※このコラムはあえて語り口調で書いています |
前月で「なぜ」と思う意識の重要性を書きましたが、今月はもっと具体的なことを話してみたいと思います。
営業のリーダーや管理職にある方は部下の方に、「お客様の要望する内容を聞いてこい!」と言います。
これはその内容から上司がいろいろなことを判断するため必要な「情報収集作業」つまり「ヒアリング」作業を部下に伝えているわけです。
そこで部下はお客様にいろいろ聞くわけですが、慣れていない担当者ですとこれがまさに「尋問」になってしまうわけなんですね。この行為が営業とお客様との距離を開けてしまう原因の一つと考えられます。
では、なぜ「ヒアリング」が「尋問」になってしまうのでしょうか?
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(1) 聞かなければならないという意識(上司からの圧倒的な指示)=強迫観念型 |
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(2)とにかく聞くだけは聞く(そして上司に判断を任せる)=自己判断回避型 |
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(3)言葉のキャッチボールができない、交渉のセンスがない=コミュニケーション欠如型 |
等が考えられます。
また中にはヒアリングするのと同時に商品の売り込みをする際、つい客の欠点を指摘しまう(欠点指摘型セールス)などは余計最悪な事態を招きやすいようです。
ですから、リーダーは部下に「なぜ」の意識を醸成させるのは良いのですが、その意識の根本を丁寧に教えてあげる必要があります。まず必要なのは「テクニック」や「スキル」ではなく、「基本的な意識」なのですね。
では、ズバリなぜ「その意識」を持つことが必要なのか?
それは顧客の購買行動・心理を理解することで、商談がスムーズに進みやすいからなのです。
前号にも書きましたが、顧客が購買という行為には必ずそれを支える心理や理由があります。
またその人の性格や現在・過去における環境、価値観も大きく影響します。
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ですから上で示したように、購買を起こす行動は「表面的な事象」に過ぎないわけです。
ここばかりいくら聞いても商談はうまくいきません。(特にエンドユーザーの場合)
「なぜ」はここでいう(2)の部分を聞き出すことが必要なのです。
しかし(2)や(3)(特に3は顧客ですら認識できないケースもある)を確認するには、それ相応のスキルが必要になります。まず経験の浅い担当者には、この概念だけ伝えて実際にOJTでリーダーが伝えていくのが実践的と思っています。
では、なぜそれ相応のスキルが必要になるのか?それは、その担当者の経験や推測・推量、相手を分析する能力、そしてコミュニケーションのセンスが問われるからです。
当社では、そこの部分を実際のOJTで支援していますが、重要なのは日頃から担当者に「想像させる」クセ付けを重視しています。まずそこから行わないとどうしてもヒアリングが「尋問」になってしまうのです。
また人物の分析ツールとして当社適性診断「TAX−J」シリーズでかなりの効果もあげています。
そしてコミュニケーションセンスはロールプレイングやこのTAXシリーズからでも磨く方法が可能ですね。
この日頃からの「想像させる」クセ付けだけでかなり担当者のスキルはアップします。実際この章だけで「本一冊」が書けてしまう内容なので、かなり割愛させて頂きましたが、大事なのは、想像=イマジネーション力の養成なんですね。
少なくても私も含めた以降の世代は、常に漫画やTVがあるという環境におかれて育ってきました。
ですから言葉から自分の頭でビジュアルを「想像」する力が大いに欠落していると思います。
例えばですが、「きれいなおねえさん」というワードでどういう想像するのでしょうか?TVで映った女優の顔しか思い浮かべられない方は、すでにTVの映像に想像をまかせてしまっているわけです。
逆に様々な「自分の好みのタイプ」を想像できたり、もっと言えば「自分なりの理想的な女性像」を想像できた方はイマジネーション力は豊かなのでしょう。
まずはそういうところから始めるのが、営業活性化の第一歩だと思っています。
※ちなみに年齢を経るごとに異性の好みは変わります。よくそれを人は「ストライクゾーンが広がった」という表現もします。広がったのかそれとも諦めなのか・・・私には分かりません(笑) |
■バックナンバー
第1回 「 “がんばります!”という言葉が、 あなたを売れなくしている」
第2回 「“最初に「お客様のために!”なんて思うから売れないんです!〜ジコチューのすすめ」
第3回 「売れないのは“なぜ?”・・・“なぜ?”がない営業マンは売れません」
第4回 「営業の極意〜“なぜ”の意識〜“尋問”にならない処方とは?」
第5回 「“うちの値段は高いんだよなぁ〜”と言う営業ほど売れない!」
第6回 「売れない営業マンを製造しない方法〜古参兵の活用(??)」
第7回 「昔の快感が今の行動を鈍らせる??」
第8回 「“私は○○です”と言えること・・・CIから考える」
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