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連載コラム『中国ビジネス 進出ガイダンス』今村健太郎/株式会社ビジネス忠臣蔵
シリーズ:中国ビジネス 進出ガイダンス 中国ビジネス 進出ガイダンス

第6回 『先入観を捨て、情報収集を確実に!』

米国のサブプライムローンに端を発する世界同時株安。

2007年9月にサブプライム問題が意識されたときは最大で総額2000億ドル(約21兆円)といっていた損失額が、日本のバブル崩壊と同様で徐々にその実態が明らかになるに従い、現状でも既に1兆3000億ドル(約138兆円)、更にこれが広がるのではないか、という声も出始めました。

アメリカのNYダウは、2007年10月9日につけた史上最高値14164.53ドルから、1年後のこの記事を書いているアメリカ現地2008年10月8日の終値にはついに9258.10ドルと、1年間で約35%の下落率。

やはり海外は怖い、そう感じている方がいらっしゃるでしょうが、日本も2007年7月には1万8,261円98銭の高値をつけていたものが、2008年10月8日は日経平均が5年3ヶ月ぶりの安値で9203.32円で9.38%も下落し、1年2ヶ月くらいで49.6%の下落率ほぼ価値が半分になったのです。

「海外に出るのは、偽物問題・為替変動・品質管理・安全性、政情変化などでリスクが高い」

これも確かな事実でしょうが、日本国内にいても、結局は海外経済の影響を受けるもの。
ですが、国際情勢の先行き不安・景気下降はそのまま日本経済にも影響を与えます。

そして、上記の様にアメリカはのNYダウは史上最高値から35%の下落ですが、日本は49.6%とそれを上回る下落をしているのです。

これまでの不況は不動産バブル・ITバブルとその崩壊、といわれてきましたが、今回は金融機関に端を発した不況とはいえ、全産業に通じる、勝手に私が名づけるならば【地盤沈下型崩壊】が始まっているでしょう。

この地盤沈下型の不況だとしても、外食産業が落ち込んでいるときに中食が好調、自動車が減ってもバイクや自転車が急激な売上の伸びをしている、など、対処方法や伸びる産業は何かあるもの。

日本は先進国としてGDP2%成長でも景気は良いほうですが、中国は毎年10%近くの成長を続けています。

オリンピック後の景気減速があるとしても、今まで高速道路で時速120キロで走っていたものが、一般道で時速60キロを出しても遅く感じるというのと同じで、基本的な成長性は新興国の方が高いので、リスクがあっても、状況を見極めて然るべき戦略を練り、確実な実行が出来れば、海外の方が成功確率の高い事業もあるでしょう。

日本に会社があって、海外事業所として出て行く場合だけでなく、今までお勤めだった方が一念発起して海外で事業を始めるという方法もあるかもしれません。

海外事業進出するときに、これまで書いてきたような法令やコストなどの確認は勿論、事業として回転し、成長をしていく為には需要が必要だということはすぐにご理解いただけるでしょうが、本当に需要が何かを考えていますか?

人は得てしてこれまでの経験や先入観、自分の価値観だけでものを見てしまいがちですが、製品開発は実は研究だけではなく、耐久度実験など単純作業でも時間が懸かること、手先の器用さが必要なことがある為に、中国で最新研究開発チームを持つ東証1部上場企業もあるもの。

ときには、需要とは社内のコスト削減や技術力、研究に必要な協力会社や気候・標高などにあるかもしれませんし、勿論、社外の市場でも文化や産業構造を見た時に、日本では飽和しているのに海外ではその事業を行っている競合が少ない為に大成功という事もあります。

法律や商習慣などの情報は、実は現地の情報だけではなく、日本側の状況も含めてみること、でしょうか。


  ■バックナンバー

第1回 「中国進出の目的は?」
第2回 「進出地域の決定」
第3回 「現地法人管理者の選考方法」
第4回 「海外事業は経営管理人材の育成機会・総業と心得る!」
第5回 「貴社の海外戦略とグループ戦略は明確ですか?」
第6回 「先入観を捨て、情報収集を確実に!」
■今村 健太郎/(株)ビジネス忠臣蔵 代表取締役  http://tyuushingura.jp/
今村 健太郎/株式会社ビジネス忠臣蔵
「経営戦略と組織活性を柱に、創業・事業再生・中国進出」
1974年生まれ。POSレジスターの新規開拓営業職を経て、産業別労働組合の中央本部書記として民事再生法案修正等に関わる。2002年、ビジネス忠臣蔵を創設。2003年、日本大学大学院グローバルビジネス研究科修了・MBA取得。2006年より中国・上海の日系コンサルティング会社で中国人事労務コンサルタントとして活躍。2007年、株式会社ビジネス忠臣蔵を設立し、現職。経営戦略と人材活性を柱に日本及び中国での事業運営を支援。創業・異分野進出・事業再生・海外進出まで、日・中の弁護士事務所とも連携をとりながら幅広くサポートを行う。





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