社会福祉法人・施設におけるベテラン職員の現状と課題

社会福祉法人・施設の中堅職員の人材像には、現状2種類のパターンがあるように思われ
ます。1つ目の職員像は、業務のベテランであり、サービス提供に自信もあり現場で頼り
にされている姿です。反面、部下スタッフを通してダイナミックにサービスの質を上げて
いくという意識は弱く、現場のサービス提供が経営に直結するという認識も弱い傾向にあ
ります。
　
一方、もうひとつの職員像は、何から何まで自分がやるというよりは、部下スタッフを通
して成果を上げることが重要であるとの認識があり、実際、施設の生産性向上にも貢献し
ている姿です。

以前、都内のある大規模な社会福祉法人の中堅職員約40名に対して財務管理入門の研修を
実施したことがあります。福祉施設の職員が苦手とする数字の研修ですが、職員によって
研修の満足度にかなりの違いがありました。満足度が低かった職員グループには、以下の
ような傾向が見られました。
　
?比較的勤続年数が長い（措置体質が浸透している）
?質問がなく、意欲的でない。グループワークでの発言が少ない
?現場経験は長いが、新しい業務や経営という考え方に対する抵抗感が強い
?経営管理は自分の仕事ではなく、理事長、施設長等管理職だけの仕事と捉えている
　
一方、満足度が高かった職員グループには、以下のような傾向がありました。
?比較的勤続年数が短い
?質問が多い。グループワークで活発に発言する
?施設を取り巻く経営環境の変化に敏感であり、かつ自分達の課題と捉えている
?日頃より施設長等の管理職の業務を補佐しており、不足している知識の吸収に貪欲
　
こうしてみますと、研修受講者が自分自身に求められる役割責任をどう捉えているかによ
って研修の成果にも違いが出てくるようです。
職員研修はただ単に受ければ良いというわけではなく、まず研修を受講するメンバーの
動機付けが重要ということが言えると思います。

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