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2013年07月05日
Alpha Marketing Corporation  新井 一聡
マーケティング小咄 (186) 

資料が無い!?
コンサルタント写真
カテゴリー:マーケティング   


限られた時間
コンサルティングの現場や身近なトピックスからマーケティングのヒントをお届けする

『マーケティング小咄』。今回のテーマは、プレゼンテーション。



「重要な商談があるから同行してもらえないか」と依頼を受けたのは先週。

以前からアプローチしていた有力企業の役員とアポイントメントが取れたとのこと。



依頼してきたのは小型産業機器メーカーの社長。規模は小さいながら

独創的なアイデアで、ニッチな需要に対応する製品を開発しています。



商談相手は上場大手、新しく開発した試作機の販売先として目を付け

伝手を頼ってようやくたどり着き、1時間だけ予定を入れて戴いたといいます。



営業戦略の策定や、プレゼンテーションツールの作成をお手伝いしており

それまでにも何度か、重要な商談に立ち会うことがありました。



そして当日、出席する社長、専務と私の3人で事前打ち合わせ。

社長が挨拶かたがた会社の来歴や業務内容を簡単に説明。



その後、開発責任者である専務が新製品のプレゼンテーションをする段取り。

私はコーディネイターとして、必要に応じて補足説明をする役割です。


そっちじゃない
いざ、商談の場に臨むと和やかなムードでスタートし

社長が紹介した製品のいくつかに身を乗り出してきました。



予定通り、専務が新製品のプレゼンテーションを始めたのですが

ざっと資料に目を通していた先方の役員が10分ほどで話を遮りました。



「よく、わかったから、今日はこれで結構」。目を白黒させる専務に

「当社で扱う方向で検討するから、後日、同席の担当部長と詰めて欲しい」と。



「それより、先ほど社長が話されていたこちらの製品について

詳しい話を聞きたい」と仰います。



戸惑った表情の末「本日は詳しい資料の用意が無いので

後日改めてプレゼンテーションの機会を戴けないか」と切り出す専務。



今度は私が慌てて遮り、私からご紹介させていただきますと取って代わり

ホワイトボードと、持参のタブレット端末の画像を使ってプレゼンテーション。



非常に興味を持たれた役員は、その場に別の担当部長を呼び

すぐに検討を始めるよう、指示されたのです。



終わってみれば1時間の予定が30分も超過していました。

もしあの場で切り替えなければ30分ほどで打ち切られていたでしょう。


2つの教訓
こうして現在、2つの案件につき、同社との具体的な商談が始まりました。

この事例から学ぶべきことは2つあります。



第一は、優先順位を明確にすることです。

この商談の場で、最もハードルが高いのは役員の時間の確保です。



限られた時間で、彼の気持ちを引き寄せることが最大の課題でした。

そこに、先方から「もっと話を聞きたい」というのは渡りに船です。



しかも、本来の目的であった新製品についても前向きな回答が

得られたのですから、これに固執する必要は全くありません。



第二に、プレゼンテーションに資料は必要ないということです。

むしろ、先に資料を渡してしまうと話に集中できない場合もあります。



私の場合、プレゼンテーションの際資料は配布せず

終わってから確認用にお渡しするというケースも少なくありません。



むしろ、どのような手順で何を説明すべきかを整理するために

プレゼンテーション資料を作成するというイメージです。



もちろん、当該製品の資料も私が手掛けたものでしたので

現物がなくとも、全く不自由はなかったのです。



外部に依頼して作成した資料であっても

それを使ったプレゼンテーションの方法は人それぞれです。



資料ありきではなく、先ず内容があってこその

プレゼンテーションを心掛けていただきたいものです。



今日の一言: プレゼンの 進路決めるは 受け手側




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