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昨年の暮れに |
コンサルティングの現場や身近なトピックスからマーケティングのヒントをお届けする
『マーケティング小咄』。今回のテーマは人材採用。
昨年末、秋に中途採用した社員が全く使い物にならないと嘆いておられた社長。
配置転換を考えているとのご相談でした。
しかしながら、もともと業容拡大のために営業部員を採用したはず。
配置転換したところで、果たして会社のためになるのかどうか。
そもそも採用して2ヶ月の人材が、何を以て使い物にならないというのか。
勤務態度、営業スキル、社風とのミスマッチ・・・。
これを明らかにしなければ、付け焼刃の対応では会社にとっても、当人にとっても
良い結果には繋がらないでしょう。
その結果、勤怠状況については問題無いものの、指示が無ければ行動できず
指示をしてもなかなか行動できないとのこと。
実績数字を見せながら、今の条件での雇用維持は難しいことを告げた上で
本人の考えをじっくり聞いてみることを提案しました。
すると、もともと営業職が嫌で前職を辞したが、再就職先が見つからなかったため
仕方なく営業職に応募したとのこと。
本人も事務職への配置転換を希望しており、結局、雇用条件を見直しの上
生産管理部門に異動することに。
これで、新しい業務で力を発揮してくれれば、まあよしというところでしょうか。
営業部員補強という課題は残りますが。
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「やっぱりダメでしたね」って?! |
しかしながら、そう上手くはいかなかったようです。
結局、その社員が辞めることになったと聞かされたのは先週のこと。
自ら希望したはずなのに、仕事への取り組みに身が入らず、遅刻や欠勤も
目立つように。どうやら、新しい給与レベルに不満を漏らしていたようです。
周囲への悪影響も懸念されたため、結局、解雇を通告することに。
採用や人事管理について、一から見直したいとのことでしたので、人事部長に
現状をヒアリングしたところ、「やっぱりダメでしたね」の一言。
曰く、採用に100万円のコストをかけ、応募書類の総数は約150通。
書類選考で20人を選び面接を設定したところ、無断を含め約半数はキャンセル。
面接の結果、何とか2人採用を決めたが、何れも条件が折り合わず辞退。
結局、誰ひとり残らないという結果に。
ここで件の人事部長、折角のコストと時間を無駄にはできないと
残る候補者の中から、有名大学卒だからという理由で件の社員の採用を決定。
営業向きではないと思いながらも、ダメだったら管理部門で使えばいいと。
それが先程の「やっぱり・・・」の所以でした。
しかし、何という当事者意識の無さ。認識の甘さ。
社長に、人事部長の交代を進言したのは申すまでも有りません。
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コンコルドの誤謬 |
既に投資してしまったコストがムダになることを避けようと追加投資して
結局マイナス幅を増幅させてしまうこと。
これを、かつてエールフランス社が多額の赤字を抱えながら開発を続けた
超音速旅客機になぞらえ、『コンコルドの誤謬』といいます。
彼の人事部長は、二重にこの過ちを犯しているのです。
一つは、採用コストを理由に、基準に未達の人材を採用してしまったこと。
更に、雇用継続の手段として、営業部員の補強という目的を逸脱して
生産管理部門に異動させ、ムダな人件費を発生させてしまったことです。
でも、それ以上に深刻な問題は、人事部長という自らの職責を顧みない
その勤務姿勢にあります。根は深そうです。
社長、この問題、じっくり腰を据えて取り組む必要がありそうですよ。
今日の一言: 他人事の一言で知る、無責任
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