会社や取引先が中国(他の外国)に出ている場合であれば、自然と同じ地域か周辺地域という事になるでしょう。
生産コストを落とす為という場合でも、
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(1)中国国内でも需要を見込む進出
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・・・・工業品では工業地帯。大衆消費財・サービス業では大都市近郊
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(2)日本や第三国(中国以外)への輸出を主体とする進出
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・・・・軽量で運搬が容易なら内陸部。大型の製品で船舶輸送向きであれば湾岸沿い
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と異なります。
そして、文化や風土、言葉も大きな中国の中では地域によって異なります。
下記は少し大雑把ですが、
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●東北三省 |
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・・・ハルピン・大連・遼順などの都市は戦前から日本語の出来る人も多く、重工業と現在はITソフト、コールセンターが多い。
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●北京近郊
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・・・首都として情報産業中心。オリンピックの影響でホテルなど観光産業も賑わっているものの、変化の大きな中国で今後の動向に注意。
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●上海近郊
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・・・経済のリード役的な地域。金融・情報・製造業と数々揃っているものの、製造拠点としては郊外移転、内陸部移転が進んでいる。
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●広東省近郊 |
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・・・香港も近く、重工業や電機電子などITのハード生産なども多い。人件費は中国全体と比しても高騰気味。
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●四川省近郊
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・・成都や重慶などの大都市では、日系の自動車産業と流通業も多く進出している。中国の中では人件費は安いほう。
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などと、強い産業・人件費・日本語人材の獲得・(日本人を駐在させる場合には)日本人の暮らし易さ度合いなども、地域により異なります。
日本人学校のあるなしで子女を連れての駐在の容易さ、治安問題なども変わるため、派遣する対象人材のことも含めて考慮する必要があるでしょう。
中国人と一言に言っても、実は56もの民族がいる多民族国家。
90%以上が漢民族ながら、大連近郊は朝鮮族、モンゴル近郊はモンゴル族、などそれぞれの文化や言葉も持っている為に、中国語の標準語である北京語も通じにくい地域もありますし、上海人と北京人では仲が悪いなど様々。
中国では地方政府が外資系企業誘致で様々な経済特区や、優遇政策をしているものの、実は中央政府から見ると違法行為という場合もあります。
また、中央政府の法制度でも、地方政府の誘致策なども同じ年の内に方針が変わって、公布の翌日にはすぐに施行という事もあります。
そこで、安易に地元に強い、地方政府とのコネクションを持っているという有力者やコンサルタントに支援をしてもらっても、
・法人としては設立できても実は営業活動が行えない
・営業活動はできても他地域で行った方が効率が良かった
ということも出てきます。
税率だけではなく、何と中国人の社会保険の掛率や有給の規定なども、地域によって異なるので、見た目の額面給与だけではなく、総額人件費は本当に地域によっても相当にばらつきが出てきます。
一地域だけを強く進めるコンサルタントや地元有力者の話のなかに、とても魅力的に感じるモノがあったとしても話半分という程度で聞いておき、良いビジネスの為には、常に幅広い視点で複数の地域(場合によっては国そのものを変える)比較検討をしておけることが望ましいでしょう。
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■バックナンバー
第1回 「中国進出の目的は?」
第2回 「進出地域の決定」 第3回 「現地法人管理者の選考方法」 第4回 「海外事業は経営管理人材の育成機会・総業と心得る!」 第5回 「貴社の海外戦略とグループ戦略は明確ですか?」 第6回 「先入観を捨て、情報収集を確実に!」 |