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だからあなたは売れない!!〜この心理メソッドが営業成績を変革する
第3回 「売れないのは“なぜ?”
       ・・・“なぜ?”がない営業マンは売れません」
株式会社タカハシ&パートナーズ 高橋 宗照
※このコラムはあえて語り口調で書いています

現在「営業力の活性化」や「ナレッジマネジメントについて」とかいろいろな「営業面」でのコンサルティング活動や研修、セミナーが多くなってきました。

当たり前のことなのですが、やはり「営業」が売ることが「経営」の根幹を担う訳ですから、激化した「競争社会」ではこの「営業」力の強化は重要な命題なんですね。

現在私は多くの業種・業界の「営業力」強化のコンサルティングや研修を多く行っていますが、その中で思うのは「ある事象を見てそれを問題として感じる力」が足りない担当者の方が多いことに気づかされます。

例えば・・・工務店営業の場合です。

【事例A】

  担当者 :「お客様が35坪の家を来年までには建てたいとおしゃっています」
  :「なぜそのお客様は家を建てたいのですか?」
  担当者 :「分かりません。ただそうおっしゃっていましたから・・・」

事例Aの場合、お客様が家を建てる・建てなければならない理由は様々なんですね。

例えば、
  1)家が古いから。
  2)息子(娘)世帯と2世帯住宅として住むことが決まったから。
  3)奥様に「結婚20周年祈念」として、新しい家を奥様にプレゼントしたいから。
 ・・・これは本当にあった話です!すばらしいですよね!
  4)今の間取りが、現在の生活習慣に合わなくなったから。
  5)今の家に飽きたから・・・これも本当です。まだその時は築8年くらいでしたが・・・
  6)親から土地をもらったから(借りられたから)

つまりこれだけの理由(実際にはもっと理由あります)があるのです。しかし「家を建てるという行為」は同じなんですが、「家を建てる理由」は何通りもあるわけです。

ここで「なぜ?」という観点が持てないと、その理由が見えてきません。ただ「家を建てたい」から人は「家を建てる」わけではありません。

しかし売れない営業マンにはこれが分からないんですね。

担当者の方からすれば、その行為(お客様が家を建てたいと言っていること)とその原因となる理由(なぜそう思ったのか?)が「同じ」になっているから「なぜ?」という観点も生まれて来ないんですね。

しかし・・・

その理由によって、そのお客様を受注するまでのアプローチがまったく違ってくるのはご理解頂けると思います。

例えば(2)の理由なら、その両親だけではなく息子(娘)夫婦にもヒアリングしなければならないし、特に息子夫婦の場合なら多かれ少なかれ必ず「嫁・姑の確執」があってそれを考慮しなければならないのですね。(これはかなり強烈な例を観てきました)

また(4)の場合、非常に浅くしか聞けないとお客様からは,陵由としてしか言ってくれません。

「家を建てたいんです」
「あ、そうですか!」

では、何ら問題(理由)の解決には向かわないですし、問題(理由)の本質が掴めないから結果受注に結びつかないのです


【事例B】
  :「なかなかチラシからの反響で受注額が増えてこないですね」
  担当者 :「お客様からのニーズがその反響の分しかないんですよ」
  :「じゃあ、なぜそのお客様はその分の工事を御社に頼むんでしょうかねぇ?」
  担当者 :「え?それは必要だったからでしょ?」

これはリフォームのケースですが、同じことが言えます。

私はリフォーム営業の場合、特に「逆T字戦術」を提唱しています。
これは絵で示すと以下のようになります。





この事例の場合でも、お客様はただ「安い」から頼んだのかもしれません。しかしリフォームをしたいと思うお客様の大多数(ほとんどと言っても過言ではないでしょう)は、頼んだリフォームの他に「必ず」潜在ニーズを持っています。

このニーズを的確に把握できないと右の図のようになり、まさに「労多くして益なし」の状態になってしまうわけです。

これを具体的に行えるよう、現場では私が「営業活動現場」まで同行して直接「OJT」を行いながら、「実践ロールプレイング」を行っています。

また研修では物事について「なぜ?」という考えを持たせ、次々と「なぜ?」を質問し、受講生の対応力とその考えを強化することも行っています。



例えば実際の例ですが・・・
網戸の張り替え工事での反響が実際受注時には外壁塗装工事に変わっているわけです。





つまりここでも「なぜ?」の意識が重要になってくるのですね。

ここでお伝えしたかったのは、「なぜ?」という意識は営業の出発点であるということなのです。これがなければ利益は創造しづらい時代になってきていると思っています。

私たちもそうだったのかもしれません。子供のころさかんに親へ「○○ってなんで?」って聞いていたと思います。私の子供もそうですが、ある一時期子供は「なぜなぜ星人」(笑)なんですよね(あまりにも「当たり前」すぎたことを聞かれると、タジタジになります)。

いつから我々は物事に対して「分かりきったようなフリ」をし始めたのでしょうか?

変な常識や少ない経験からそのような「フリ」を覚えてしまったのかもしれません。ですから我々大人にとって常に「なぜ?」と思う気持ちを維持し続けることは、実は難しいことなのかもしれません。

しかしその「なぜ?」はお客様の購買動機(=今回の商談に至った原因・理由)を知ることにつながり、そしてその原因・理由に合ったアプローチや提案ができるので、お客様からの支持(=契約・受注・成果・結果)が得られるんですね。

だから営業という仕事しているなら、難しくても「言い訳せず」この「なぜ?」を常に持ち続ける努力は必要です。



PS
しかし現場において、いきなりこの「なぜ?」の意識を強調しすぎると弊害も起きます。

担当者によってはこれを実践するあまり、お客様へのヒアリングがまさに刑事ドラマのような「尋問」になってしまうのですね(笑)。まぁ実践されない方よりは遥かにマシなのですが・・。



■バックナンバー
 
第1回 「 “がんばります!”という言葉が、 あなたを売れなくしている」
第2回 「“最初に「お客様のために!”なんて思うから売れないんです!〜ジコチューのすすめ」
第3回 「売れないのは“なぜ?”・・・“なぜ?”がない営業マンは売れません」
第4回 「営業の極意〜“なぜ”の意識〜“尋問”にならない処方とは?」
第5回 「“うちの値段は高いんだよなぁ〜”と言う営業ほど売れない!」
第6回 「売れない営業マンを製造しない方法〜古参兵の活用(??)」
第7回 「昔の快感が今の行動を鈍らせる??」
第8回 「“私は○○です”と言えること・・・CIから考える」


■高橋 宗照/株式会社タカハシ&パートナーズ 代表取締役
http://www.t-consulting.jp/
高橋 宗照/株式会社タカハシ&パートナーズ 代表取締役
1966年生まれ。中央大学経済学部卒。大手住宅メーカーで10年間注文住宅の営業職に従事、数々の表彰を獲得。その後、不動産デベロッパーにて事業計画の立案やマンション販売等を経験。それらで得た営業スキルや独自の営業戦略・戦術を活かし株式会社船井総合研究所に入社。コンサルティング活動、研修活動を行う。その後、2001年1月、コンピテンシーや行動心理学もベースにした経営コンサルティング会社有限会社タカハシパートナーズコンサルティングを設立し、代表取締役に就任。主にヒューマンスキルの向上を主とした経営コンサルティング活動や研修、講演活動を精力的に行っている。また営業職の業績アップの手法には独自の手法を展開している。そしてコンサルティングでは「常在戦場」を是とし、研修・講演では「ライブ感覚」を大切にしている。
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