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曇ったメガネ |
コンサルティングの現場や身近なトピックスからマーケティングのヒントをお届けする
『マーケティング小咄』。テーマは、新規事業。
弊社は過去の実績を基に、成功確率80％の新規事業戦略を標榜しています。
しかし、実際には数年前のある時期を境に、成功率はほぼ100％となっています。
ほぼというのは、現在進行中のため結果が出ていない案件が含まれるからです。
では、その最後の失敗案件とは何だったのでしょうか。
実は、それは私自身が自らの事業として手掛けた案件だったのです。
新規事業の成否判断、戦略構築については豊富な経験もあり、自信もありました。
既に100に近い案件を経験し、多くの成功体験を持っていた私自身
失敗するとは、正直なところ露ほども考えていませんでした。
当初の計画に狂いが生じた際のオプションプランも、当然用意されていましたし
撤退を含めた判断基準も設けていました。
にもかかわらず、それらが機能することはなく、事業は破たんしてしまいました。
意思決定の当事者として、客観的な判断ができなかったからです。
経営者として、事業家としては失格です。コンサル案件をセーブし
その事業に傾注していただけに、色々な面で大きなダメージがありました。
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失敗から学んだこと |
一方で、この時の失敗から実に多くのことを学びました。
中でも最も重要なことは、自身のあるべきポジションを知ったことです。
新規事業に関し、実際の進行過程においては恐らくトップレベルの経験があり
戦略面においても、実践に即した精度の高いものを構築できます。
しかしながら、当事者としては、自身で適切な判断ができなかったのです。
周囲の関係者たちも、新規事業に関して、私への口出しを躊躇していたのです。
もし傍らに、有能なアドバイザーがいたら、事態は変わっていたのでしょうか。
検証するためには、更に多くの失敗経験を積む必要があるかもしれません。
むしろ、従前のようにアドバイザーとして、新規事業の立ち上げを
サポートすることに徹した方が、より大きな価値創造に貢献できるのではないか。
その様な判断に至ったのです。こう考えると、自身の失敗体験は
それまでのものとは全く違った大きな経験となります。
分かっていながら決断できない状況や、判断を鈍らせる要因も
不本意な形ながら、たくさん学ばせて戴きましたので、これも今や付加価値です。
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一人では難しくとも |
どんなに優秀な資質を持った経営者でも、一人で状況を判断し
新規事業を推進することは極めて困難なことです。
客観的に状況を分析し、適切な助言を与えられる補佐役が不可欠です。
常に冷静に判断し、経営者のメガネの曇りを払拭しなければなりません。
どのような時に、どのように曇るものなのか。
そのことを知って以来、携わった案件全てが成功裏に進んでいます。
成功体験をなぞってみても、次も成功する保証はありません。
しかしながら、失敗する要因が重なれば、次も必ず失敗に終わります。
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし（松浦静山）。
自身の失敗から学んだことは、実に大きな価値となりました。
今日の一言： 学ばねば 勝ちに価値なし 負けにあり
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