どうやら、三代で潰れるというのは世界中で共通のことのようだ。
学者の調査によると、創業した会社のうち、二代目まで続く会社は30%、さらに三代目まで続く会社は15%になる。近年の起業ブームでこの数字はさらに落ち込んでいるようだ。
かく言う私も家業を営む家に生まれた。私は創業者から数えると4代目になる。
3代目の父から社長を引き継いだが、その後1年で家業をたたんだ。
創業107年を迎えた年のことだった。我が家の場合も、ほぼことわざどおりとなった。
このことわざに挑戦している人たちがいる。
FFI(Family Firm Institute)というアメリカに拠点を置く組織だ。私もそのメンバーになっている。
医学の発達で人間の寿命が延びたように、3代しか続かないといわれる同族起業(ファミリービジネス)を、どうしたら繁栄力と永続性を高められるかを研究し、アドバイスする人たちの集まりである。現在、50ヶ国から1500名が参加している。
FFIには様々な分野の専門家がいる。経営学系、組織論系、心理学系の学者、弁護士、会計士、銀行、保険会社、セラピスト、経営コンサルタントなどだ。ファミリービジネスの繁栄と永続をサポートするには、これら多方面の分野の知識を結集する必要がある。
昨年のFFIの会合で、ロックフェラー一族の子弟教育を担当する弁護士ジェイムズ・ヒューズ氏の講義を聴いた。彼も、三代で潰れるということわざは正しいという。
ちょうどサイコロを何回も振っていくと、出る目の平均値は、1から6の平均3.5に限りなく近づいていく。平均値5を割ったときにファミリービジネスは潰れるとすると、創業者はその格段の才覚と努力によって6を出し、二代目は創業者ほどの力は無いが5を出して平均値は5.5になるとする。
3代目が4を出せば平均値は5となり、ぎりぎりセーフだが、人並みの3.5を出せばゲームオーバー、家業は潰れることになる。数を重ねれば平均値3.5に近づいていく、自然の法則にかなっている。
ヒューズ氏は言う。
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