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目標原価の算出方法は |
近年の円相場の変動は、輸出依存の高い日本の製造業にとって、日々のコストダウン努力
を越え、価格競争力を失わせることになってしまいます。
このため、即効性のあるコストダウンの方法として、国内生産を中国を中心とするアジア
諸国へと移してきています。しかし、これは円高対策であって、価格競争のためには地道
なコストダウン活動が必要です。
とくに、製品開発部門では、「設計段階で製品原価の80%は決まる。」といわれるよう
に、製品の設計段階での目標原価の設定が浸透し、その達成が強く求められています。
多くの企業では、開発部門で目標原価を設定し、その達成度の確認を行なったうえで、製
品化の判断を下しています。
このときの目標原価の評価は、どのように行なわれているでしょうか。
1.開発部門内で原価を算出し、評価をする。
2.社内の原価算出部門に依頼し、開発部門で評価する。
3.協力会社に見積依頼をして、原価を算出し、開発部門で評価する。
などの方法が考えられるでしょう。
1、2の場合には、社内に原価算出のためのコスト基準を持つことが必要です。
もし、コスト基準が無ければ、原価を算出する担当者によって、金額がまちまちになって
しまい、3の場合と同様に判断できなくなります。
また、3の場合には、協力会社の実力で見積としての原価算出になり、3社見積りを依頼
すれば、3つの見積り金額になり、判断に迷うことになります。
つまり、自社のコスト基準を作成し、原価の算出を進めるべきなのです。
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目標原価の評価手順 |
それでは、一般的なコスト基準を活用した目標原価の評価手順について考えてみましょ
う。
1.まず、コスト基準を持つことによって、開発した製品の原価を生産ロットなどの生産
条件を加味して算出します。
2.つぎに、目標原価と算出した原価と比較し、達成しているか、あるいはさらなる削減
金額を確認します。
3.そして、目標原価を達成していない場合には、コストダウンのために新たなアイデア
を出して、その金額を求めます。
4.この金額が、目標原価を達成するのかを確認します。
5.もし、達成できていない場合には、さらにアイデアを出してコストダウンを進めるこ
とになります。
または、目標原価の達成が不可能であると判断した場合には、目標原価や品質仕様の見直
しを図ることになります。
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評価上の問題点 |
ここでよく発生する問題があります。
それは、部品の多くを外部から調達している企業によく見られるのですが、自社のコスト
基準を仕入先の価格設定に合うように変更しようとすることです。
コスト基準によって求められた原価は、その金額で購入できることを保障するものではあ
りません。
このため、目標原価が本当に達成しているのかの信頼性が乏しくなると、仕入先に基準を
合わせることにするわけです。
しかし、基準の対象になった調達先よりも安価な価格で部品などの供給が出来る企業が出
現した場合、目標原価の達成度の信頼性は、さらに乏しくなってしまうことになるのでは
ないでしょうか。
これは、協力会社に相見積りを依頼して、異なる見積り金額のどれを選ぶかということと
同じではないでしょうか。
やはり、会社としての基本方針を定め、コスト基準を設定するとともに変更する場合に
は、その理由や時期などを周知徹底することが求められます。
また、当然のことながら、定期的な見直しをすることが必須になります。
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グローバル化による影響 |
そして、近年購買部門でよく見られることですが、「国内ではいくら。」、「海外ではい
くら。」という原価見積りが行なわれています。
目標原価を評価するにあたって、どれを採用するのかということを検討していることがあ
ります。
また、企業によっては、目標原価をもとに生産拠点を決めるようなところもあります。
ここで注意すべきことは、部分最適の原価を求めることにならないようにすることです。
何故ならば、製品は、顧客が誰であるか、その場所はどこか、いつ納めるのかなどといっ
た項目によって、梱包費や輸送費、関税などが発生しています。
また、そのウェイトが変化しています。
このようにグローバル化の進展は、目標原価の評価を行なうにあたって、その範囲やルー
ルなども含めて整理をしたうえで、同じルールで、同じ尺度で進めていくことが大切で
す。
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