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中小企業の円高対策は海外進出なのか |
2009年9月当時の藤井裕久財務大臣が、円高を容認する発言をしてから、政府による
円高対策は、安住財務大臣まで表立った動きが出ませんでした。
この間、円は90円から78円まで上昇してしまいました。
これまで日本の製造業は、加工貿易といわれるように原材料を輸入して、価値の高い
製品に作り変え、輸出することで利益を上げ、存続してきました。
これが、1990年代から人件費の安価な海外での生産へと移ったことによって、国内の
製造業の空洞化が叫ばれ、不安を感じていたのも昔のことです。
現在は、これまで輸出先としていた国へ日本から商品を供給するのではなく、現地の安価
な労働力を使い、現地で購入しやすい価格で生産し、供給するようになってきました。
そして、国内には、海外からの安価な部品や製品を輸入してくるようになっています。
また、政府や行政、そして民間機関も含め、中小企業に対して海外進出の支援活動に
力を入れてきています。
弊社でも、海外調達を支援することがあり、いくつかの調達ルートの開拓を致しました。
その際には、現地の工場を見させていただき、日本の中小製造企業と比較し、現地の
技術レベルや商習慣などを確認させていただくことができました。
しかし、その一方で、中国に進出した中小企業が、現地工場を手放し、大きな負債を抱え
て、政府や行政への不信感を募らせて帰ってきた例も見てきました。
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今回の円高は製造企業にとって限界か |
そして、今回の円高では、もう耐え切れないと国内生産は限界と判断した多くの製造企業
が、さらなる海外への工場シフトを進めるとともに、これまで国内の協力企業に重点を置
いていた企業でも、積極的に海外からの部品調達にウエイトを置いてきています。
私が独立間もない頃から、コンサルティングを含めてお付き合いをしてきました企業で
も、今回の円高によって、人員整理と海外調達の強化を図っています。
人員整理では、私が一緒にコストダウン活動を推進したときのメンバーの方たちが、ほと
んどいなくなってしまうという状況になり、さびしい限りです。
ただ、メンバーの多くの方が、コストに関する知識と経験をしっかりと持っていますの
で、定年あるいはスカウトされて他社に行かれています。
そして、海外調達に関しては、中国に拠点を置き、部品調達を進めることになったようで
すが、その責任者の方は、製造畑ではなく経理畑出身のようで、ものづくりを知らない
で、どのように調達価格を決めるのか疑問の残るところはあります。
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最近感じる大手製造企業の動き |
さて、ここまであまり明るい話ではなかったのですが、一昨年前くらいから大手製造企業
の方から、ものづくりに関する知識の不足を解消したいという相談が増えてきたように思
います。
中小企業の社長さんや知り合いの先生の方々も、大手企業の設計者や技術者の方に
ついて、ものづくり知識の不足を感じている中で、ホッとするものを感じます。
しかし、ものづくりの知識を生かすことは、単にものづくりを知っていることだけではあ
りません。
それは、製品を開発・設計することだけではなく、それをコストという数値に置き換え
て、採算性(損得)の判断をしていることです。
よくものづくりは、現場がしっかりと抑えているから問題ないという方がいますが、製品
の開発や設計段階で、作り方の大半が決まってしまいます。
このため、工法や製法についての理解とその中での経済性を高めることが求められる
わけです。
日本の製造企業は、生産技術力に優れているといわれますが、それは、優れた
技術力が、採算性(損得)の面で有効に活用されているからであると思います。
私が海外の製造企業を見ている限り、まだ技術を真似ている段階でしかないように
見えます。
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生産技術力を高めよう |
半年ほど前に、直径250?以上あるプレスに絞り部品について、製作先を捜して欲しいと
いう依頼を受けたことがあります。そのとき、国内1社と中国の数社に検討を依頼したこ
とがあります。
その結果は、絞り形状が複雑であったこともあり、できるといった中国企業は、1社だけ
で、他の中国メーカーは、できないという回答でした。
そして、できるといった中国メーカーからは、図面に材料の板厚が1?と記載されている
のですが、2?の材料を使っているはずだから、現品のサンプルを見せて欲しいという連
絡が入りました。
一方、国内のプレスメーカーでは、1?の板厚の材料で品質上の課題になる部分の
検討を進めておりました。
このように形を真似て作ることは可能ですが、まだ本当の生産技術力にまでなって
いないため、ムダを発生させながら製品を作っているというのが実際のところでは
ないかと思います。
まず、国内の製造企業が生き残っていくためには、積み重ねてきた生産技術力を
さらに高めていくことが必要になるように思います。
資源を無駄なく活用しながら、要求される製品を経済的に作って行くことであり、
地道な努力が今後とも求められて行くのではないかと考えます。
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