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限られた時間 |
コンサルティングの現場や身近なトピックスからマーケティングのヒントをお届けする
『マーケティング小咄』。今回のテーマは、プレゼンテーション。
「重要な商談があるから同行してもらえないか」と依頼を受けたのは先週。
以前からアプローチしていた有力企業の役員とアポイントメントが取れたとのこと。
依頼してきたのは小型産業機器メーカーの社長。規模は小さいながら
独創的なアイデアで、ニッチな需要に対応する製品を開発しています。
商談相手は上場大手、新しく開発した試作機の販売先として目を付け
伝手を頼ってようやくたどり着き、1時間だけ予定を入れて戴いたといいます。
営業戦略の策定や、プレゼンテーションツールの作成をお手伝いしており
それまでにも何度か、重要な商談に立ち会うことがありました。
そして当日、出席する社長、専務と私の3人で事前打ち合わせ。
社長が挨拶かたがた会社の来歴や業務内容を簡単に説明。
その後、開発責任者である専務が新製品のプレゼンテーションをする段取り。
私はコーディネイターとして、必要に応じて補足説明をする役割です。
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そっちじゃない |
いざ、商談の場に臨むと和やかなムードでスタートし
社長が紹介した製品のいくつかに身を乗り出してきました。
予定通り、専務が新製品のプレゼンテーションを始めたのですが
ざっと資料に目を通していた先方の役員が10分ほどで話を遮りました。
「よく、わかったから、今日はこれで結構」。目を白黒させる専務に
「当社で扱う方向で検討するから、後日、同席の担当部長と詰めて欲しい」と。
「それより、先ほど社長が話されていたこちらの製品について
詳しい話を聞きたい」と仰います。
戸惑った表情の末「本日は詳しい資料の用意が無いので
後日改めてプレゼンテーションの機会を戴けないか」と切り出す専務。
今度は私が慌てて遮り、私からご紹介させていただきますと取って代わり
ホワイトボードと、持参のタブレット端末の画像を使ってプレゼンテーション。
非常に興味を持たれた役員は、その場に別の担当部長を呼び
すぐに検討を始めるよう、指示されたのです。
終わってみれば1時間の予定が30分も超過していました。
もしあの場で切り替えなければ30分ほどで打ち切られていたでしょう。
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2つの教訓 |
こうして現在、2つの案件につき、同社との具体的な商談が始まりました。
この事例から学ぶべきことは2つあります。
第一は、優先順位を明確にすることです。
この商談の場で、最もハードルが高いのは役員の時間の確保です。
限られた時間で、彼の気持ちを引き寄せることが最大の課題でした。
そこに、先方から「もっと話を聞きたい」というのは渡りに船です。
しかも、本来の目的であった新製品についても前向きな回答が
得られたのですから、これに固執する必要は全くありません。
第二に、プレゼンテーションに資料は必要ないということです。
むしろ、先に資料を渡してしまうと話に集中できない場合もあります。
私の場合、プレゼンテーションの際資料は配布せず
終わってから確認用にお渡しするというケースも少なくありません。
むしろ、どのような手順で何を説明すべきかを整理するために
プレゼンテーション資料を作成するというイメージです。
もちろん、当該製品の資料も私が手掛けたものでしたので
現物がなくとも、全く不自由はなかったのです。
外部に依頼して作成した資料であっても
それを使ったプレゼンテーションの方法は人それぞれです。
資料ありきではなく、先ず内容があってこその
プレゼンテーションを心掛けていただきたいものです。
今日の一言: プレゼンの 進路決めるは 受け手側
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