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2014年09月08日
池田ビジネスコンサルティング  池田 輝之
ワンマン経営の功罪(2) コンサルタント写真
カテゴリー:中小企業の経営顧問   


リスク1〜誰でも間違いをする
ただ、残念ながらどんなに「できる」社長さんも人間ですから間違わない、という
ことは100%ありません。人間、誰しも完璧ではありません。

ついては、どのくらいの間違いなら経営的に許容できるのかを考える必要があります。
99%正解でも1%の間違いが致命傷になることもありますからね。

例えれば、時速5キロで走行中に起こす事故と、時速100キロで走行中に起こす事故では、
同じ居眠りでもその誤りが与えるインパクトは雲泥の差になります。

会社経営に当てはめれば、時速5キロでは些細な誤りも事によっては、企業の存続に大きな
影響を与えることになる可能性もあるわけです。

つまり、その判断が誤りだった場合、それによる影響が程度の軽いものか、事業の継続性
に疑義が出るほどのものとなるか、そのリスク軽重を図りながら経営判断はしなければ、
事業の持続性の観点からも、まずい、ということになりますね。

リスク2〜社員は社長の間違いを指摘しにくい
「できる」社長の会社は、社長が一番「できる」わけですから、新規の事業アイデアや
投資プランはすべて社長の考えた事、ということになります。

このアイデアやプランを事業として進めるかどうかを決めるのが経営判断なわけです
が、判断するのは社長、つまり考えた人ですね。

となると、「やらない」という選択をするのはかなり難しいことになります。

社長自らが考え抜いたもの(真剣かつ深く)を自ら否定することはできませんし、社員
に意見を求めても否定されることはありません。

その理由はこれまで述べてきたとおりです。

ですので、ワンマン社長の会社は構造的にイケイケドンドンになりやすい組織であると
言うことができます。

さて、そういう会社が経営判断を誤るとどうなるか。

リスク3〜社員はNOと言えないし、言わない。
判断すべき事柄の軽重をリスク分析することに重きが置かれていないので、まさに
運次第。運が良ければ躓く程度、運が悪ければ窮境に陥る、ということになります。
いやはや怖いことです。
商売はある程度ギャンブル的要素はあるにしろ、それ以前のコワさです。

先に申し上げたとおり、一般的にそれはすべきでない、ということであっても、組織
内にそれを意見することができる社員はいませんし、たとえ意見したとしても、言下
に否定されるのがオチですから、誰も何も言いません。

言うことによるリスク(クビとか降格とか給料下げるとか)と言わない事のリスク
(経営的にどうなの?というところ)を考量すれば社員は前者を選んで口を閉じる
のは当然ですよね。

同様のロジックで、現場サイドで問題が発見できたとしても、それを伝えることは
後回しになります。社長の指示通りにやってうまくいかない、ということはあっては
いけない組織構造なのです。

たとえ問題を報告しても、そもそもの経営判断の問題ではなく、現場の運用の問題に
され、いわれのない責任を追及されることが目に見えていますから。

リスク4〜ワンマン経営の弱点
本来であれば、早期に問題を発見し、早期に対応できれば、会社が窮境に陥る可能性
は限りなく減ずることができます。しかし、そうはなりません。

これがワンマン経営の陥りやすい弱点です。

「俺の会社だから、どうなろうと俺の勝手だ」という社長さんもいらっしゃるでしょう。
それはそれで構いませんが、窮境に陥り苦労するのはご自身です。
天に唾はきゃ自分に帰る、わけです。

であるならば、どうすればいいか。
経営リスクを(できるだけ)回避するためにはどのような組織体制をとれば良いか。
このような視点を持って経営にあたっていただければ、再生の窮境状況に陥る可能性を
減らすことができます。

リスク5〜好事魔多し。
企業再生は大変です。精神的にも大きな負担となります。

しかもどの経営者さんも初めての経験です。

正しい、的確な判断と行動がされることは考えづらい環境になります。
ですので、ほとんどの方は再生ままならず、倒産していきます。

再生のポジションにある会社は、どの会社も皆、過去は好業績の企業です。
「うちの会社には関係ないよ」という考えが少しでもよぎったら、小さいガンがすでに
巣食っていると思っていただいて間違いありません。

好事魔多し。

儲かっている時こそ冷静な判断を。
働く社員さん、取引先さん、そしてご自身のために。



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